とあるライブハウス。
　レピッシュというロックバンドのライブを見に来た。
　会場の床が畳敷きで、観客は靴を脱いで入場する。座卓と座布団が配置されていて、自由席だ。
　ライブ開始を告げるアナウンスが流れた。女性の声だが、ＤＪのようではなく、堅苦しい感じの話し方だった。そして、肝心のバンド名を「ラ、レピッシュ」と言い間違えた。表記が「LA-PPISCH」なので、読めなくても仕方が無いのかもしれないが、事前に確認しておいてほしかった。
　ライブが始まった。
　ギターの杉本さんが、電動のこぎりに定規を取り付けたものをピック代わりに弾いてみるものの、振動が大きすぎて弦だけでなくボリュームのつまみに当たって、音量が小さくなったり戻ったりする。使い勝手が悪すぎるので、杉本さんは自作の装置を無造作にステージ脇に放り投げた。
　ボーカルのMAGUMIさんはタバコを使ったマジックを披露。
　ドラムは脱退したはずの雪好さん。
　故人である上田現さんは夢の中でも復活せず残念。
　ライブの途中で、何があったか知らないがバンド名を言い間違えた女性が意識を失って救急車を呼ぶ騒ぎになり、中断した。
　再開されるとメンバーが楽器を持たずに登場。講談師のような着物姿の男の語りから、芝居が始まった。杉本さんが台詞を忘れる一幕も。