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五目そばってなんでこんなにおいしいんだろう…。

コロナの影響を一番受けた街はおそらく歌舞伎町。
感染の初期の段階では歌舞伎町のホストクラブがあたかもコロナの温床みたいな言われ方をした。
「夜の街」が悪者扱いされたとき、ニュースで流れる映像の背景に映っていたのは歌舞伎町。
夜は言うに及ばず昼も人影まばらな状態が長く続いた。
最近やっとにぎわうようになりました。
街角にたって呼び込みをするおにいちゃんの数はまだまだ少ないけれど、ちょっと歩けば「DVDあるよ」と何度も声がかかった。
「歌舞伎町が戻ってきたよ」と呟き笑う。

「五十番」で昼にする。

開店とほとんど同時の時間。厨房と客席をつなぐ跳ね上げカウンター越しにお父さんとお母さんが仲良く会話をしてらっしゃった。お店に入ってすぐのテーブルについて注文。「五目そば」を選んでたのむ。

冷やし中華がはじまったんだなぁ…、たしかに街にショートパンツ姿が増えた。

テーブルの真ん中に割り箸、醤油に酢にラー油。容器はキレイに磨かれていて、この位置に置かれているということはもう相席オッケーってことなんだろう…、ってぼんやり思う。灰皿も置かれてて、昭和の景色にちょっとニッコリ。

冷蔵ショーケースの上にブラウン管テレビが置かれているのも昭和的。長持ちだなぁ…、と思って見てると突然、画面が消えちゃった。「あら、まただよ」って言いながらお母さんがテレビをバンバン叩くと直る。多分、ケーブルの接触が悪いかなにかなんでしょうけど、昔のテレビは叩けば直ったものでした(笑)。

厨房の方からジャジャっと炒める音。
おいしい香りが漂ってきて、しばらくしたら出来上がり。

具材たっぷり、色鮮やかでうつくしい。
まず目につくのは半割にしたゆで卵、卵焼きにカマボコ、ナルト、チャーシュー2枚。

五目そばには伊達巻が入ることが多いけど、ここは代わりに卵焼き。中には刻んだネギがたっぷり。スープを思う存分飲み込んでしっとり、ふっくら。オキニイリ。

分厚いバラと薄切りロースのチャーシューそれぞれ一枚づつというのがうれしい。バラの脂がとろける甘み、ロースがざっくり歯切れる食感、その両方をたのしめる。
麺は軽く縮れた細麺で硬めの仕上がり。スープをたっぷりたぐりよせ、ザクッと歯切れて散らかる感じがなんとも旨い。

塩味スープなのだけどそこに炒めた野菜のうま味や、野菜と一緒に炒めた豚こまのコクが混じって味わい濃厚。
キャベツにニンジン、細切りピーマン、たけのこ、きくらげと野菜の種類も豊富でざっと数えただけでも五目ならぬ十目そば。
キャベツは甘く青い香りのピーマンがアクセントになりボクは好き。野菜が沢山食べられて、しかもスープに野菜のうま味や油の風味がまじるおいしさは五目ラーメンならではかなぁ…、って思ったりする。

胡椒をふれば甘みがふくらむ。お酢をたらせば油がすっきり、うま味にくっきり輪郭が付く。塩味スープならではの味の変化もオゴチソウ。スープも全部飲みたかったけど塩分過多にならぬようにと我慢しました。大人なりぃ!


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