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異世界故事③ 「リザードマンの肴」

リザードマンはとても勤勉な種族です。手先が器用なので、主に海や川で網漁等で生活しています。
彼らは気温が高い時に活動が活発になり、冬の季節は活動が鈍ってしまう特徴がある為、温暖で沿岸がある地域に棲んでいます。

とある人間の国でリザードマンが漁網修理をしていました。そこに通りかかった人間の船長が「器用に網を修理しているな」とリザードマンに話しかけました。
リザードマンは「ああ、子供の頃から修理しているからだよ。」と答えました。
人間の船長はこれだけ器用なら是非自分の船員になって、帆の修理等を手伝ってくれないかとスカウトしました。
しかしリザードマンは寒冷な場所に行くのは嫌いな為、温暖なこの地域で働きたいと船長の話を断りました。
船長も惜しいと思いましたが納得し、「すまなかった」と話して去った後、一緒にいた船員にこんな話をしました。

船長 「もしあいつが不器用だったら仲間に出来たのにな。」「なんでって?ブリザードマンだからな。」


そこでの笑い話で済めばよかったのですが、後日酒場で船員が酔った勢いで酒の肴に船長の話をしました。


船員「リザードマンは不器用でいい。」「なんでって?ブリザードマンになって年中どこでも働けるからな。」


その話がリザードマン界隈にも伝わった時、人間はリザードマンの事を自分達よりも不器用で、器用であれば「ブリザード」(リザードマンではない)と揶揄しているという話になっていました。

数年後に人間とリザードマンの種族間で争いがあったとかなかったとか。人間の国でこのお話は『リザードマンの肴』(口は災いの元)というお話として語り継がれています。


異明書房刊『教えて!リザードマン博士』より

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