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越前そばに焼き鯖の寿司

神楽坂は坂の町。あまりに急な坂道で、神輿を坂の上に運ぶのに難儀してたら神楽が聞こえ、それで神輿が軽くなった。
これが神楽坂の名前の所以なんて説があるほど急な坂。
当時に比べれば坂は随分ゆるくなったと言われるけれど、還暦過ぎの体にはきつい坂です。息上がる。
ちなみに一本北側の坂道は「軽子坂」。神楽坂に比べれば坂がゆるくてちょっと楽。

坂の途中の「九頭龍蕎麦」にやってくる。
越前そばのおいしいお店。

立派な門に麻の暖簾がぶらさがり、そこから一直線にテラスが続く。
灯りが等間隔におかれててリゾートホテルに入っていくようなドラマティックなアプローチ。

お店も大人ムードでレストラン的。以前に比べて間仕切りが随所におかれてプライバシーを感じるようになったけど、前の開放的なムードもよかった。好きだった。
サービスは変わらず丁寧。
「福井の郷土料理とおろしそばでおもてなしする店」というのがキャッチフレーズで、越前おろしそばと焼鯖寿司のセットをたのむ。

毎回ここではこれ一択。
そばの茹で時間がほぼ提供時間という組み合わせ。
5分たらずで料理が届く。
お膳の奥に焼鯖寿司と冷たいおそば。
そばの器の手前には辛味大根をおろしてたれと混ぜたもの。
それから漬物。かつてはだし巻き卵がついていたけどなくなっちゃった。
ちと残念。
そばの上には削ったばかりの鰹節がたっぷりのせられふわふわ揺れる。刻みネギもたっぷりと…。

キリッと角の立ったそば。太くて若干色黒でつややかにしてみずみずしい。そこに大根おろしのたれをザーッとかけて味わうぶっかけスタイル。
大根おろしが空気をたっぷり含んでふっくら。たれと混じるとぽってりしてきて蕎麦にかけるとまるでとろろのようにふるまう。

歯ごたえのあるそば。しかも太めで、なのにしっかりたれがからみついてくれるのはピュレのようになった辛味大根のおかげでしょうネ。
大根汁とたれが混じって味わいスッキリ、辛みがツーンと鼻から抜ける。冷たいそばや汁を食べているのにお腹の中がポカポカあったかになっていくのも面白い。

焼鯖寿司のサバは脂が乗っていて、しかも強めに酢で〆られて、皮目をこんがり焼き上げている。酢飯は押されてかたまっていて見た目以上に食べごたえがある。ハラリとちらかる酢飯とサバの脂がまじりあい口の中でとろけるようになっていくのがおゴチソウ。

そば湯が竹筒におさめられているのが粋でしかも熱々。そば湯で割った大根汁は辛味スッキリ、うま味があとから押しよせる。ほどよき量もオキニイリ。


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