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銀鮭定食に1200円の値段をつける勇気と自信

四谷駅前の再開発ビルの一階に飲食店が11軒。
カフェにワインレストランに日本料理の専門店とバリエーションゆたかなテナント構成。駅前なのにほとんどの店がぼんやりとした営業状況。
唯一例外なのが「できたて屋」っていう食堂で、昼夜問わず営業時間はずっとほどよくにぎわっている。

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回転寿司や立喰寿司で人気の「根室はなまる」がやっている店。
お店の窓に「自家製一夜干し」「毎日精米」って貼り紙があって、店の中には精米機。おいしそうな匂いもしてきて、お店の中に入ると厨房。
右手には刺し身や海鮮丼用の魚がズラリと並ぶ。真正面には炭が煽った焼き場があってそこで魚が焼かれてる。
しかも網の上に並んだ魚の分厚く大きなこと!魚でお腹いっぱいにしようと思ってお店に入って、外をながめるカウンター席に座ってメニューを開いて見る。

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魚がメインの定食と海鮮丼がズラリと並ぶ。「まるでステーキ!」と注釈がついてた銀鮭が気になってその定食にザンギを追加。ご飯に味噌汁、サラダがついて1530円。銀鮭の定食だけだと1210円。勇気のある値段です。
焼き鮭定食といえば安い店なら850円。1000円っていうのが昼のご飯の一番売りやすい値段。立派なしつらえと和服+丁寧なサービス付きなら1500円という店もあるけれど、合理的な造りで最小限のサービスの店で1200円というのは強気と見える。
けれどその200円が劇的に料理の内容を良くしてくれる。それがわかっていても勇気がないとそうは出来ない。むつかしい。

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漬物はポットの中に入って取り放題。

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お茶は出さない代わりに水のグラスは特大サイズ。いろんな割り切りが潔くって中途半端なサービスをされるよりもいいかもしれない。

時間がかかる。
10分ちょっとかかりましたか…。
ランチタイムとしてはかなりの時間で、でも分厚い魚を炭で焼き上げるためには当然のこと。

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お待たせしましたとやってきた鮭の見事に大きく分厚く、しかも皮までバリッと焼かれていることにウットリします。

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待ったかいがあったというもの。
味をつけずに炭の香りをまとわせただけ。徳利に入った白醤油をかけて好みの味で味わうというのもおいしい割り切り。

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焼き魚の定食って大抵がご飯を持て余してしまう程度の量しかなくてそれでザンギもたのんだのだけど、ここではメインの銀鮭を持て余してしまいそうなほどにボリュームたっぷりで、「まるでステーキ!」っていうキャッチフレーズも決して大げさじゃないステキ。

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軽く干してから焼いているので脂が落ちてさっぱりとした味わいで噛みごたえのよいオゴチソウ。

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土瓶の中に熱々の出汁。他の料理と一緒に運ばれてきてのだけど、時間がたっても熱々で、どうしてなのかと土瓶の蓋をあけてみると内側は魔法瓶のようになっていたのに感心します。
だしかけご飯にするときの出汁がぬるくちゃおいしさ半減。
そば湯なんかもこのスタイルで出してくれるといいのになぁって思ったりもする。いい工夫。
ご飯の上に鮭の身と皮をちぎってのっけて、小鉢に入ってたアオサを添えてザザッと出汁をかけまわし、サラサラ食べてお腹いっぱい。
おいしい魚が食べたくなったらここに来ればいい。そういうお店を作ってくれたことにしみじみ感謝する。


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