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ルノアールのちょっとした失敗・瑠之亜珈琲

瑠之亜珈琲という店が銀座にある。

コーヒーの味にこだわりをもった伝統的な喫茶店がよく付ける外国語を漢字にあてる当て字店名。
伯剌西爾だとか、沙羅英慕だとかって老舗があります。
だからこの店名を見て、どういうお店をイメージするかというとそれは確実に古臭い喫茶店。
薄暗い空間にたなびくタバコの煙。
おじさんたちが新聞や雑誌を読みながら熱くて酸っぱいコーヒーを飲んでいる…、って景色が頭に思い浮かぶ。

なのにこの店。
ルノアールが女性マーケットに向けて作った新業態。
店のは居心地のよいカフェ仕様。

商品にも工夫があって、例えばルノアールが昔から売り物にしている水出しコーヒーも、オリジナルのガラスの瓶に入ってやってくる。
空のグラスに氷をたっぷり詰めて、自分でそこに注いで飲むという趣向。
グラスを手に取り飲んで下さいというコトでしょう…、ストローがついてこないのもかっこいい。

ただコーヒーを入れた瓶はハードスピリッツが入っていれば様になるようなフラスクのような形をしてる。
いいちこが入っていたのを流用した?って感じにもみえ、どちらかというと「男の子がよろこびそうな」ハードな形。
工夫がちょっと空回り。

ちなみにできたのは4年ほど前。
4年経ってもこの店だけで、二号店ができないことを考えれば、おそらく失敗。
一生懸命努力はしてる。
例えば看板。
開業当初、正直に「瑠之亜珈琲」と書いていたのが、アルファベットで「RUNOA」となった。
サンドイッチの種類を増やしたりランチタイムにはグラタンを作ったりスムージーを売ってみたりと、女子向けカフェらしいメニューを揃えたりもしてる。
なのに女性客より男性客が目立つ店内。
女子力の高いおじさんたちかと言えば、普通に打ち合わせをしたパソコン開いて仕事をしたり。
しかも最近、テーブルが小さくなった上、テーブルトップの高さも低くなってしまったルノアールに比べてここのテーブルは、仕事するのに都合よく、おじさんたちの快適そうなことになんだか笑ってしまう。
しかも全席禁煙なのに。

なぜなんだろう…。
おそらく名前をかえても漂うルノアール臭さというのがあって、それをみんな微妙に感じ取ってしまうのでしょう。
不思議だなぁ…、ってしみじみ思う。
隠しきれぬほどに強力な特徴、ムードがあるんだから、他の人たちの成功を羨むのでなく個性を磨いて唯一無二になればいいのにって思ってしまう。
もったいない。

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