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エビが威張ってないんだよね…。

淡路町の「神田まつや」にやってくる。

今、何が好物ですか?って聞かれたら間違いなく「そば」って答える。
若い頃、そばはあんまり好きじゃなかった。
うどんやラーメンは自由でいろんな工夫にみちあふれてるのに、そばの世界は頑なで退屈なように感じたのです。
ところが歳を重ねるにしたがって、地味に見えていたそばの世界が多様で多彩ではなやかで、変化に富んだもって気づく。

お店によって微妙に異なる麺の太さや硬さに状態。かえしや出汁の味わい、風味。それぞれの違いは小さく、なのにそれらが組み合わさるとまるで違った表情になる。それがとってもたのしくて、今では本当にオキニイリ。
ざるならあそこ、天ぷらそばはあそこかな…、とオキニイリのお店ができていくのもうれしく、そういうお店のひとつがここ。ちなみにここで好きなのは「天なんばん」でございます。

お値段、税込み1210円。
財布を探すと千円札と百円玉が4枚あった。10円玉があいにくなくて1300円を置いて料理をのんびり待った。
10分ほどで料理が到着。

天ぷらそばにくらべてエビが小さい。
中指くらいのサイズのエビを天ぷらにして、三尾並べて衣でまとめて筏に仕立てる。
それにネギ。
「エビが威張ってないのがいいね」ってタナカくんもここではこれが好きだった。

3つの天ぷらを衣でつないでいるから衣が多い。つないだ部分は薄くてもろくて、汁を吸い込みすぐに崩れる。
崩れてちらかり油を汁に移しつつ、自分もぽってりやわらかになる。たぐったそばと一緒になってトゥルンと口にすべりこんでくるのがステキ。

ネギはキュッキュと奥歯をくすぐるように壊れて芯の部分はねっとり甘い。そばはばっさり。前歯で歯切れて口の中にちらかっていく。熱々の汁に浸かってゆっくりネットリしていく感じがオキニイリ。
汁は濃い口。スッキリとした酸味がおいしい好みの味わい。
麺が良い。天ぷらも良く汁も良い。ほどよい量もありがたく、すべてにおいてバランスが良い。
汁が濃いからそばを全部食べ終わったらそば湯で割って汁を味わう。刻んだネギはここで投入。

そば湯を注ぐと汁は薄まる。薄まることで出汁の風味や味わいが不思議なほどにはっきりしてくる。ネギの香りも出汁の風味をひきたてて、ウットリしながらコクリ、コクリと飲んでお腹をあっためる。


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