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お酒は何が美味しくて楽しいのか…

若い頃、お酒が苦手だった。
とりあえず周りに合わせて飲むけど、何が美味しいのやら楽しいのやらわからない。

付き合っていたひとがお酒好きなひとだった。
住んでいたところが酒の町だった。
酒まつりが有名だった。

お祭りに行って、お酒を飲んでみたかった。
おちょこをもらって、好きな日本酒を選んで飲む。
銘柄の選び方などわからない、とりあえず彼に「甘いの!」と注文して選んでもらう。

「なんかねっとりして気持ち悪い」などと注文をつけ、それに合わせて彼がまた違うお酒を選んでくる。「これは美味しい」というものもあって、やっと私の好みがわかったようだった。

その後は「これなら一緒に飲めると思う」と、彼がお酒を選んできては、少しづつ一緒に飲むようになった。その後結婚して、酒の町に新居をかまえたが、子どもができてまた、お酒は飲まなくなった。ベビーカーに子どもを乗せて一度酒まつりに行ったけど、お酒は飲まず風船を買ってベビーカーにくくりつけた。

あれから二十数年、電車で久しぶりに夫婦で酒まつりに出かけた。
事前チケットを購入して準備万端、入り口でおちょこをもらって
「いざ飲もう!」

もう夫に銘柄を選んでもらわなくても、自分で選ぶことができる。
張り切って出かけたのだが、私はおちょこ8杯も飲めず、2杯は夫に飲んでもらい、帰りはふらふらになった。

でも、とっても楽しかった。
新婚時代に遊んだ町、結婚前に行った酒まつりのリベンジ、夫婦で思い出をずっとしゃべっていた。

酒まつりは十分楽しんだ。
お酒は何が美味しくて楽しいのか、私はもう知っている。


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