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スパイシーチリドッグに菜摘

タナカくんの仕事のスタイルは完全に夜型で、〆切前になると徹夜仕事をよくしてた。
朝早くに「お腹が空いたよ…、朝ごはんを食べに行こう」って起こされることがあって、そういうときは徹夜明け。
ご飯を食べたらベッドに入って寝るのが大抵。
だから近所で朝食を食べることがほとんどだった。
一番たくさんいったのがモスバーガー。
四谷三丁目の周りにはかつて朝の時間からやってるお店がいっぱいあった。弁天庵ってイトーヨーカドー系の会社がやってたそば屋の朝定食は好きな朝ごはんのひとつだった。
でもなくなっちゃった。
バーガーキングも朝食メニューをやっていたけど今はなし。
昔と変わらずずっと朝からやってくれているのはモスだったのネ。ひさしぶりに朝ごはんを食べにくる。

朝のここはシニアの女性が中心で運営していて空気がのどか。のんびりできる雰囲気で好き。
コロナの頃にはお店のムードがどこかツンケンしてた。お店にくる人よりもデリバリースタッフが優先される感じにやるせなさを感じたりもしたけれど、今はそれも落ち着いたよう。
コロナでボクらはいろんなものをなくしたけれど、徐々にかつてが戻りはじめた上にあらたななにかも生まれつつある。
こうして時代は前に前にとすすんでいくんだ…、ってしみじみ思う。

さて何を食べよう…、と少々思案。
テリヤキバーガーにしようか、それとも夜限定のライスバーガーにしてみようかと思うも結局、菜摘チキンとスパイシーチリドッグをたのんでお供をアイスティーのストレート。
どちらもタナカくんの大好物。

スパイシーチリドッグはメインディッシュ。
菜摘のレタスはサラダ代わりで、フレンチフライのかわりに挟んだチキンフライ。
完全食だね…、なんて言って食べていた。

タナカくんは腎臓疾患に悩んでいたことがあり、当時は塩抜きダイエットをしてた。ファストフードの中でもカロリー少なめで塩を抜いてもおいしい料理の一番は、菜摘チキンのソース抜きってしばらくそればかり食べていたのを思い出す。

スパイシーチリドッグはやっぱりおいしい。
ふっかりとしたパンとソーセージのむっちりとした噛みごたえ。チリのうま味にハラペーニョの辛味と酸味が見事なバランス。ドッグロールがちょっとだけ甘く感じる…、それも今の傾向なんだと思って食べる。

菜摘のレタスもバリバリ見事にクリスピー。みずみずしくて千切りキャベツのモサモサ感に挟んだフライのパン粉も混じって口の中がにぎやかになる。
お店の壁に今日の野菜の産地と生産者が書いてある。
レタスは熊本県の八代市から。キャベツは北海道美幌町からやってきたという。
こういう表示をはじめたときには「生産地や生産者が特定できる安心感」を無邪気に感じていたけれど、時代がかわり「ボクらは輸送燃料を食べてもいるんだ」って思ってしまう。

地産地消が本当は一番環境にやさしいんだろうけど、そうはいかない都会生活、近代社会。なやましいなぁ…、って思うもこうして生きていて食べたいものを食べられるのはなによりシアワセって思わなくちゃって思うことにした。ありがたい。


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