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夫婦で仕上げる端正なワンタン麺

昼、「まるいち」でラーメンにする。

新宿通りから車力門通りを入った坂の途中にあるお店。
古い店です。そして小さい。
7席ほどのL字型のカウンターの内側が厨房。
寡黙に料理を作るご主人と明るくもてなし上手の奥さんが切り盛りするラーメン店。

メニューはラーメン、チャーシュー、ワンタンの組み合わせだけでできていて、餃子なんかは無いのがなんとも潔い。
でもビールはあるのね。
今は3時閉店。
ご主人、奥様、どちらもお年を召したから無理ない営業…、ということなんでしょう。それもよし。
昔は夜もやっていて「ビールがあるんだからビールがあれば飲めるのにね」なんてボクが言ったら、「呑兵衛はラーメンスープでも飲めちゃうの」と名言を残したお店。
なつかしい。

ランチタイムには茶飯と漬物が50円で追加できるというのがありがたく、しかもそれがおいしくってネ。今日はワンタンメンの茶飯付きにしようと思ってお店に入る。
ひさしぶり。

お店に入ると動物性のタンパク質と脂が混じった、昔のラーメン屋さん独特の匂いがします。
先客ひとり。
ワンタンメンに茶飯をつけて…、ってお願いしました。
そしたらまもなく「ワンタンメンに茶飯、おまたせ」って先に来ていたお客さまに料理が出ていく。
ボクに続いてきた人もワンタンメン。
それから続々ワンタンメンの注文が入っていきます。
人気の店の人気の商品。

透き通った醤油スープにワンタン、メンマ、チャーシュー2切れ、ナルトに海苔、ネギがパラッと散らかっている。
ラーメンにあってほしいものがすべてあり、それ以上のものはなにもない潔さがなんともおいしげ。麺は細めの縮れ麺。スープの上には細かな脂がキラキラしてる。

胡椒があうんです…、動物っぽい匂いを胡椒がおだやかにしてスープの軽い酸味を甘くしてくれる。
ザクッと麺が歯切れてちらかり、よく煮込まれたチャーシューはホロホロ崩れる。まるでなまり節を食べてるみたいな口の中で散らかる感じがなんともおいしい。

そしてなによりおいしいのがこのワンタン。

豚ひき肉を包み込みひらひらスープの中で泳ぐように揺れ、口に含むとペラペラプルプル、口の隅々撫で回す。
生姜の香りに肉のうま味にウットリします。

茶飯はスープで炊いたご飯。これが硬めでパラパラしてて胡椒をかけるとまた旨い。
スープを全部飲みたくなるのをなんとか我慢し、ナルトを最後をプルリと食べて、満たされました。

オキニイリ。


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