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40点を目指す講義NO.18 敷地面積の最低限度等



今回の内容は、YouTubeで視聴できます。


集団規定の続き


1.敷地面積の最低限度

敷地面積の最低限度という集団規定があります。
これは、敷地の使い方の制限になります。

建築基準法第53条の2
建築物の敷地面積は、用途地域に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、当該最低限度以上でなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の敷地については、この限りでない。
一 前条第六項第一号に掲げる建築物(防火地域内にある耐火建築物)
二 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で公益上必要なもの
三 その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物であつて、特定行政庁が市街地の環境を害するおそれがないと認めて許可したもの
四 特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの
2 前項の都市計画において建築物の敷地面積の最低限度を定める場合においては、その最低限度は、二百平方メートルを超えてはならない。

これは、小さな敷地に、さらに小さな建物がぎゅうぎゅうにたくさん立ち並んでいるような街は、ちまちまとして住みづらく感じることから、それを避けるための制限になります。

実は、敷地を売る業者は、土地を細分化して小さな敷地ばかりにして、敷地を売却した方が儲かります。このようなことから、ミニ開発をしがちです。しかし、これでは、街並みが悪くなるので、建築基準法は、このようなミニ開発を防止しています。

そこで、すべての用途地域においては、必要に応じて、都市計画によって、200㎡を超えない範囲内で、敷地面積の最低限度を定めることができます。

ここは、あくまでも「200㎡を超えない範囲で」ということなので、例えば、「100㎡以上の敷地面積にしてください」などと決めることができるということになります。このような定めがある場合には、100㎡以下の、例えば、90㎡の敷地面積の場合には、建築物を建築することができなくなります。

ここでは、法律上、「200㎡を超えない範囲で」とありますが、建築基準法が、200㎡を目安にしたのは、最低限度の数値が大きくなりすぎると、土地所有者の負担が重くなりすぎることから、そのことを考慮して、200㎡を超えるないことを1つの限度としたというものになります。


2.低層住居専用地域等内での規制

低層住居専用地域グループ(第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域)では、他の用途地域にはない以下の制限があります。
制限は、2つになります。

・建築物の絶対的高さの制限
・隣地境界からの外壁後退距離

このような制限があるのはどうしてか?

低層住居専用地域グループは、「低層住居」とあることからも明らかなとおり、2階建てくらいの家が立ち並ぶ、ゆったりとした閑静な住宅街を予定しているからです。


(1)建築物の絶対的高さの制限

低層住居専用地域グループでは、絶対的高さの制限があります(建築基準法第55条第1項)。
必要であれば制限を定めるということではなく、絶対的に高さの制限があります。

原則として、高さが、10mまたは12mのうち、都市計画で定められた建築物の高さの最高限度を超えてはならないことになっています。

ここでは、数字が大事なポイントになってきます。数字を覚えておけば、試験での問題が解けるような感じになります。

この制限では、高くても12mまでになります。1フロアの高さは、約3メートルなので、低層住居専用地域グループでは、1階~3階建ての低層住宅しか建てる事ができません。

なお、例外があります(建築基準法第55条第4項、第5項、第44条第2項)。
・周囲に広い公園等がある建築物で、低層住宅に係る良好な住居の環境を害する恐れがないと認めて、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可したもの
・学校などの用途に供するもので、その用途により特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可したもの

のいずれかに該当する建築物は、その必要性から、例外的に絶対的高さ制限はなくなります。


(2)隣地境界からの外壁後退距離

低層住居専用地域グループにおいては、必要であれば、建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離(外壁の後退距離)は、当該地域に関する都市計画において外壁の後退距離の限度が定められた場合においては、1.5mまたは1m以上でなければならないことになっています(都市計画法第54条)。

ここでは、「必要があれば」という部分と数字が大事なポイントになってきます。
隣地境界からの外壁後退距離の制限は、必ずではなく、「必要があれば」定めることになっています。

後退距離については、1.5mまたは1m以上とされています。これは、両サイドを合わせると、3mまたは2mが削られることになります。
敷地の所有者としては、結構厳しい規制になります。狭い敷地になると、建築物をかなり小さくする必要が出てきます。
このような事情から、後退距離を2mとかにすることは、やり過ぎであって、現実的ではないということになります。


低層住居専用地域グループにおいては、このように敷地境界線から1m以上の距離を取って家が建てられていることから、敷地は大きめでゆったりとしています。


平成19年問題22
第二種低層住居専用地域に指定されている区域内の土地(以下この問において「区域内の土地」という。)に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、特定行政庁の許可については考慮しないものとする。

1 区域内の土地においては、美容院の用途に供する部分の床面積の合計が100㎡である2階建ての美容院を建築することができない。

2 区域内の土地においては、都市計画において建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離の限度を2m又は1.5mとして定めることができる。

3 区域内の土地においては、高さが9mを超える建築物を建築することはできない。

4 区域内の土地においては、建築物を建築しようとする際、当該建築物に対する建築基準法第56条第1項第2号のいわゆる隣地斜線制限の適用はない。


解説

選択肢2は、誤りです。
低層住居専用地域グループ(第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域)内の土地においては、建築物の外壁またはこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離の限度を1.5mまたは1mとして定めることができることになっています(建築基準法第54条第2項)。
選択肢のように、2mとして定めることはできません。


選択肢3は、誤りです。
低層住居専用地域グループ内の建築物の高さ制限は、10mまたは12mのどちらかに定められています(建築基準法第55条第1項)。
仮に、10mまたは12mのうち、10mの数値が定められている場合でも、選択肢のような高さが9mを超える建築物を建築することはできます。


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