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サカキさんが「さかき」でそばを食べる昼

もう一軒、浅草橋に行きたいお店があった。
「手打ちそばさかき」というそば屋さん。

4年前の今頃、タナカくんが「さかきって名前のそば屋があるみたいだよ」って探してきたのネ。
今度、一緒に行こうよ…、ごちそうするからってうれしいことを言ってくれ予定もしていたのだけれど結局行かずじまいになっちゃった店。
いつか来ようと思いながらも、4年がかりの今日になった。
駅から近く、なのに静かな風情ある場所。

たしかに「さかき」という名前。袖看板や暖簾に「さかき」と書かれているのがなんだか不思議ではじめてなのになつかしいような気持ちになっちゃう。
京橋に「レストランサカキ」っていう洋食屋さんがあるけれど、そこをやってらっしゃるのは榊原さん。調べてみればここもご主人は榊原さんでらっしゃった。
ゆったり5人座れるカウンターに4人がけのテーブル2卓。カウンターの一番奥に案内される。首を伸ばせば厨房の一番手前に置かれた天ぷら鍋が目に入る。

入り口脇に石臼。
奥に厨房。
ダクトの音に混じってマドリガルの奏でるレスピーギが流れる瀟洒な空気。
うまいに違いない…、って予感がステキ。
海老と野菜の天せいろ。
そばを十割直りで注文しました。

まず塗りのお盆に天つゆに塩、そば猪口、徳利にそばだれ、薬味のネギに辛味大根がきれいに並んでやってくる。
そしてまもなくまずそばが来る。
ざるにこんもり。天ぷらは揚がり次第お持ちいたしますので、伸びないうちにぜひどうぞ…、とひと言添える。

目にみずみずしくつややかな麺。
軽くつまんでつゆに浸してズズッとたぐる。吸い上げた空気と一緒にタレが口の中へとやってきて、パッと香りが明るく広がる。

鰹節の酸味が明るく辛めのタレがボク好み。歯ごたえのあるそばがざっくり歯切れてちらかりそばの香りがふわりと鼻から抜けていく。
おいしいそばです。にっこりします。

そして天ぷら。

海老が2尾、野菜はしいたけ、かぼちゃにししとう。肉厚のしいたけは2つに切られてその片方は海老の天ぷらの枕になってる。
衣は薄付き。そば屋の天ぷらというよりも天ぷら屋さんの天ぷらという風情で、だから天つゆ、あるいは塩で食べたくなっちゃう。
塩で味わう海老の天ぷらのおいしいこと。むっちりとした食感に甘みに香り。ウットリします。

ぽってりとしたそば湯で割ったタレもおいしく、やっぱり一緒に来たかったなぁって思う。
他にも何軒かこの界隈には来たかった店があってこれからちょっと通おうかって思ったりした。オキニイリ。


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