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1000人以上に聖火トーチを手にしていただいた私が聖火ランナーになった理由③

2021年5月15日『東京2020オリンピック競技大会』の聖火リレーランナーとして、地元島根県浜田市を走りました。現在、そのときの様子を5回に分けてお伝えしています。

今回は、前回の続き。聖火リレーランナーの一次審査・二次審査を通過したその後のこと。メディアがオリンピックのニュースで沸く話や、私自身の気持ちの高まりについて。また、新型コロナウイルスによって、まさかのオリンピック中止・延期についてもお伝えします。

審査をくぐり抜けたランナーたち、出揃う

聖火リレーの厳しい審査をくぐり抜けたランナーたちが決定してからは、さまざまな情報が届いてくるようになりました。

・メディアにて『聖火ランナー』にまつわる報道
・地域での『聖火リレー審査を通過者』の情報
・オリンピック組織委員会より『聖火リレーに向けた連絡』

聖火リレーの報道

全国の聖火リレーランナーが決定後『聖火リレー』にまつわる情報が多くのメディアで流れるようになりました。報道によって改めて分かったことは、全国の都道府県と公式スポンサー4社に向けた約1万人の募集に対し実際に応募があったのは延べ53万5717人だったことです。

ものすごい応募総数の中で審査を通過できたことを考えると『選手に選ばれた重み』を感ました。

地域での聖火リレー審査通過者

私の地元は小さな街です。いい情報も悪い情報も直ぐに広まることが良いところでもあり悪いところもでもあります。聖火リレーの審査通過者の情報もちらほら耳に入ってきました。

当然ですが、周囲でも何人か当選している人がいると知りました。それからは、聖火リレーランナーであることに、思いのほか特別観を感じなかったのも事実です。

聖火リレーランナーに向けた詳細連絡

聖火リレーランナーに向けた詳細連絡は、オリンピック大会組織委員会より段階的に届いてきました。注意事項が書かれた文書や指定の服装案内が届く度に気持ちも聖火リレーに寄っていきました。指定された服や靴などの購入意欲も高まり、あれこれと考えるのも楽しかったです。

また『聖火リレーランナーとして地元を走ることは、生涯一度の貴重な体験となる』と、肌感覚で感じていました。それもあってか、当時は思った以上に気持ちが上向いていました。それを体現するように、ウォーキングなどをして体を整え始めるようになりました。

世界的パンデミックによる、オリンピック中止・延期

しかし、喜んだのも束の間。この後すぐ、新型コロナウイルスが瞬く間に世界中へと広まりオリンピック中止・延期の事態となります。

『オリンピック・聖火リレー』の中止

中国武漢で発生した新型コロナウイルスが、日本に上陸しコロナ禍として人々の暮らしを一変させました。日本だけではありません。新型コロナウイルスの疫病の流行によって、世界中の人々の暮らしが一変しました。

コロナ禍は東京2020オリンピックの開催にも影響を及ぼします。2020年3月24日、IOC(国際オリンピック委員会IOC)は、新型コロナウイルスによる世界的パンデミックによって『2020年中のオリンピック開催を中止、1年程度の延期』と発表しました。当然ながら2020年中の聖火リレーも中止となりました。

日を追って、私の元へもオリンピック大会組織委員会より『聖火リレー中止・延期の知らせ』が届きます。気持ちが上向いていただけに、大きなショックを受けました。それと同時に、緊張感も切れてしまいました。

『聖火リレー』島根県中止の可能性

オリンピック中止後、時間はあっという間に過ぎます。しかし、2021年に入ってもまだ新型コロナウイルスは型を変えて流行し続けていました。そんな中でも、IOC(​国際オリンピック委員会)は『スケジュール通り2021年7月23日に、東京2020オリンピックを開幕する』と宣言し気持ちは揺らがない様子でした。

開催国である日本国民側からは『東京2020オリンピックの開催を反対』の指摘も多く上がっていました。

正直その頃の私は『オリンピックは中止になっても、聖火リレーだけは開催してほしい』と強く願っていました。私が走ることで伝えたい想いがあったからです。しかし、2021年2月下旬に私の元にとあるニュースが流れてきます。

『島根県知事より東京五輪における、島根県内での聖火リレー中止検討として、要請書を厚生労働相に提出した』と。

正直、とてもショックでした。

新型コロナウイルスの感染状況を考えると、県民の感染予防を最優先に考える気持ちも理解できます。しかし、私の中にある『私が走ることで地元にに明るい話題を届けたい』『明るい話題によって少しでも元気になってもらえたら嬉しい』といった強い気持ちが揺らぐことはありませんでした。

また、介護事業を運営するからこそ利用者の方々や介護に従事して働く方々のコロナ禍での苦悩を日々、目の当たりにしてきました。みなさんが必要以上に抱えるストレスを、少しでも緩和出来たら嬉しいとも考えていました。

私の中に生まれたそんな気持ちを、地元のテレビ放送局『山陰放送BSS』さんがインタビューしてくださいました。そして、山陰放送さんはもとより、TBSさんのNスタ、News23、あさチャン、グッとラック、ひるおびにて放送していただいたようです。

『聖火リレー』島根県開催の見通し

島根県知事による『島根県内での聖火リレー中止検討』の発表後、島根県は3月中旬までの対応や状況によって、聖火リレーの実施を判断するとされていました。

気持ちが沈む私の元に、いい知らせが飛び込んできたのは、聖火リレー開催の約1か月前となる2021年の4月6日のことでした。

『島根県知事より❝聖火リレーの中止は県民のプラスにならない❞として、島根県内での聖火リレーを実施する方向へと意向を変えた』と。

県内での聖火リレーの中止を検討していた島根県でしたが『ウイルス対策の強化』を徹底した上で聖火リレー開催に向けて動き出しました。嬉しかったです。

『島根県内での聖火リレーランナー中止検討』の発表があった際にテレビ局にインタビューを受けていたということもあり、このとき再び取材を受けることとなりました。気持ち新たに、次のように語っています。

新型コロナウイルスが終焉しない状況ではありますが、縮小しながらも聖火リレーを実施していただけるのはありがたいことです。
個人としましては、一生に一度になるであろう経験をさせていただくのは大変嬉しく、また家族や友人に応援していただける経験は楽しみで仕方ありません。
職場で関わる高齢者の方々やその家族の方々にも、自分の走行する姿を通して、嬉しさや笑顔を届けることで、少しでも日々の楽しみに繋げていただきたいと思っています。

まとめ

聖火リレーランナーの審査通過となってから、個人的にも社会的にも驚くことの連続だったように思います。

それでも、聖火リレーだけは走りたいと願い続けた私の気持ちは届きました。次記事では、いよいよ聖火リレーランナーとして走ったときのことをお伝えします。

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