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銀座の路地の大統領

銀座におもしろい韓国料理のお店がある。「釜飯大統領」という名前で、炊きたてのご飯が売り物。
…、とそういう話を昨日していてどうにもこうにも行きたくなった。
場所は銀座松屋の近所の路地。オフィスビルの半地下というあまり目立たぬロケーション。

けれどビルの入り口ににぎやかなイラストが描かれた看板が置かれて目を引く。なにより「釜飯大統領」って店名のインパクトはなかなかのもの。
お店にはいるとほぼ女性客。お店の人も女性ばかりで韓国料理で繁盛しているお店はみんなこういう感じ。
カウンターにひっそり座って静かに食べることにする(笑)。

カウンターの端っこにIHヒーターがズラリ並んで上に小さな圧力鍋。これでご飯を炊き上げる。

シュッシュと蒸気を噴き出す音がしてくる。炊きあがりを知らせる小さなベルがチリリと鳴ると金具で鍋を持ち上げ蓋を取る。その一連の作業がなんともかわいらしてくしかもおいしげ。

ランチのメニューはスンドゥブチゲやタラのチゲ。今日の料理は豚と野菜の炒め物という。スンドゥブチゲを選ぶとご飯を白米にするか、雑穀米かと聞かれて雑穀。

すかさずお盆にサラダと茶碗にしゃもじ、おかず3種がやってくる。
おかずはおでんの煮付けにオイキムチ、ジャコの炒め物と韓国料理屋さんの定番料理。
サラダを全部食べたところでスンドゥブチゲがやってくる。

細かく沸騰した器の中にたっぷりと。生卵が一個浮かんでいるので急いでかき混ぜる。
器が冷めないうちに混ぜないとしっかり熱が入ってくれない。
それでグルグル。あっという間に沸騰していたスープが静かになって卵に熱が入ってく。

具だくさんです。
豆腐にアサリ、厚切りにした豚バラ肉。
タマネギにネギ、しいたけ、しめじ、青唐辛子がゴロッと入っておかずとしても十分な量。
ただちょっとぼんやりした味かなぁ…、辛みおだやか、どこか一味たりない感じ。
個性より万人受けを狙った仕上がり。
悪くない。

お待たせしましたとご飯が到着。

注文してから10分かからずのタイミング。さすが圧力鍋の威力です。
蓋を開けると蒸気がフワッ。

おいしいご飯の香りがしてくる。
しゃもじで茶碗の移すとちょうど茶碗にいっぱい。ご飯の粒はツヤツヤしていて炊き加減はちょっとやわらかめ。もち米っぽい仕上がりで、雑穀がホツホツコツコツ奥歯を叩く感じはたのしい。

鍋にはご飯がびっちり貼り付くているんですネ…。
お願いするとそこに熱々のお茶を注いでくれる。

すかさず蓋して1分ほども休ませると、しゃもじで軽く擦っただけでおこげが鍋肌からスルンと剥がれておこげスープが出来上がる。

それを茶碗に移してサラサラ、お茶漬けみたいにして食べるんだけどこれがおいしい。香ばしくって、スンドゥブチゲの辛さで疲れた舌がホッとする味。おこげがお茶に浸っても、パリパリだった頃の名残を残しているのもいい感じ。
そういえば昔の炊飯器って内釜にご飯がびっしり貼り付いていた。それをこうして食べるのが好きだったんだけど、お行儀悪いって叱られた。
お行儀悪いことを堂々とやれるってなんだかたのしい。お腹も満ちます。オキニイリ。


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