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医学概論NO.5 ソーシャルワークを極める講座 心身機能と身体構造 血液



今回の内容は、YouTubeで視聴できます。

(1)血液

血液の役割としては、以下のものがあります。

・細胞の代謝に必要な酸素や栄養素を、それぞれの組織まで運搬する。
・リンパとともに、組織からの二酸化炭素や老廃物の排出を行う。
・体温の調節
・生体防衛
・止血作用
・身体内部の恒常性を保つための働き

など

血液ですが、どこで血液が作られるか、知っていますか?
血液は、血液の工場と言われる骨髄(骨の中心部にあるスポンジ状の造血組織)の中で作られます。

身体にある全血液量は、体重の約8%(13分の1)を占めます。
体重が70キロの人であれば、血液だけで5.6キロもあります。


①血液の成分について

ここでは、血液の成分である血漿(けっしょう)と血球。それから、それぞれの中身や割合。それから成分、それ以外にも主な役割について触れていきます。

血漿は、液体成分からできています。

血球は、細胞成分(固形成分)からできています。

血液のうちのそれぞれの割合ですが、血液の成分のうち、血漿は、約55%。血球が約45%になります。
ところで、血液は、試験管の中に入れて、くるくるっと試験管を回して、遠心分離させると、分離します。分離すると、下の方には赤いものが溜まります。これが血球成分です。一方、上の方に黄色い液体である血漿成分が移動していきます。


まず、血漿の組成(つまり、どのような成分によって組み立てられているかということ)は、血清と線維素原(せんいそげん フィブリノゲンとも言います。)に分かれます。

血漿の成分は、水と血漿タンパク質や無機塩類(ミネラルのこと。代表的なものはカルシウム、リン、カリウムなど。)などです。
その割合は、約90%は水であり、残りの約10%は、血漿タンパク質、ブドウ糖、脂質、ホルモン、ビタミン、老廃物などからなります。

血漿の成分である血漿タンパク質は、主にアルブミンとグロブリンとフィブリノゲンに分けられます。

アルブミンは、肝臓で合成・貯蔵されますが、血管内に水を引き込み、血液の浸透圧の維持を保持したり、また、カルシウム、ホルモン、脂質、老廃物などの血液に溶けない物質と結合して、これらを運搬する役割があります。

アルブミンは、血漿タンパクのうち、最も多く、約60%を占めています。

グロブリンは、免疫機構に関与します。つまり、病原体を直接攻撃して、無毒化します。

フィブリノゲンは、血液凝固因子として止血作用に関与するタンパク質です。
血管が破れて出血すると、血小板が集まり、傷口を塞ぎます。さらに、フィブリノゲンが血液凝固因子として止血していきます。

で、グロブリンのところで、免疫という言葉が出てきましたが、免疫は、体内に入ってきた(異物)に対する拒絶反応(攻撃)です。

そして、身体は一度入ってきたものは覚えます。なので、記憶したものが再度入ってきたときは、免疫は、速やかに対応(攻撃)します。
ちなみにワクチンの理論は、このような免疫機構の仕組みを利用したものになります。要するに、ワクチンは、医療的な免疫強化になります。


第27回第1問の選択肢

人体の構造と機能に関する問題で、「アルブミンは酸素の運搬にかかわる。」との内容の正誤が問われています。





この選択肢は誤りです。
アルブミンは、脂肪などの物質運搬に働いていています。酸素の運搬は、赤血球の大半を占めるヘモグロビンになります。



では、次に、血液の成分である血漿と血球。そのうちの血球を見ていきます。

血球の組成は、白血球、血小板、赤血球に大きく分かれます。



②血液の成分の主な役割について


血液の中の血漿の役割ですが、血液凝固に関与します。

次に、血球の役割です。
血球の一つである白血球は、とても重要な働きをしています。
つまり、白血球は、体内に侵入した細菌感染で増加した異物の処理に働きます。
白血球は、血液に乗って移動し、異物である侵入者を見つけると、毛細血管壁を通り抜け、アメーバのように動きまわり、侵入者のほうへと移動して処理します。この現象を、白血球の血管外遊出といいます。
要するに、白血球が異物を退治するわけです。イメージとしては、パックマンが敵をばくばく食べるという感じです。

それから後は、白血球は免疫機能があって、免疫関与・抗体産生に関与します。
要するに、白血球は、ばい菌、ウイルス、カビなどから身を守るために働いてくれます。
要するに、白血球は、防衛部隊です。

で、白血球が基準値よりも多い場合は何を意味しているか。

異物を消化分解するために、白血球数が増えているということになります。なので、この異物に関係してくるような病気。例えば、細菌感染(コレラ菌等の細菌が原因となって病気が起こるもので、細菌の毒素が主役である事が多く、毒素が発病の原因であり、必ずしも菌は体の中で増殖しません。)・がん・白血病(血液のがん)などの疑いが出てきます。

逆に、白血球が基準値よりも少ない場合は何を意味しているのか。

易感染状態(いかんせんじょうたい)、つまり感染症にかかりやすくなり、重症感染症(新コロやインフルエンザ等のウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入して増殖し、発熱や下痢、咳等の症状がでることを意味します。感染症の中でも重症感染症は、生命を奪う可能性が高い感染症を指します。)の疑いがあります。

ここの点で気を付けて欲しいのが、白血球数が少なくなったときは感染症にかかりやすくなっているため、食事は十分に加熱し、生ものなどはできるだけ避けると良いと言われています。
なお、この白血球ですが、血液全体に占める割合は、1%程度です。



次に、血小板の役割です。
血小板は、血液凝固に関与し、止血作用があります。

血小板という単語の文字をばらすとイメージがしやすいと思います。
血の小さい板と書いて血小板となります。怪我をして血が出てきたところを板で塞いでいくというイメージです。

皆さんにおいても、子供のころ、転んでケガをしたあと、その傷にかさぶたができて、そのままにしておいたらいつの間にか傷がふさがっていたなんていう経験はありませんか。
このように傷がふさがるのは、血液に血小板が含まれているおかげなんです。血小板は、血液全体に占める割合は1%以下と非常に少ないですが、血液の流出を血管から防ぐという大切な役割を持っているのです。

それから、赤血球の役割ですが、その大部分を占めるヘモグロビンは、肺から全身へと酸素を運搬したり、二酸化炭素の運搬に関与するというような大事な役割を担っております。

ヘモグロビンが酸素や二酸化炭素の運搬に関与することの覚え方

「ヘ」=おならの主成分は、窒素、水素、二酸化炭素などです。
ということで、

ヘモグロビン ➡ 「ヘ」=おなら ➡二酸化炭素・酸素を運ぶ

このヘモグロビンの低下が起きると、酸素運搬能力の低下が起こり、各組織での酸素が足りなくなって、貧血になります。
要するに、赤血球が減少した状態を貧血と言うわけです。
この赤血球ですが、血液全体に占める割合は、45%程度です。


第27回第1問の選択肢

人体の構造と機能に関する問題で、「ヘモグロビンは感染の防御にかかわる。」との内容の正誤が問われています。






この選択肢は誤りです。
赤血球の大部分を占めるヘモグロビンは、酸素や二酸化炭素の運搬に関与するという役割を担っております。
選択肢にある「感染の防御にかかわる」のは、白血球になります。

ヘモグロビンが酸素や二酸化炭素の運搬に関与することの覚え方

「ヘ」=おならの主成分は、窒素、水素、二酸化炭素などです。
ということで、

ヘモグロビン ➡ 「ヘ」=おなら ➡二酸化炭素・酸素を運ぶ


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