ハーレムの女たち、の夢(2022.3.1)

 むかしむかしの、とある王国。
 王様のためのハーレムがあるのだが、当代の王は正妃を溺愛して、ほかの女は不要と言い出した。王しか立ち入れなかったハーレムを、高官であれば出入り自由と改めた。
 ハーレムを娼館と曲がった理解をした男たちが押し寄せることに危機感を覚えたのは、リーダー格の女性。取り急ぎ、元はライバル同士だった側室候補たちを結束させ、来客を健全にもてなす体制を整える。
 壁をいくつか壊して大広間を造り、そこに集結。酒は振る舞わない。教養も備えた彼女たちだ、政治経済文化どのジャンルの議論もお手のものである。
 王には未だ世継ぎが出来ず。隣国との関係はきな臭い。不安定な政情の中、宙ぶらりんな立場にされてしまった女たち。助平心を削がれた高官たちから情報を吸い上げ、身の振り方を模索するのだった。

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