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電子レンジがはじめてうちに来た日

生き字引って言葉があります。
その人に問いさえすれば分かるというように、広くよく物事を知っている人。
外食産業の生き字引ですよね…、ってこの前、ある人から言われてそうかもなぁって妙に納得したりした。
外食産業が日本に生まれたと言われるのが1970年。
すでにこの世にボクはいて父は飲食店を経営していたから小さいながらも業界のインサイダーだったし、大人になって今に至るまで一貫して外食産業に関係していたからいろんなことをよく知っている。

64年も生きてきたから若い人の知らないことを知ってて当然なのかもしれないなぁ…。
若い人の知らない、今当たり前のものがはじまったときのこと。

テレビは箱形をしていて映像には色がついていなかったときのこと。
電気屋さんがテレビを運んできて赤亭っがおわってスイッチを入れた瞬間も画面の中はまだモノクロで、CMだけがカラー放送だったりしたこと。
ダイヤル式の黒電話がプッシュ電話に変わったかと思うとそれがコードレスになり留守番電話機能がついて、カセットテープがICレコーダーにとってかわって、どこまで便利になっていくんだろう…、ってワクワクしてたら固定電話なんて時代遅れの遺物になった。
そういう意味で今の60代の人たちはみんな家電世界の生き字引なのかもしれないって思ったりする。

何かが何かに置きかわっていく消費財の歴史の中にあって、それまで考えもつかなかった便利をひっさげて突然、ボクたちの前に姿をあらわしたものもいくつかあって、たとえば電子レンジなんてそういうものたちの代表のひとつ。

ボクの家にはじめて電子レンジがやってきたときの話をちょっとしてみましょう。


四国で一台目の電子レンジがうちに来た

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