黒いモノ 夢日記2024.4.8

 平安京。
 今夜、僕は数人で隊を組み、武装して都の巡回警備にあたっていた。
 怪しい人影を見付けた。少し離れたところから警備隊長が職務質問を始める。どうも様子がおかしいような気がして、僕は弓をいつでも射れるように構えた。
 人影は月の逆光で黒っぽく見えているのだと思っていたが、そうではなかった。人が影のように見えたのではなく、影が人の形をしていたのだ。服も着ていないし顔はのっぺらぼう、人のような形をした黒いモノである。
 隊長が、放て、と僕に聞こえる必要最小限の声で言う。僕は矢から指を離した。
 矢は黒いモノの、のど辺りを素通りして後ろの地面へ。手応えがまるで無い。そいつは実体の無い、まさに影のようなモノだった。
 それを確認すると、隊長はすっと刀を抜き、刀身に指を添えて何か呪文のようなものをつぶやく。隊の全員が続いて、同じ動作をする。
 僕は次の矢を引きながら呪文を唱えた。矢に何か特別な力が宿るのを感じる。
 隊長が突進し、黒いモノの胸を刀で貫いて動きを止める。その横を隊員が疾走し、首を横なぎにする。見事な連携だった。
 体と首が離れたと同時に、黒いモノは霧散して消えた。取り逃がしたときのためにと矢を引いていたが、その必要はなかったようだ。
 このように我々は、人間の犯罪者だけでなく得体の知れないモノにも対処する、検非違使と陰陽師を合わせたような部隊だった。
 大河ドラマ『光る君へ』の影響で、こんな夢を見たのだろう。

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