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春の雪解け…、胡椒が残るソルロンタン

滋養に満ちたゴチソウで週末の朝をはじめましょうと、赤坂にある「一龍別館」にやってくる。

24時間営業にして年中無休。ソルロンタンの専門店。
ソルロンタンの他には茹でた牛すじ肉「スユク」とチャプチェ、チヂミがあるだけ。それでも何十年もやれてるところがこの店のスゴいところであり、赤坂という町の独特なとこ。
創業1965年という老舗です。
テーブル3つ。小上がり座敷にテーブル3つと小さいお店。厨房では調理人が2人いて朝からにぎやか。

「雪濃湯」と書いてソルロンタン。

一龍特製の牛頬肉のスタミナスープという謳い文句に朝のお腹がキュンとする。
注文するとテキパキおかずが運ばれてきてあっという間にテーブルの上がにぎやかになっていく。

黒豆、ニンニクの茎におでんの煮付け、もやしのナムルにざっくり崩したケランチム。わらびの煮付けにチョンガキムチに青菜のおひたし、ジャコの辛子炒めとまず8種類。ずっと変わらぬ顔ぶれにニッコリします。

続いてキムチにカクテキ、韓国海苔と全11皿。なんともニギヤカ。
メインのソルロンタンにご飯で朝のひと揃え。

「雪濃湯」とは言い得て妙な乳白色のうつくしき様。
おいしい匂いがフワッと漂う。嗅いでるだけで元気になるようなおいしい予感にウットリします。

牛頬肉のぶつ切りに春雨、刻んだネギと具材はシンプル。塩を少々、胡椒をたっぷり、好みの味にして食べる。

肉や骨からしみだした旨み、風味でスープはどっしり。肉はクチャっと潰れます。
日がな一日、ずっと口を動かす牛の頬です。筋肉質で硬いけれど旨みが強くてコラーゲン分をたっぷり含んでる。スプーンで押すと潰れるほどに煮込まれて、けれど歯応えたくましい。すべすべとした春雨が肉の食感ひきたててひと噛みごとに体に元気がしみこむようなオゴチソウ。

スープに溶け出したコラーゲンで、唇や口の中がすべすべしてくる。体の中の傷んだところを覆って修復してくれそうな味わい深さ。口に含んだご飯の表面までもすべすべさせるてウットリします。
おかずひとつひとつはやさしい味わい。硬めの黒豆はコツコツ奥歯を叩いて壊れ、野菜はシャキシャキ、ジャコはザクザクと食感にぎやか。口の中から目覚める感じがオモシロイ。

それにしてもここのキムチやカクテキはいつもおいしい。すっきりとした酸味がおいしいカクテキは、舌にのせるとシュワっと泡がはじけるような発酵具合。キムチはほんのり甘くて歯触りがよい。
全部キレイにお腹に収め、スープの器の底に胡椒がたっぷり残る。雪どけみたい…、って思ってニッコリ。歩きましょ。


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