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あるでん亭は「いきなりスパゲティ」かもしれない(笑)

おいしいスパゲティを食べたくって「あるでん亭」にやってくる。

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日本的なスパゲティー専門店はたくさんある。日本人得意の創意工夫で作り出されたパスタを使った麺料理。
そのほとんどは「いかに安価に、そして手早く」調理できるか…、という一点でできあがる。その代表がナポリタンやミートソース。明太子や醤油味の和風スパゲティもそういう作り。最近ブームの生パスタもそういう日本的スパゲティの文脈の流れで考えると、お店が流行らせたい気持ちがわかる。
イタリアのスパゲティをしっかり作ろうと思えば、時間もかかるし手間もかかる。ソースをかけておしまいなんてことはなく、鍋の中で素材をあわせて仕上げる料理で、技術も必要。イタリア料理店にいくと、前菜やワインでスパゲティをゆっくり待たなきゃいけないけれど、この店ならば長くても10分ほどで素性正しきスパゲティにありつける。

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普通のイタリア料理店でしない工夫と言えば麺の茹で釜。開いた花のような構造。メシベの代わりに水道パイプと蛇口があって、花びら部分が麺を収める器になってる。グルンと一回りしたところで茹で上がり、オシベのような取っ手を引くと中身がザザッと流れ出てきて出来上がり。
丁寧にメンテンスされてて鈍く光って角がなめらかなのにウットリします。

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ブルスケッタをメインのスパゲティのお供にもらう。これが上出来。分厚く切ったバゲットを軽くトーストしたところにオリーブオイルであえたざく切りトマトをドサッ。生のにんにくがたっぷり入っててそれがピリピリ、しびれる辛さ。軽い苦味とトマトの酸味でお腹が開く。

ガビの白なんかをあわせるとおいしいだろうなぁ…、なんて思いながらカメラで写真を撮ってたら、シェフがひょっこり顔をのぞかせ「いいカメラですねぇ」って褒めてもらった。
おいしく撮ってくださいね…、って言われて気合をいれるも白熱電球独特の強いコントラストと色が苦手で難儀する。
こうじゃないなぁ…、これでもないなぁと撮ってるうちにカルボナーラが完成します。

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シェフが一言。
「ライカ用カルボナーラ、完成しました」(笑)。お店の人も笑いながら運んできました。
麺は少なめ。ベーコンと卵黄、チーズに胡椒。ほんのちょっとの生クリームで仕上げた限りなく本当のカルボナーラに近い仕上がり。ベーコンのグリルを一枚追加したもの。

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カリカリに炒められたベーコンがたっぷり入って、その脂で麺の表面がつやつやしている。卵の黄身の色もおいしげでネットリ麺が口のすみずみにからみついてはほどけてく。
胡椒をたっぷりかけても、辛味はほとんど感じぬほどに脂がおいしく風味と甘みが引き立つ感じ。チーズをドサッとくわえてハフっ。ベーコンも麺と一緒に食べようと、注意しながら食べても最後になぜだかベーコンが残ってしまう。ソースもお皿にたっぷり残り、ブルスケッタのパンを残して置けばなぁ…、って思うも手遅れ。指でぬぐってなめて〆。


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