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逆万歩計

散歩が趣味です。
というと、ひと昔前は「おじいちゃんか!」と笑われた。
少し前には「ウォーキングは体にいいもんね」とやや肯定派が現れはじめた。
今や「もしかしてこの人は天才なのでは?」とまで思われるようになりました。
理由は?
ネットなどで色々な情報が行き交うようになり、「散歩は無駄な行為」という間違った見方から、「健康に良いこと」に昇格し、その後「天才たちが必ずやっていた習慣」にまでのし上がったからです。
古代ギリシャの哲学者たちはよく歩きながら講義をしていたそうですし、著名な音楽家から小説家まで、様々な創作活動には散歩は不可欠な行動だったとも言います。
かくいう私も散歩は好きです。
いや、好きなのかな?
散歩が好き、というより歩くのが苦じゃない、という方が正しい感じです。
これは性格の問題なのだとずっと思っていました。
例えば一駅向こうの街に行くとする。
目の前には最寄り駅。直線で歩けば目的地に着く。
そんな場合にはわざわざ駅に行って切符を買って、運良くジャストタイミングで電車が来ない限りは数分は待って…と考えはじめると、直進した方が良い!と思い徒歩を選択してきました。
それはダイエットがー、とか脳に刺激をー、とかではなくシンプルにこなさないといけない動作がひとつで済むからでした。
「駅に向かう」「切符を買う」「階段を登る」「電車を待つ」「電車に乗る」「電車を降りる」「改札を抜ける」とこれだけの動作をして目的地にたどり着くことを考えたら「歩く」だけで着いた方がシンプルだということです。
たとえそれが時間のかかる行為だったとしても。
だから、昔から歩くのが苦じゃなかった。
じゃあ歩いている時に創作しているか、と言われたらそんなことは全くなく、とりあえず「早く目的地につかないかな」としか考えていません。
これがダメなんだと思う。
大阪の人にしか分からないかもしれないですが、僕は梅田〜なんば間は時間に余裕のある時はたいてい歩いています。
しかも、「早く着かないかな」と思いながら猛スピードで歩いています。
早く着きたいなら電車を使った方がいいのですが、電車に乗っているときは特に「早く着かないかな」とは思わないんですね。
だから、あまりありがたみを感じないんです。
早くて当たり前ですからね。
だからやっぱり、歩きながら「早く着かないかな」と思うことが大事なんだと思う。
話は少し変わりますが、よく成功者の人なんかがインタビューで「僕は物欲ないんですよね。だからお金をいくら稼いでも全く使わないんです」などとほざいてますよね。
お金持ちが言う「物欲ない」は何の説得力もないんです。
「物欲」なんて「買えない」からわいてくるわけで、いつでも買える状況の人がわいてくるものでもない。
例えば「物欲ない」って言ってるお金持ちの人も靴とか買ってるでしょ。
その物欲のない金持ちの人が全裸で裸足で局部を葉っぱかなんかで隠してたなら「この人本当に物欲ないんだな」と思うし、物欲どころの騒ぎじゃないな、と色々と心配しますけどね。
人間は禁止されたり、手の届かないものにこそ欲望を感じるものだと思うんですよね。
だから「物欲がない」って言ってる人だって貧乏だったら「高級車欲しいな」とか思ったりするはずなんですよね。
だから結局、何が言いたいかというと、物欲の話と一緒で、「歩く」という最もプリミティブで最も効率の悪い移動手段を使っているからこそ、時間の大切さがわかる、というお話ですよ。
まあ、でも、僕がめちゃくちゃお金持ちになったら、すぐそこのコンビニ行くのにもタクシー使いますし、家の中とかは執事におぶってもらいますけどね。
で、1日の終わりに万歩計見て「おお!今日は1日で2歩しか歩いてない!」と喜びたいと思います。
結局、世の中お金ですね。

では、また。

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