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スターバックスとブルーボトルコーヒー

スターバックスはコーヒー屋さんじゃなくてミルク屋さん

スターバックスが炭酸を使ったコーヒードリンクを店舗で作って販売はじめた。スターバックスらしからぬ飲み物だね…、って先日、記事を書いた。

「らしからぬ」の理由はペットボトルに入ったソーダがもし気が抜けていたら味、飲み心地に大いに影響がでるだろう。
品質が安定せぬ飲み物をあえて導入することで、作れる売上、人気以上にリスクの方が高くて危険じゃないんだろうか…、と心配したワケ。

そもそもスターバックスはコーヒーじゃなくてミルクを売ることで人気を作ったとボクは思ってる。

チェーン展開において大切なコト

チェーンストアの商品において大切なのは、圧倒的なおいしさではなく「誰もがおいしいと思うものを、いつもおいしく提供する」こと。
コーヒーのような嗜好品において、誰もがおいしく感じる上に、特徴があるものを作るのはむつかしい。
アメリカのように水代わりでコーヒーを飲んでいた国において、みんなが納得する特徴をもつコーヒーを作ることは案外簡単。
一方、日本のような国では大変。
昔から喫茶店がほかにない特徴のコーヒーを作ってしのぎを削ってた。
そこにのこのこアメリカから来て割り込むことはむつかしい。

スターバックス的チェーンストアのつくり方

スターバックスはこう考える。
みんながおいしいと思うコーヒーの基準作りはむつかしい。
けれど「おいしいミルク」の基準はひとつ。
おいしいミルクでコーヒーを割って作ったカフェラテならば、どんな国のどんな人でもおいしいと思うに違いないだろう…、と。
日本に彼らがやってきたとき、最後の最後までこだわったのがおいしいミルクをどこから仕入れて使うのかということだったって言われているほど、彼らはミルクの味に執着しつづける。

おいしいミルク派もう1つの問題…、誰が作っても同じコーヒーにするということにも貢献してくれる。
エスプレッソを同じ状態で作り続けることは知識と技術、そして経験を必要とする。
そのための世界的なコンテストがあるほどに、おいしいコーヒーを作ることはむつかしくたしかに作る人によって味は異なる。
同じ材料、同じ手順、同じマシンを使って作っても味は異なり、そんなことではチェーンストアを作り、維持することはむつかしい。

コーヒーの品質はばらつくのが当たり前。
けれどミルクの品質が安定してさえいればコーヒーの味のばらつきは誤差になる。
ストレートコーヒーやエスプレッソを売り物にするのでなく、カフェラテをメイン商品に選んだことがグローバルチェーンを目指すスターバックスにとっての正解だったのでしょう。

炭酸水は第二のミルクになれるのか?

彼らはコーヒーの味そのものに消費者の気持ちが向かわぬように、さまざまな工夫を次々繰り出します。
ホイップクリーム。
キャラメルソース。
バニラやアーモンドのようなシロップ。
「自分好みのコーヒー」よりも「コーヒーを自分好みの味にして飲む」ことの提案を次々繰り出す。
その一環としての、今年の夏にはじめて炭酸水で割ったコーヒーという提案。
ミルクを炭酸に代えて、ということなのだろうけど、ミルクの味は安定していて壊れにくい。
けれど炭酸は味ではなくて泡の状態。
その状態をいつも同じに保つことは案外面倒。スタバ、平気か?と思った次第。

ブルーボトルコーヒーは何を売るのか?

ところでブルーボトルコーヒー。

スタバがミルクを使うことで逃げたコーヒー自体の品質を科学の力で安定させる…、というのがテーマでできたコンセプト。
すべてが「計量」「計測」で出来上がっている。
秤の上でコーヒーをいれる。
量をはかる。
温度をはかる。
コーヒーを今作っている人たち自身の経験だったり知識より、完璧にコーヒーを作ることができる人の経験、知識を計数化した数字が優先される。
それがブルーボトルという店の少々厄介なとこ。

科学的に作り出されたコーヒーは、一風変わってへんてこりんで、けれどそれは確実に「そうなるように企まれた安定の味」。
それが不思議な安心感を生みはする。
ただ果たして、実験室で作られる飲み物を人はおいしいと感じるか?
そこが問題。むつかしい。


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榊真一郎の経営ノート

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