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真空パックされた豊かな時代の豊かな空間

テクリ歩いてお茶を飲もうと家の近所の喫茶店。
かつてよく来た中国料理の木蘭の二軒隣。最近よく来るマガザンルージュってビストロの隣のお店。
「珈琲館&サルーン騎士道」っていう店名がずっと気になっていた。

タナカくんとも「気になるよねぇ」って前を通るたび言っていたけど入ってみようと決心なかなかつかなかった。
なにしろサロンでなくてサルーンです。
しかも騎士道!
覚悟を決めて背筋を伸ばして扉をあける。

作った人の思いのこもったお店です。
何種類もの壁紙にレンガの壁にマホガニー。四方八方どれひとつとして同じ意匠の壁はなく、入り口脇の壁には西洋騎士の兜の形の真鍮細工。
二階もお店だったんですネ…、今も使っているかどうかはわからないけど優美な階段。L字カウンターの角にはティファニーランプが置かれて、背もたれの小さな革張りのスツールがスナックみたいなムードを醸す。

ヨーロッパの古城がプリントされた壁紙。こういうお店がまだ残ってるってなんだかステキ。
天井を見ればシャンデリア。

創業は1984年といいますからバブルの最中にできた店。お金をかけるべきところにかけたお店って40年たってもみずみずしくて長持ちするんだ…、って感心します。

近所の人がランチをとりにやってくる。食事をするのが目的というより、お店の人とおしゃべりするのがたのしくて…、って感じがステキ。
カレーの匂いや麺を炒める音に混じって甘いケチャップの匂いがしてくる。昼食を食べたばかりなのにお腹が鳴っちゃうおいしい匂い。

ちょっと酸っぱ目のコーヒーです。ミルクを注ぐと酸でチリチリ固まってゆらゆら揺れる。しみじみ昭和でございます。


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