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過ぎぬおいしさ、牛肉の旨味と貝出汁のラーメン

夜になると本格的に寒くなってきた。
なにか体があったまるものを食べようと小滝橋通りを歩いた。
ラーメン店が集まる通りで、とんこつラーメン、エビラーメン、担々麺に味噌ラーメン。こってりもあればあっさりもあり、激辛もありとどれにしようかと迷うもたのしいエリアの中で、ひときわ変わった店を見つける。

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牛肉スープと貝出汁で作ったラーメン。醤油風味と塩味だけという潔いところも気になった。「中華そば流川」という名前。
塩特製ラーメンをたのんでみました…、きっちり1000円。

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カウンターだけの小さな店。入り口近くにスープが入った寸胴鍋がずらりと並ぶもラーメン店に付き物の脂臭さが無いのに感心。テキパキと、しかし淡々と料理が作られ10分もたたず商品到着。

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口は小さめ。深くてぽってりとした形の丼。
ラーメン自体の顔立ちは端正で、静かでうつくしい佇まい。
透き通ったスープに油がポツポツと浮き、薄切りにした白ハムのような薄切りチャーシュー、メンマの穂先に味付け卵。ネギにカイワレと具材もシンプル。

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麺は細くてストレート。
まずはスープを一口ズズッ。
丼の中であれほど静かで大人しかった料理が突然、色鮮やかで騒々しいほど饒舌になる。
最初に感じるのが貝の旨味。自然な甘みと深い風味にウットリしてると、それに続いて軽い酸味と華やかな香りがおいかけやってくる。牛肉スープの特徴的な味わいで、旨味がずっと持続する。ホッと気持ちが落ち着く味わい。

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麺はザクザク歯切れがよくて、小麦の香りが力強い。ハムもとろけるように仕上げられた半熟味付け卵もおいしい。すべてにおいてバランスとれてて上等なのではあるけれど、なによりしみじみおいしい主役はスープなんですネ。すべてがスープを飽きずおいしく味わうために存在してる。
ただ、その味わいはあくまで穏やか、端正で「過ぎる」ということがない。世の中、おいし「過ぎる」料理が多くて、特にラーメン店はもっとおいしく、もっとおいしくと刺激的で濃厚な味を求めて変わる。ここのラーメンはすべてにほどよくしみじみおいしい。

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友人がたのんだ醤油ラーメンも風味豊かでやさしい味わい。スープ一滴も残すことがもったいなくて丼空っぽ。オキニイリ。


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