ジャズにハマった頃 ジョン・ゾーン 何者や?

ジョン・ローンしか知らなかったわたしが ジョン・ゾーンを知り そのカッコよさ故に 比較的わたしの中の それなりの位置を占めていた『イヤー・オブ・ドラゴン』『ラスト・エンペラー』のジョン・ローンの存在を駆逐し始めた
ジョン・ゾーン
何者や? であるが ミュージシャンだ
最初に買ったのは ハルウイナーがプロデュースした セロニアス・モンクの作品集 いわゆるセロニアス・モンクのカバーアルバムで その中の一曲を手がけていたのを 後で知る
むちゃくちゃトンガッていた
ジョン・ゾーンの作品 として意識して買ったのは 『スピレーン』
ミッキー・スピレーンという ハードボイルドというにはもうちょっとお下品なバイオレンス作家の イメージサントラのような作品で 番犬が吠える声 テーマ曲 ワイパーの音 など短い曲と効果音をコラージュして フィルム・ノワールっぽい世界を創りあげている
盗作問題で騒がれた『ヨコハマたそがれ』のような 短いワードで ひとつの世界を表現する そんな手法を連想させる(あくまでも 個人の意見です)
横浜 たそがれ ホテルの小部屋 口笛 タバコのケムリ ブルース みたいな
ちなみに ミッキー・スピレーンの作品が 旺文社から出ていて それを読んだ事があるが 翻訳がちょっと肌に合わなかった
英語能力ゼロのわたしに 翻訳の良し悪しがわかるわけがないんだが あのう べらんめえ調の岡っ引きみたいな言葉でしゃべるのは やめてもらいますか?と流石に思った 
ジョン・ゾーンの『スピレーン』には 若干長い表題曲の他に 比較的短い曲が2曲入っていて そのうち『奇妙な果実』には 太田裕美が参加している
ジョン・ゾーン 何者や!
それより以前に買ったCDの中にも さりげに参加していたりする(後日発見)
例えば じゃがたらの『それから』の中の『中産階級ハーレム』という曲の中で サックスで叫んでいたと思えば 近藤房之助のライブ盤(題名は忘れた)の中で ビートルズナンバーに参加していたり
ジョン・ゾーン  何者や!!
言い忘れたが 彼は サックスのすごいテクニシャンではあるが サックス奏者というよりも(そこに徹するシーンもあるけれど)グループ全体を指揮する 言うなればデューク・エリントンのような存在だ(個人の意見です)
その後も ジョン・ゾーンは ハードコア・パンクに走ったり ハード・バップを演奏するユニットを組んだり 自分のレーベルを立ち上げて 伝説のミュージシャン含む 様々なミュージシャンの作品を出したり ジューイッシュ・ジャズを演ったり 
ジョン・ゾーン 何者や! の活躍をする
彼の活動の一部しか捕捉していないわたしですら ウィキを参照するわけではなく 記憶だけで これだけ書けてしまう
わたしは ジョン・ゾーンのライブは 3回行っている
1回目は 神戸の新オリエンタル劇場のこけら落としで 何人かの音楽家がコンサートを行なった そのうちの1回である
開場前に 近くの席に ギドン・クレーメルが座っていた
公演の中の1日を 彼が担当するのである
ギドン・クレーメルは クラシックのバイオリニストだが ピアソラなどのポップな曲もレパートリーにしていて この頃話題になっていた(ピアソラってポップか?)

ジョン・ゾーンの回であるが メンバーが訳わからん
現代音楽の高橋悠治 三宅榛名 ジャズのビル・フリーゼル ジョージ・ルイス パンクの山塚アイ
わたしは メンバーの顔ぶれから その頃愛聴していた作品 『ニュース・フォー・ルル』みたいな事をやってくれるかな と期待したが この日は山塚アイの叫びだけが記憶に残っている あと コンサートの途中で突然挟み込まれた久保キリコ原作のアニメ映画『ラディカル・ミステリー・ツアー』

『ニュース・フォー・ルル』の話だが アルト・サックス ジョン・ゾーン  ギター ビル・フリーゼル  トロンボーン ジョージ・ルイス
という 聴いたことがない編成のトリオで ハード・バップを比較的短い演奏で演りまくる というものだ
わたし的には ジョン・ゾーンのサックスに圧倒されるが そこに良いタイミングで合いの手を入れたり 時には先手を取るジョージ・ルイスのトロンボーンや 鋭く空間を引き裂くサックスに対して 餡かけで包み込むが如きのビル・フリーゼルのぽわ~んとしたエレキギターも たまらん
ま そんな演奏も 新オリエンタル劇場では期待していたが 期待は外れた
2回目は 神戸北野の『ビッグ・アップル』でのスランというバンドでのライブ
ドラムがナントカ・エプスタイン ギターがエリオット・シャープ そして ボーカル サックスがジョン・ゾーンのトリオだが ジョン・ゾーンは 前回聴いた 山塚アイのようなボーカルを演った
短い瞬発力勝負みたいな演奏が続き 前に置いたコップに かなりの距離から タンを飛ばして入れる という曲などもあった(どんな曲や)
アート・リンゼイのDNAなんかに近いかな?
ドラムの音がデカすぎて 耳がキンキンした
エリオット・シャープにサインを書いてもらったら『E#』と書いて 横にいたJRレコーズの店長に『こんなん手抜きやんか アカンわ』とつっこまれていた

そして 3回目は渋谷の坂を上がったとこ なんて名前やったかなぁ
これが1番よかった
その頃 というか その前からジョン・ゾーンは ジューイッシュ・ジャズに 力を入れていて 『クリスタル・ナハト(水晶の夜)』といった ナチスによる暴力を扱った問題作を発表したり 『マサダ』といった ユダヤをルーツにした作品を 次々に出していた
『マサダ』などは 3枚までは買ったが それ以上は金と体力が尽きて つきあいきれなくなった
しかし ジューイッシュの独特の旋律とジャズは かなり親和性が高く 何の違和感もないように感じる
一方 その頃 日本でも フリージャズやらチンドンやらクレッズマーやらが色々と融合したり 影響しあったりするムーブがあったような気がする だから 大友良英が 『あまちゃん』みたいな音楽を作っても あまり驚かないのだ
何はともあれ ジョン・ゾーンにはつかず離れずというスタンスに 今はなっている
そして今も思う
いったい何者や?
 


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