僕は営業職の新入社員。
　先輩の女性に付いて、外回りの毎日。
　この先輩が、まるでテレパシーを使えるかのように、相手の真意を見抜いてしまう特技を持っていた。客先の希望を適度に叶えつつ、こちらの利益を確保する提案を、ズバリと出すことができるのだ。これはもう、先輩本人にしか持ち得ない天性のもので、応用できるような仕事術ではないのでは、という気がしないでもない。
　とはいえ、見習い期間中に何かしらを獲得するため、五感をフル稼働させるのだ。