空中軍艦、の夢(2022.7.20)

 熱気球に乗っていた。
 といって、カゴを吊り上げてふんわりと空を漂うような、メルヘンチックなものではない。
 熱気球よりは、熱式飛行船とでも呼ぶべきだろうか。巨大な気球で蒸気船を丸ごと空に浮かべたものだった。蒸気機関で空気を熱して飛ぶのだ。その機関からの動力で回るプロペラも装備されているので、移動速度も高い。
 ただの船ではない。大砲などの兵装を備えた軍艦だった。いまは戦争中であり、この艦に搭乗しているということは、僕も軍人なのだろう。僕のほか数人の男性以外、ほとんど女性のみで編成された部隊だった。
 どこかに向かって空を飛んでいるところに、敗戦の報が伝えられた。
 女性ばかりの部隊である。敵兵に辱められるくらいなら潔く、という、あの論を、上官が言い出した。僕も巻き添えを食うことに。
 我が艦は、自爆することを選んだ。

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