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硫黄に消された獣臭

北海道二日目。
この日は登別へと向かった。
自動車の免許を持っているのは三人中一人しかおらず、運転はすべて彼に委ねていた。
明らかに責任を彼の肩に乗せに乗せているような状況で、恨みを買っていないか未だに不安だ。
(なお、車内ではマチャニーガールズを流し続けた)
https://www.youtube.com/@machanygirls

クマ牧場に到着するころには天候が怪しくなっていた。
しかし、それ以上に硫黄の臭いが漂っていた。
登別というと温泉や地獄谷で有名だ。

雨天撮影

動物のいるところに行くのだから獣特有のにおいがするものだと思ってきたのだが、それ以上に体調が悪い時の屁のような臭いが強すぎた。
登別を侮っていた。

男三人でロープウェイに揺られクマ牧場へとたどり着くと、早々に熊に出会った。

若熊

区分けは若熊、雄熊と雌熊の三つ。
意外と雄雌で体格が違っており、雄の方が恐ろしい熊のイメージに近かった。

「羆嵐」を思い出す(あれは雌熊だが)

一方、雌は雄に比べるとガタイはよくなくディズニーランドのカントリーベアシアターのような愛嬌があった。
熊の個体の紹介が書かれたボードが貼ってあり、最初は「言うほど見分けがつくのか?」と思っていたが実際見てみると案外わかるものだ。
耳が小さい、胸に白い毛が生えているなど個性があった。
餌の取り方にも個性があり、手を振るものや身体全体を使いアピールするものなど様々。

M字開脚

面白いのは、こちらが餌の投擲に失敗し遠くに飛んでしまうとそれを追いかけもせず次の餌を要求してくる。
その放置された餌はあまりアピールが得意ではない群れの中でも恐らくカーストが下であろう熊が拾って食べていた。
「意外とああいうタイプが生き残るんだよな」と思いながらシャッターを切る私。

愛嬌がある


クマ牧場というのだからクマしかいないものかと思っていたがそんなことはなく、アヒルやリスもいた。

毎日新聞を騙ったのだが見向きもされなかった

アヒルに至ってはレースを開催しており、誰が一等になるかを賭けることもできた(賭けると言っても当たったら缶バッジなどがもらえるだけなのだが)。
私は白い首輪のアヒルに賭けたのだが、途中までは一位だったのだがゴール直前に餌の誘惑に負け立ち止まり、その隙に他のアヒルがゴールをもぎ取った。
レース後、ほかの観光客が熊を見に行く中、我々はアヒルにカメラを向け続けた。
「敗因は何だと思いますか?」「ファンに一言もらえますか?」
期日までに返答はもらえなかった。

クマ牧場には展望台があり、クッタラ湖が一望できる。
これにはあまり動物に反応を示さなかった友人の一人もテンションが目に見えて上がっており、「カルデラ湖だからあの形をしてるんですよ!」と一人ブラタモリをしていた。

曇り空であるが故の幻想的風景

ヒグマ博物館ではヒグマの生態や北海道における熊の歴史、クマ牧場の歴代ボスの紹介などボリュームのある展示だ。
「優しすぎたが故に短期政権になった」など書かれており、熊も人間も優しいだけではいけないのだと悟った。

クマ牧場を見終えホテルのある札幌へと向かう道中、地獄谷を見ることができた。

友人の一人は「カメラが濡れるから」と言って意地でも車を降りなかった

本来であれば倶多楽湖でボートに乗ったり地獄谷を見て回ったりしたかったのだが(今考えるとなかなかのハードスケジュール)、雨天でそれは難しいということでクマ牧場を見て札幌へと帰った。

なんとなく北海道旅行も終わりだという気持ちになったのだが、この旅行は三泊四日。
まだ一日半残っている。
「三泊はやっぱり長いな」そう思いながらベッドへ潜り込んだ。


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