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ピカイチのビフカツサンド、銀座のグリル梵

ひさしぶりに旨いビフカツサンドを食べようと、東銀座から新橋演舞場を目指した。

銀座の街を右手に感じて、日比谷通りをしばらく歩くと柳の枝が風にゆらりと手招きするような通りに当たる。
演舞場通りの看板を通り過ぎると、ソースの匂いが鼻をくすぐる。。
しかも油の匂いの裏地をまとった分厚い香り。実は場所はうろ覚え。このあたりだったはずと思って探していたのだけれど、おいしいビフカツサンドの店を匂いが教える。鼻をクンクンしながらちょっと歩くと「グリル梵」。
大阪新世界の洋食店の東京の店。ビフカツサンドだけを扱うカウンターだけの小さな店です。営業時間も昼間だけ。中に入ると風が運んでいたおいしい匂いに、体まるごと包まれる。

カウンターの中が厨房。目の前にトースターが何台も並んで置かれてる。
お店の中には先客ひとり。にもかかわらずトースターではパンが焼かれて、次々それが焼きあがる。焼きあがったパンはすぐさまサンドイッチになって箱詰め。袋におさめて「行ってきます」と若い衆が配達に出る。
劇場へのお届けものか…、あるいは近隣オフィスの会議のお供になるのかも。東京駅やデパ地下でもたまにみかけるこのサンドイッチ。物販ルートがしっかりできている。小さいながらも工場のイートイン的位置付けだから超専門店でしかも短い営業時間でもしっかり経営していけるんでしょう。

ならばワザワザここに来なくてもいいんじゃないかというと、ここで食べなきゃならない理由がいくつかある。
出来立て。
しかも物販用のサンドイッチとここで食べられるサンドイッチは同じ素材を使いながらもまるで違った姿をしてる。
物販用はサンドイッチを長方形に切り分ける。箱に収まりやすい上、片手で食べやすいようにという配慮からでしょう。
けれどここで食べられるサンドイッチは三角形。ビフカツの分厚くジューシーな部分が4切れどれを食べてももれなく口にやってくる。
軽く焼いたトーストがサクッと歯切れてクチュッと肉が歯切れて口の中に飛び込む。それと一緒に肉汁じゅわり。ぼんやりしてると垂れてシャツを濡らしてしまいそうになるほど。
肉はやわらか。
見事なレアです。レアな牛肉の写真を撮るとき、いつもなんで見た目通りに撮れないんだろう…、って思うのだけど、今日のビフカツの断面はひときわ肉感的な色合いで画像に撮れぬうつくしさ。
薄付きパン粉はサクサクで、ソースも薄付き。焦げる寸前で取り出した食パンはさっくり乾いて香りもほのか。だから挟んだビフカツの食感、味わい、風味を心置きなくたのしめる。

今日たのんだのは食パンに2枚でビフカツ一枚を挟んで仕上げたハーフサイズ。サラダと好きな飲み物をひとつ選んで1100円。フルサイズだとちょうど倍の値段になるけど、どちらにしてもありがたい値段。
サラダはパリパリ、アイスティーをたのんだら冷蔵庫の中で冷やしたグラスに大きな氷と冷たいものを冷たく提供する工夫。いい店だなぁ…、としみじみ思う。
それにしても仕込み仕事は入念です。肉をほどよき大きさに切り分けて包丁の歯を細かく入れて筋をきり厚さがあっても噛み切れるようひたすらずっと手を動かしている。機械にたよらず手仕事を選んだこその美味と思った。オキニイリ。


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