暗闇へ突き進む 夢日記2023.11.11

 荒れ果てた城。
 廃墟ではない。ついさっきまで現役だった城である。経年劣化ではなく、破壊による荒廃だ。
 僕のそばには、ひとりの少女。平時であれば陽を照り返して美しく輝くであろう金髪は、ほこりまみれになっている。せっかくのドレスもぼろぼろ。
 どうやら彼女を守るのが、僕の役目であるらしい。
 敵対勢力の攻撃の第一波を何とか押し返した、といったところだろうか。
 それにしても、ひどくやられたものである。上空から砲撃でもされたか、屋根から大広間まで穴が貫通して空が見えている。
 床も抜けてしまったが、そのおかげで床下の空間が露わになっていた。地下室か、もしかしたら隠し通路かもしれない。
 足元に瓦礫が散乱する中で、僕は感覚を研ぎ澄ます。僕には他人の心を読む能力があるのだ。照準を「敵意」に絞って、できる限り範囲を広げると、敵の第二波が進軍を始めたことが分かった。
 僕の能力は地下では著しく低下してしまうのだが、覚悟を決めて、床下の空間へ下りてみる。通路がどこかへ続いていた。おそらく城が建造された当時から、いざというときのための避難トンネルが備えてあったのだ。
 明かりを用意している余裕は無いので諦めて、少女の手を引いて暗闇へ突き進む。きっとどこか、城から適当な距離を取ったところで、地上に出られるはずだ。

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