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[2022]国際特許分類(IPC)主な改訂分野(2)- 検索からわかること

※前回の記事からの続きです。

前回の記事ではこのような話題を取り上げました。

・IPCは毎年 新設・更新があります
・例年1月に発効して
・3月頃までにはCPC検索が機能しはじめます(←ここは酒井調べ)
・2022年の主な新設分野は  画像認識・動画認識のG06V、
 デジタル通信の H04L後半など。

また、2022年3月時点(分類新設から2ヶ月と少し)だと

2022.01の新設IPC 検索データは入りつつあるが、ヒット件数少なめ
(上記に対応の)CPC  比較的しっかり検索できる
(上記に対応の)FI記号 検索できるケースもあるが、分野差がみられる

https://note.com/sakaimisato/n/n86275c72eff9

という感じです、と書きました。で。
「本当にそうなのかな?」というのが、こちらの記事の主題になります。

まずはEspacenetから

Espacenetでは CPC , IPC を使う事ができます。結果はこちら。

多少分野差はあるのですが、
CPCではしっかり検索ができ、IPCはそれより少なめです。

収録件数差が最も大きい H04L67/* を対象に統計をとってみます。

IPC(国際特許分類)の場合 N=6,544)

IPC=H04L67/* × 公報発行年 です。
新しい公報ほど件数が多く、「新規発行公報への付与がメイン + 過去分にも若干付与が始まっている」ように見受けられます。

IPC=H04L67/* × 公報発行国 です。
圧倒的に中国公報が多く・・・つまり、現時点(2022年3月)では
喜び勇んで新設IPCで検索しても、去年・今年の中国公報ばかりが出てくる、という状況になることが予測できます。

CPCの場合 (N=233,740)

CPC=H04L67/* × 公報発行年 です。
近年の公報が多いのですが、2002年発行分公報も約12000ファミリーにCPC付与されています。過去分への付与もかなり進んでいる、と解釈してよいのではないでしょうか。

次はCPC=H04L67/* × 公報発行国 です。
トップ3はUS,CN,WOで、IPCの場合と比べると「同等の分類コードでも、CPCで検索した方が多くの国、そして新しい公報から古い公報まで、幅広く情報が得られる」と考えられます。

J-PlatPatの場合

J-PlatPatでは FI記号と IPC を使う事ができます。結果はこちら。

今日(2022/03/16)の時点では全くヒットがありません。
考えてみれば、先ほどのEspacenetでも、IPC×公報発行国のデータを取ってみると日本の件数はかなり少なかったです。
Espacenetで出てくるのは、ファミリー由来のIPCが大半のようでした。

また、FI記号についてはかなり分野差があって、
H04Lはそこそこヒットがあるけれど、
G06Vは全くヒットしない、といった現象が起こる点も興味深いです。

FI記号はいつから機能する?(日本)

J-PlatPat「パテントマップガイダンス」の一番上に並んだリンクの中に
特許庁「FI改正情報」のページ があります。

このページをスクロールした一番下に

当該改正分野におきましては、旧FIが付与された公報発行済み文献に対し、新FIを再付与することによって、再分類を行っております。改正のあった分野においてFIを用いた検索を行う際には御留意ください。なお、再分類には数年かかる場合があります。

https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/bunrui/fi/f_i_kaisei.html

とのこと。
また、作業予定については 再分類予定及び再分類中のFI(PDF) に
掲載されます。

商用データベースの例 (海外データ)

商用データベースは多くの種類があり、
収録データにもそれぞれの特色があります。
そのため「かならずこうなる」とは言えないのですが、
一般的には 欧州特許庁のDOCDBをベースにしたサービスが多く、
その場合、検索結果はEspacenetに近いものになりやすいです。

下記はJP-NET(海外)の例です。JP-NET(海外)もDOCDBデータが入っているので「新設CPCは多く、新設IPCはそこそこ」の、Espacenetに近いタイプの結果になります。

新設分類と検索上の注意点

以上のように、「今年新設された分類」の場合、
2~3ヶ月経過した程度では、まだまだデータは揃っていない。と考えた方が良さそうです。

特に、網羅性を求める調査では注意した方がいいですよね。
網羅性が必要、といえば、典型的なのは侵害予防調査。
また、素材系の業種では、開発着手前の動向調査であっても「網羅性が欲しい」というケースがあると思います。こちらも同様に要注意です。

具体的にどう注意するのか?というと
調査の下準備で、分類表を見たときです。
分類の末尾に [2022.01] とあれば、今年(2022年)の新設分類

同様に[2021.01]ならば、2021年の新設分類です。

このように、最近2~3年、
出願件数がいかにも多そうな分野であれば、最大5年分ほどについては
「最近の新設分類だ、とわかったら、
 新設分類だけで調査を済ませるのはリスク有。
  (↑ 調査に使う事自体には問題ありません)」
「旧分類の利用や、キーワードだけの部分式も検討する」
という風に考えると、
網羅性をなるべく損なわずに検索ができるかと思います。

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