見出し画像

熱く冷たく淡々と

「好きにやれ。ヒロトの感覚に従って、思うようにやれ。失敗は全然構わない。都度指摘する」と開店直後、店長と2人で飲んだときそう言われました。飲食業界実質未経験の自分に、お客さんの嗜好が多様な日本酒を一任され、ゾッとしたのを覚えてます。

実際、ほんとうにこれでいいのかなと悩んだ時が沢山あり、眠れない夜に蕁麻疹が出た日もありました。まだ1年ちょっとですが、我ながら少しずつ形になってきたのかなと思う。

日々店に立つ中で、昨日は酒で良い流れやムードを作れたな〜と思いきや、次の日は「もっとこうしたら良かったな」とガーンと落ち込む日もある。大半が後者で、モヤモヤする日々です。

ただ、きょうお客さんに「お前さんは、東京の5本の指に入る酒の注ぎ手じゃないのか?」と言われ無邪気に喜びました。もちろんお世辞でしょうし事実そんなことはないですが、自信になりました。

主観的に熱中すれば、やはりそんな自分に水を刺すくらいの冷静な客観視が必要で、それを毎日反復しています。淡々と、熱く、冷たく。

文脈は違えど、佐野元春が「熱狂には気をつけろ」と最近のインタビューで言っていたのが頭から離れません。

ふと思いつきで書くが、
自分に何か強み、あるいは誇りがあるとすれば、純米大吟醸も大好きだけど、親父と普通酒を適当なコップにジャブジャブ注いで、大喧嘩したり大笑いしながら飲んだ経験があること。幸せな環境だった証でもあると思う。

自分にとって、あれ以上豊かで良い酒はない。

振り幅が大きな日々ですが、誠実に向き合っていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?