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月命日の特製天丼

そして月命日の夕食…、ひさしぶりに特製天丼。
伊勢丹の食堂街の中の「天一」。そこの特製天丼の松というのがおそらくタナカくんと一緒に一番多く食べた天丼。

25年間、ほぼ毎月1度のペースで食べ続けたから確実に200食は食べたんだと思う。
蓋付きの大きな丼。しじみの赤だし、サラダに漬物とずっと変わらず。最初の10年ほどは有田焼によく見る蒔絵仕上げの派手な丼だったけど、今はちょっと地味にはなった。

「ちょっとさみしくなっちゃったね」って悲しそうに言ったことがある。
ただ天丼のネタは変わらず。

エビが二尾に穴子にキス、アスパラガスに海老しんじょをつめた椎茸、小エビのかき揚げ。

かき揚げの上に柚子の皮があしらわれていて蓋を開けると天ぷら油とタレのどっしりとした香りに混じって柑橘系のさわやかな香りがしてくる。お腹がなります。

まずサラダ。

このドレッシングが好きだったのネ。
生姜の香りのドレッシングで、アメリカの鉄板焼きのお店や和食店のサラダによく使われるものと似ている。
レタスにきゅうりとレッドオニオンのスライスとサラダ自体はシンプルで、ドレッシングを味わう感じ。
お腹の準備がたのしくできる。

椎茸が嫌いだった。
穴子がとても好きだったから食べる前にまず穴子と椎茸を交換するのがいただきますの代わりだった。
今日の穴子はひときわ立派で、よろこんだだろうなぁ…、って思う。
穴子独特の匂いが強すぎると泥臭く、けれど今日のはほどよくてむっちりとした分厚い身質もかなり上等。
海老もみっちり肉がしまっててムチュンと歯切れる。甘くて香り華やかで、尻尾がバリッと砕けて口に散らかる感じもおいしい。まず一尾だけ食べて一尾は取っておく。

硬めのご飯もいい状態。甘くてコクのあるタレをしっかりまとっていながら衣に乾きを感じるのです。揚げたて直後のサクサクとした乾いた衣の食感が台無しにならず余韻を残して仕上げる。プロの手業にウットリします。
かき揚げと海老を残してゆっくり味わう。

ここのかき揚げはしみじみおいしい。小さなエビが肩寄あって仕上がって口の中でハラリとちらかる。小さくとも歯応え、味わいは上等なエビ。口の中がにぎわう感じがなんともうれしい。
最後のエビを味わいながらシジミの身もひとつひとつせせって食べる。尻尾をガリっと齧ったらなんだか涙がでちゃいます。


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