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オーロラの街で食べた忘れられない味

どうしても忘れられない味がある。

20代の前半、私はワーキングホリデーで4ヶ月ほどカナダのイエローナイフという街に滞在していた。

イエローナイフという都市はカナダの北の方にあり、とにかく寒いし何もない街だ。

冬になると−40度まで気温が下がり、髭や鼻毛が凍りつく。
おちおち外出もできない。

ひどい時は空気が冷たすぎて呼吸をするだけで肺が痛くなるので、
友達と外に買い物に行っても2人とも黙々と歩く。

30分もあればダウンタウンを一周できるくらい小さい町で、
娯楽施設といえば小さな映画館とクラブがあるくらいだ。

でも街からも私の住んでいる家からもオーロラを見れるので、
毎晩その天体ショーを見ていれば退屈しなかった。

実際私は毎晩のように外に出てはオーロラを観察し、
既に何枚も写真を撮っているにも関わらず飽きずにパシャパシャ写真を撮った。
当然のごとく、私の写真フォルダは緑色に染まった。

街を歩いてふと空を見上げるとオーロラがすぐそこにある
ダウンタウンからもばっちりオーロラが見える

ダウンタウンから15分ほど歩くとオールドタウンという場所に辿り着く。
そこにBullock's Bistoroというレストランがあり、観光客も地元の人にも人気のお店らしい。

そのお店ではバッファローの肉が食べれるということで、観光客から人気らしく
私が訪れた時も中国人の観光客で賑わっていた。

可愛らしい小屋のようなたたずまい

席に案内されてメニュー表を見る。
バッファローのステーキはなかなか値が張る。
ジビエにそんなに興味がなかったので、フィッシュアンドチップスを注文した。

料理が来るのを楽しみに待っていると、店員さんが料理を運んできた。
私の前に置かれたフィッシュアンドチップスを見て驚いた。

まず、とんでもなく大きいのだ。
お皿の上には手の平サイズのものが2つドンとお皿に鎮座している。

さすが、海外の食べ物の規格は日本と大違いである。

さて、これをどうやって食べるか。
大きすぎてかぶりつけないので、大人しく切り分けて食べることにする。

ナイフで切り込みを入れる。

その刹那、「サクッ」という心地のいい音が鼓膜を揺らす。

ナイフはスーッと通り、難なく一切れをフォークで取り分けることができた。
添えてあるタルタルソースをつけパックっと食べると

噛んだ瞬間に、コロモのサクサクとした心地いい食感が脳を揺らす。
そして、想像の10倍くらい柔らかくてジューシーな白身にたどり着く。

こんな美味しいフィッシュ&チップスは食べたことない。

最初はこんな大きいものを1人では食べきれないと思っていたが
気づいたら夢中になって食べ、いつの間にか完食していた。

今でもこのフィッシュアンドチップスを思い出すと口の中が唾液でいっぱいになる。

これを食べるためだけにあの極寒の大地に行ってもいいと思えるそんな忘れられない味が日本から遠く離れた場所にある。

おまけのオーロラの写真


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