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回転寿司とセルフのうどん屋

スシローとくら寿司。どっちがボクは好きなんだろう…、と考えてみた。
スシローは「食べることができるサンプル」が流れるベルトを備えた高速レーンのニューレストラン。ハンバーガーや餃子、焼売みたいな商品がメニューになっても驚かないほど寿司への執着を感じない。
その点、くら寿司はあくまで回転寿司の進化系。

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タブレット端末があるけれど寿司を流すということに執着してる。その分、満席になるとタブレットでたのんだ商品の提供時間が長くなるけど、待つだけの価値のある寿司がやってくるから、回転寿司としてならばボクはくら寿司の方が好き。
それにしてもわさびを一緒に握らぬことを「食べる直前にわさびをのせたほうが風味が際立つ」と見事な自己肯定の仕方に笑う。

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熱々のくらの出汁を飲みながら、サクサクに揚がったフレンチフライをつまめばもうそれだけでボクは満足。くら寿司万歳って感じであります。

回転寿司って、お客様がとってくれるかどうかわからぬ寿司を勇気をもってベルトに流す商売だった。
ただ勇気だけでは商売にならない。
経験を元にした法則めいたものをお店、お店で作ってそれで営業してた。
その日の客層やお店の空気を感じながら何をどのくらい握って流すのかを考える。
ベルトを挟んでお客様と寿司職人が真剣勝負をする場が回転寿司という店だった。
ところがタブレットで注文したものだけを握ればいい状況では、人と人との真剣勝負は必要なくなる。
回転寿司は知恵と勇気の産業じゃなく、設備投資と仕入れ力。つまりお金がすべてを制する時代になっちゃった。なんだか切なくなっちゃいます。

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分厚く大きなアトランティックサーモン。ねっとりとしたとろける感じに脂のキレの良さにウットリ。赤みのマグロはひんやりと酸味おいしく、穴子はねっとり。イカはもったり、シャリと一緒にとろけてく。エビにマヨネーズをのっけて炙ったものなんて、もうエビがおいしいとかじゃなく炙ったマヨネーズは絶対おいしい…、って味わいのもの。カッパはシャキッとみずみずしい。

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海苔の使い方が上手なことに感心しました。
丸ごとホタテの軍艦巻きっていうのがあって、握り寿司にはなかなかならぬ小さなサイズのホタテを軍艦に使って作る。パリッと海苔が破けるところにホタテのむっちりした食感がやってくるのが良い工夫。

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トロにわさびをのっけて海苔にのっけてやってくる。自分でくるんで食べてというすごく贅沢な手巻きな感じもオモシロイ。
中でもびっくりしたの「ウニ入り海鮮軍艦」で、ウニの色をしていてウニの香りや味の予感もあるけれど断じてウニではない一品で、回転寿司の商品開発能力のスゴさを感じた。

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アメリカにおいて寿司はロールという形で新しい命を獲得した。日本では「軍艦巻き」という形で新しい寿司の世界ができていくんだろうなぁ…、海苔でカップを作れば中にどんな形のものだって収めることができるんだもん。勉強しました…、オモシロイ。

寿司を食べるとあたたかい汁麺を食べたくなる。
ちょうどくら寿司の近くに讃岐うどんの麺通団がある。

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今でこそ丸亀製麺をはじめとして、全国的に普通の業態になったけど、東京にこの店ができたときにはびっくりしました。
さぬきでは当たり前のことが東京では珍しく、お店は大繁盛。入り口に麺を茹でる大きな釜。そこでもらったうどんを手にレジに向かって歩いていくと揚げたての天ぷらがありおむすびやきつねや薬味がずらり並んで、最後に汁をかけて仕上げる。

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セルフサービスではあったけれど、決して安売りではなく天ぷらやおむすびを一緒にすれば1000円近くにすぐなった。
それでも人と人とのふれあいがたのしく、しかもおいしい。安くしなくても流行ったし、結果、昔から東京でやっていたうどん屋さんの値ごろ感を壊すこと無く共存共栄。安く売れるから安く売る…、では通らぬ仁義があるのです。

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今日はお店に入ったときに麺がそろそろ茹で上がるというタイミングで5分ほど待ち、茹で上がったばかりのうどんをもらってそこに熱々の出汁。水で洗っていないから小麦の香りが強烈で、しかもうどんが含んだ塩がおいしい。

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茄子の甘辛煮があってそれをおかずに、天かす、ネギにしょうがを別のお皿にたっぷり。最初はそのままうどんと汁の持ち味あじわい、途中で薬味。油のコクや生姜の香りをたのしんで最後に茄子の煮付けをのっけて甘辛味が混じり合うのをたのしんだ。
途中で汁がたりなくなります。カップにかけ汁をもらってそれを注いでスルリ。おいしいものはやっぱりおいしい。オゴチソウ。


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