見出し画像

コーヒーフロートの思い出

家で仕事をしていると気分を変えたくなることがあり、そんなときに重宝するのがバーガーキング。
家から一番近いチェーン店。
かつて喫煙席だったガラスの壁で仕切られた10隻ほどのホールがあって、そこのカウンターが考え事をするのに丁度よい。
みっちりとした空気感。
目の前に壁。
書類を広げることができるほどよき奥行きをもったカウンターに電源ポート。気持ちを追い込むのにいい空間。
1980年代から90年代のアメリカンポップスがBGMでなつかしい上、曲が変わるごとに気持ちが変わる。
今、ビリージョエルのピアノマンからクイーンのSomebody to Loveに変わったところ。

フロートが170円になるクーポンがあってそれを使って考え事。
硬めで甘いソフトクリームが苦いアイスコーヒーにピッタリで氷もギッシリ。だからずっと溶けずにいてくれるのがいい。

そういえばタナカくんとたまに口論になるとボクは家出してた。
家出といっても小さな家出。
場所はいつのこのお店。MacBookを小脇に抱えて飛び出してこの店にきて仕事をしてると10分くらいしてタナカくんが迎えにくるのね。
カウンターの隣に座ってしばらく互いに何も言わず、ボクはMacBookのキーボードを叩き、タナカくんはiPhoneを弄ってる。

タナカくんはいつもアイスコーヒーフロートを買ってくるのね…、ボクは大体アイスティー。

しばらくするとストローの平べったいところにシャーベット状になったコーヒー味のソフトクリームをのっけてヒョイとボクの方に差し出して、「ここおいしいよね」って言って食べさせてくれるのが仲直りの合図だった。
口論なんて些細な理由で起こるもので、時間をおけば互いの気持ちは落ち着くから自然と許し合えるもの。
そしてしばらくおしゃべりをしてふたりで部屋に帰る途中に手をつなぐ。

しあわせだったなぁ…、って思う。なつかしい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?