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推薦の多様性向上のヒントになるかもしれないBundle Recommendationの紹介

こんにちは,Caratの斎藤( @saitoxu )です.

今回は推薦における「Bundle Recommendation」という少し変わった問題設定について紹介します.

推薦の多様性

はじめに,タイトルにある「推薦の多様性とは?」についてです.
推薦は基本的には,ユーザの興味関心とアイテムとの類似度を計算して,高い順に提示するという手法が採られることが多いですが,これだと似たようなアイテムばかりが推薦される問題が発生したりします.
たとえばNetflixのようなストリーミングサービスで,ホラー映画が好きなユーザがいたとします.そこでホラー映画のみを推薦してしまうと,最初は満足かもしれませんがだんだんと飽きてきてサービスを離脱してしまう,というようなケースが考えられます(図1).

図1: 推薦に偏りがあると飽きてしまう

そこで推薦にも類似性だけではなく,推薦するアイテムの多様性も大事だよねという話になります.
基本はホラー映画を推薦するけど,たまにはコメディとか他のジャンルの映画も推薦するみたいなイメージです(図2).

図2: 推薦に多様性があると満足度が向上する

自分の観測する限りでは,推薦の多様性の取り組みや研究は現在も盛んに行われている最中で,多様性も担保しつついい感じに推薦するぜ,みたいな確立された方法はないように思います.
多様性を上げると類似度の高いアイテムを落とすことになるなので(トレードオフ),良し悪しの評価が難しいなと思います.

Bundle Recommendationとは

ここで,多様性向上のヒントになるかもしれないBundle Recommendationという問題設定を紹介します.

Bundleは「束」のことで,つまりアイテムの束をユーザに推薦します.
先ほど,推薦の基本的な考え方として「1ユーザと1アイテムの類似度を計算〜」と書きましたが,Bundle Recommendationでは1ユーザと複数のアイテムのセットとの類似度を計算するイメージです(図3).

図3: 通常の推薦の類似度の計算(左)とBundle Recommendationにおける類似度の計算(右)

こう聞くと特殊な問題設定と思うかも知れませんが,大抵のサービスは1度に複数の推薦アイテムを提示するので,これを1束と考えると適用範囲は広いと思います.

通常の推薦だと,ユーザとアイテムの1:1の関係を考えるので,他のアイテムとの関係を考えることが自然にはできないですが,Bundle Recommendationは束の中にあるアイテム同士の関係を考慮してユーザに対する束の類似度を決めるので,自然な形で多様性を考慮することができます(図4).

図4: 束のアイテム同士の関係を考慮

日本語の適当な記事は見つからなかったのですが,この問題設定自体は新しいものではなく,学術論文は色々あるので興味がある方は調べてみてください.

おわりに

ということで今回はBundle Recommendationについての紹介でした.引き続き,より良い推薦について考えていきたいと思っています.

最後に,弊社では日本の仕事探しにおける負を一緒に解決してくれる仲間を募集しています.
下記の募集ポジションまたは,その他少しでも興味を持たれた方は斎藤のTwitterまでお気軽にご連絡ください.


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