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40点を目指す講義NO.19 建築物の高さの規制



今回の内容は、YouTubeで視聴できます。


1.斜線制限


この図を見てください。

「自分が所有する土地に、自由に建物を建築したい。」
このようなことを認めると、この図のような状況になります。
この図では、道路の上方をビルが塞いでいる状態になっています。
このような道路を通行したとき、物凄く圧迫感を感じます。また日照が悪く、かなり暗く感じることでしょう。これでは良好な住環境とは言えません。
このようなことにならないために、建築基準法、自治体の条例など、法令において、その定められたルールを守って建築することを求められます。
その一環として、建築基準法は、このような状態を防ぐために、斜線制限という建築物の高さの規制をしています。


(1)道路斜線制限(建築基準法第56条第1項第1号)


道路斜線制限とは、道路の日照や採光、通風に支障がでないようするための制限で、点線のように斜線を引き、その斜線を超えないように建築物をつくるようにしなさいという制限を課して、建築物の高さの抑制を行うものを指します。

前面道路の反対側の境界線から、一定の勾配で記された線(道路斜線)の範囲内に建築物を建てなくてはならないということになっています。
上の図で言うと、三角の黒い部分が道路斜線制限にひっかかることになります。

なお、道路幅を含む適用距離を超える部分は、高さ制限はありません。道路幅を含むということですから、広い道路に面している方が建物を削る部分が少なくなるということになります。

道路斜線制限が適用されるエリアは、用途地域および用途地域の指定のない区域になります。

高さ制限のまとめで確認します。

どの用途地域等にも道路があるので、すべてのエリアで道路斜線制限があります。


(2)隣地斜線制限


隣地斜線制限とは、隣地の日照、通風を確保するため、隣地の境界線を起点として、高さと傾斜の勾配(角度)を規制するものを言います(建築基準法第56条第1項第2号)。

隣の敷地に日影ができれば、隣人の暮らしは快適とは言えません。そこで、建築基準法は、隣の敷地との関係で建築物の高さを規制(隣地斜線制限)しています。

この図を見てください。隣地斜線制限を説明する図になります。
隣地境界線から垂直に20m又は30m立ち上がった地点を起点にして、一定の勾配で引いた線よりも内側に建物を建築しなければならない、という規制になります。


🤔余力があれば押さえたいポイント
隣地境界線からの水平距離が一定の位置(16mまたは12.4m外側の線上の政令で定める位置)において確保される採光・通風等と同程度以上に採光、通風等が当該位置において確保されるものとして一定の基準に適合する建築物については、隣地斜線制限が適用されません(建築基準法第56条第7項第2号)。


隣地境界線からの水平距離が、16mまたは12.4m外側の線上の政令で定める位置」における採光・通風等が一定の基準に適合する建築物には隣地斜線制限が適用されません。
この点のポイントとしては、そもそも隣地斜線制限は、隣地境界線における日照や通風等を確保するものではないということです。日照等が確保されるのは、隣地境界線からの水平距離で一定の距離が離れた地点になります。
例えば、住居系の用途地域でいえば、隣地境界線から16m離れた地点になります。

隣地斜線制限の適用区域については、低層住居専用地域グループ(第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域)を除く地域になります。


高さ制限のまとめで確認します。

隣地斜線制限の適用区域について、低層住居専用地域グループ(第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域)が除かれているのはなぜか。

低層住居専用地域グループ(第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域)では、既に都市計画で定められた「10mまたは12m」のいずれかの数値に高さが制限されており(建築基準法第55条)、隣地斜線制限の立ち上がりの高さ(20m)の範囲内だということで、隣地斜線制限をする必要がないからです。

なお、建築物の敷地が制限の異なる2以上の地域等にわたる場合には、どうなるのか?

この場合には、建築物の各分野の地域等の斜線制限によることになります(建築基準法第56条第5項)。
このことは、隣地斜線制限以外の斜線制限(北側斜線制限)においても同じ扱いとなります。


平成19年問題22

第二種低層住居専用地域に指定されている区域内の土地(以下この問において「区域内の土地」という。)に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、特定行政庁の許可については考慮しないものとする。

1 区域内の土地においては、美容院の用途に供する部分の床面積の合計が100㎡である2階建ての美容院を建築することができない。

2 区域内の土地においては、都市計画において建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離の限度を2m又は1.5mとして定めることができる。

3 区域内の土地においては、高さが9mを超える建築物を建築することはできない。

4 区域内の土地においては、建築物を建築しようとする際、当該建築物に対する建築基準法第56条第1項第2号のいわゆる隣地斜線制限の適用はない。


解説

選択肢4は、正しいです。
隣地斜線制限より厳しい絶対高さ制限(10mまたは12m)が課されているからです(建築基準法第55条第1項)。

(3)北側斜線制限


北側斜線制限とは、北側に住んでいる人の日当たりや通風の確保を考慮して、南からの日当たりを確保するため、北側の境界線から行う制限のことを言います。

日本は、北半球に位置しています。このことから、太陽は、日本の南側を移動することになります。そうすると、建築物があるとその建築物が太陽の光を遮ることになることから、その建築物の北側は日影になってしまいます。
そこで、建物を建てようと考えている敷地の北側の日当たりを確保するための規制が必要となり、建築基準法は、北側斜線制限を定めています。

北側に住んでいる人の日当たりや通風の確保を考慮して、南からの日当たりを確保するため、隣地境界線から垂直に5m又は10m立ち上がった地点を起点にして、一定の勾配で引いた線よりも内側に建物を建築しなければならない、という規制になります。

北側斜線制限の適用区域は、
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・田園住居地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
だけです。

なお、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域における日影規制の適用区域内では、北側斜線制限は適用されません。
というのは、高さ制限としては、日影規制のほうで足りてしまうからです。

隣地斜線制限の適用区域について、低層住居専用地域グループ(第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域)が除かれていました。
しかし、北側斜線制限の適用区域については、低層住居専用地域グループ(第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域)が除かれていません。
これはどうしてか?

低層住居専用地域グループ(第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域)では、既に都市計画で定められた「10mまたは12m」のいずれかの数値に高さが制限されています(建築基準法第55条)。
これに対し、低層住居専用地域グループでの北側斜線制限の立ち上がりの高さは、5mとなっていて、このことから、北側斜線制限をする必要があるからです。

高さ制限のまとめで確認します。


平成20年問題21

建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、用途地域以外の地域地区等の指定及び特定行政庁の許可は考慮しないものとする。

1 店舗の用途に供する建築物で当該用途に供する部分の床面積の合計が20,000㎡であるものは、準工業地域においては建築することができるが、工業地域においては建築することができない。

2 第一種住居地域において、カラオケボックスで当該用途に供する部分の床面積の合計が500㎡であるものは建築することができる。

3 建築物が第一種中高層住居専用地域と第二種住居地域にわたる場合で、当該建築物の敷地の過半が第二種住居地域内に存するときは、当該建築物に対して法第56条第1項第3号の規定による北側高さ制限は適用されない。

4 第一種中高層住居専用地域において、火葬場を新築しようとする場合には、都市計画により敷地の位置が決定されていれば新築することができる。


解説

選択肢3は、誤りです。
斜線制限の適用を考える場合、建築物が2以上の地域にまたがる場合には、建築物の各部分ごとに、斜線制限の適用の有無を検討することになります(建築基準法第56条第5項)。
そこで、まず、第一種中高層住居専用地域に属する建物の部分については、第一種中高層住居専用地域に関する規定を適用します。したがって、北側斜線制限が適用されます。
次に、第二種住居地域に属する建物の部分については、第二種住居地域に関する規定を適用します。したがって、北側斜線制限は適用されません。
そこで、建築基準法第56条第5項の規定にあてはめると、当該建築物の敷地の過半が第二種住居地域内に存するときであっても、第一種中高層住居専用地域に属する建物の部分については、北側斜線制限が適用されることになります。
なので、当該建築物に対して法第56条第1項第3号の規定による北側高さ制限は適用されないとする部分は、誤りになります。


平成16年問題20

建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 建築物の敷地が第一種住居地域と近隣商業地域にわたる場合、当該敷地の過半が近隣商業地域であるときは、その用途について特定行政庁の許可を受けなくとも、カラオケボックスを建築することができる。

2 建築物が第二種低層住居専用地域と第一種住居地域にわたる場合、当該建築物の敷地の過半が第一種住居地域であるときは、北側斜線制限が適用されることはない。

3 建築物の敷地が、都市計画により定められた建築物の容積率の限度が異なる地域にまたがる場合、建築物が一方の地域内のみに建築される場合であっても、その容積率の限度は、それぞれの地域に属する敷地の部分の割合に応じて按分計算により算出された数値となる。

4 建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合、建築物が防火地域外で防火壁により区画されているときは、その防火壁外の部分については、準防火地域の規制に適合させればよい。


解説

選択肢2は、誤りです。
斜線制限の適用を考える場合、建築物が2以上の地域にまたがる場合には、建築物の各部分ごとに、斜線制限の適用の有無を検討することになります(建築基準法第56条第5項)。
第二種低層住居専用地域に存する建築物の部分には、北側斜線制限の適用がある(建築基準法56条第1項第3号)以上、建築物の敷地の過半が北側斜線制限の適用のない第一種住居地域内に存したとしても、北側斜線制限が適用されます。


平成18年問題22

建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 第二種中高層住居専用地域内における建築物については、法第56条第1項第3号の規定による北側斜線制限は適用されない。

2 第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域内における建築物については、法第56条第1項第2号の規定による隣地斜線制限が適用される。

3 隣地境界線上で確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして一定の基準に適合する建築物については、法第56条第1項第2号の規定による隣地斜線制限は適用されない。

4 法第56条の2第1項の規定による日影規制の対象区域は地方公共団体が条例で指定することとされているが、商業地域、工業地域及び工業専用地域においては、日影規制の対象区域として指定することができない。


解説

選択肢1は、誤りです。
北側斜線制限が適用される用途地域は、低層住居専用地域グループ(第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域)、第一種・二種中高層住居専用地域になります(建築基準法第56条第1項第3号)。

選択肢2は、誤りです。
隣地斜線制限が適用されるのは、低層住居専用地域グループ(第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域)以外の用途地域になります(建築基準法第56条第1項第2号)。

選択肢3は、誤りです。
選択肢では、「隣地境界線上」とありますが、この点が誤りです。
「隣地境界線からの水平距離が、16mまたは12.4m外側の線上の政令で定める位置」における採光・通風が一定の基準に適合する建築物には隣地斜線制限が適用されません(建築基準法56条第7項第2号)。


2.日影規制(建築基準法第56の2)


自分が住むところを考えた時、日当たりが良いところを選ぶと思います。できれば日当たりの悪いところには住みたくありません。
そして、もともと日当たりのよい立地であったにもかかわらず、隣地に高層マンションが建てられたら、日当たりが極端に悪くなり、良好な住環境が台無しになります。
そこで、建物を建てるときには、近隣の敷地の日当たりを確保するために、一定の時間は、近隣の土地に日影を生じてはならないという制限を設けています。これが、日影規制になります。

例えば、第一種低層住居専用地域内においては、



(1)日影規制の内容


・地盤面から1.5mなどの一定の高さにおいて
・敷地境界線から5mを超えて10mまでの範囲でなど
・一定時間以上は日影を作ってはならない(日影時間の測定は、冬至日に行う)

*冬至日 1年で最も太陽の位置が低くなる日です。2024年の冬至日は、12月21日です。冬至日の8時から16時(北海道のみ9時から15時)の間の日影の落ち方で検証されます。というのは、1年で最も日照時間の短い冬至日を基準にすれば、他の日には、それより長い日照時間が確保できるからです。



令和2年10月問題18

建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 公衆便所及び巡査派出所については、特定行政庁の許可を得ないで、道路に突き出して建築することができる。

2 近隣商業地域内において、客席の部分の床面積の合計が200㎡以上の映画館は建築することができない。

3 建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、老人ホームの共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとされている。

4 日影による中高層の建築物の高さの制限に係る日影時間の測定は、夏至日の真太陽時の午前8時から午後4時までの間について行われる。


解説

選択肢4は、誤りです。
冬至日の8時から16時(北海道のみ9時から15時)の間の日影の落ち方で測定されます。
選択肢では、「夏至日」(げしび 6月21日ころ)を基準にしています。この夏至日である、1年で最も日照時間が長い日に日照が得られても、冬になって真っ暗であったら、日影規制の意味がありません。


(2)対象区域


日影規制の対象区域は、ほとんどの用途地域になります。
なので、対象区域外を覚えておくのが効率的です。
対象区域外としては、
業地域
業地域
・工業用地域
の3つになります。

この3つの地域においては、あまり人の居住に向いていません。ということから、日当たりはたいして重要視されません。また、商業や工業の利便性を重視することからも、商業地域や工業地域、工業専用地域は、日影規制の対象区域として指定することはできません(但し、建築基準法第56条の2第4項によって、対象区域に影響を及ぼす場合は、対象区域内にある建築物とみなして、日影規制が適用されます。)。


対象が区域に影響を及ぼす場合というのは、上記の図のような商業地域と第一種低層住居専用地域が隣接しているような場合です。
自己所有地が商業地域であった場合、日影規制の対象区域として指定することはできません。
しかし、日影になるのが第一種低層住居専用地域である場合には、対象地域に日照について影響を及ぼすことになります。
このような場合には、さすがに例外的に日影規制の対象にする必要が出てきます。
そこで、日影規制の対象区域外であっても、高さが10mを超え、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるものについては、対象区域内にある建築物とみなして、日影規制が適用されることになります(建築基準法第56条の2第4項)。

日影規制の対象区域外のエリアの覚え方

日影では、商工専もん

それから、用途地域の指定のない区域についても、日影規制の対象に含まれています。

日影規制の対象となるのは、日影規制の対象区域で、かつ、地方公共団体条例で指定した区域において、日影規制の対象になります。
ですから、同じ用途地域であっても、自治体によって日影時間が異なることがあります。

では、どうして地方公共団体が条例で指定した区域にしているのか?

この点、日当たりや土地利用の状況には地域性があって、その地域の実情を考慮して決めるのが適当だからです。


平成18年問題22

建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 第二種中高層住居専用地域内における建築物については、法第56条第1項第3号の規定による北側斜線制限は適用されない。

2 第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域内における建築物については、法第56条第1項第2号の規定による隣地斜線制限が適用される。

3 隣地境界線上で確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして一定の基準に適合する建築物については、法第56条第1項第2号の規定による隣地斜線制限は適用されない。

4 法第56条の2第1項の規定による日影規制の対象区域は地方公共団体が条例で指定することとされているが、商業地域、工業地域及び工業専用地域においては、日影規制の対象区域として指定することができない。


解説

選択肢4は、正しいです。
商業地域、工業地域、工業専用地域は、日影規制の対象区域として指定することはできません。

日影規制の対象区域外のエリアの覚え方

日影では、商工専もん



令和5年問題18
次の記述のうち、建築基準法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 法第53条第1項及び第2項の建蔽率制限に係る規定の適用については、準防火地域内にある準耐火建築物であり、かつ、街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物にあっては同条第1項各号に定める数値に10分の2を加えたものをもって当該各号に定める数値とする。

2 建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならず、地盤面下に設ける建築物においても同様である。

3 地方公共団体は、その敷地が袋路状道路にのみ接する建築物であって、延べ面積が150㎡を超えるものについては、一戸建ての住宅であっても、条例で、その敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係に関して必要な制限を付加することができる。

4 冬至日において、法第56条の2第1項の規定による日影規制の対象区域内の土地に日影を生じさせるものであっても、対象区域外にある建築物であれば一律に、同項の規定は適用されない。


解説

選択肢4は、誤りです。
商業地域・工業地域・工業専用地域は、日影規制の対象区域として指定することができません(建築基準法第56条の2第1項)。よって、商業地域内の建物については、原則として、日影規制が適用されないことになります。
ただし、例外があります。
対象区域外の建築物であっても、高さが10mを超え、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるものについては、対象区域内にある建築物とみなして、日影規制が適用されます(同条第4項)。
同じような問題が、平成21年問題19でも出題されています。


(3)規制を受ける建築物


規制を受ける建築物については、地域ごとに異なります。

・低層住居専用地域、田園住居地域の場合は、①軒の高さ7mを超える建築物、または地上階数3以上の建築物が規制を受ける建築物になります。

・その他の用途地域の場合は、②高さ10mを超える建築物が規制を受ける建築物になります。

日影規制の対象になる建築物の覚え方

屋根の低い、軒下7か、3階以上、その他は7+3で10m


(4)日影規制の特例


日影規制には、以下のような日影規制が適用されないなどの特例(例外)があります。

①特定行政庁が、土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合には、日影規制は適用されません。

②建築物の敷地が道路、水面、線路敷などに接する場合、建築物の敷地をこれに隣接する敷地との高低差が著しい場合などの特別の事情があるときには、日影規制の緩和措置があります。
これは、日影規制の必要性が、あまりないための緩和措置です。

(5)同一の敷地内に2以上の建築物がある場合の取扱い


同一の敷地内に2以上の建築物がある場合は、これらの建築物を1つの建築物とみなして、日影規制を適用することになります(建築基準法第56条の2第2項)。



平成7年問題24
日影による中高層の建築物の高さの制限(以下この問において「日影規制」という。)に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 日影規制の対象となる区域については、その区域の存する地方の気候及び風土、土地利用の状況等を勘案して、都市計画で定められる。

2 第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域において、日影規制の対象となるのは、軒の高さが7m又は高さが10mを超える建築物である。

3 同一の敷地内に2以上の建築物がある場合においては、これらの建築物を一の建築物とみなして、日影規制が適用される。

4 建築物の敷地が道路、水面、線路敷その他これらに類するものに接する場合であっても日影規制の緩和に関する措置はない。


解説

選択肢1は、誤りです。
日影規制の対象区域については、地方公共団体の条例で指定します(建築基準法第56条の2第1項)。選択肢のように、都市計画で定めるわけではありません。


選択肢2は、誤りです。
日影規制の対象となる建築物については、どのような区域かによって異なります。

第一種・第二種中高層住居専用地域においては、高さが10mを超えるものとなっています(建築基準法第56条の2第1項、同別表第4)。選択肢の「軒の高さ7m」は、低層住居専用地域、田園住居地域の場合とのひっかけです。


選択肢3は、正しいです。


選択肢4は、誤りです。
建築物の敷地が、道路、水面、線路敷その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する隣地との高低差が著しい場合などは、日影規制の規定の適用が緩和されます(建築基準法第56条の2第2項)。


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