見出し画像

ニュージーランド南島、絶景!氷河地形を堪能できる1Dayハイキング5選


 こんにちは。ニュージーランド最高峰、アオラキ・マウントクック国立公園内のホテル「The Hermitage」で働いていたyoshiです。今回は私が経験したニュージーランド南島にあるトレッキングコースの中で、日本ではなかなか見られない氷河地形を堪能できて、なおかつ気軽に1Dayで行けるオススメトレッキングコースを5つ紹介します。これらのトレッキングコースは往復3~10時間かかるものの、デイハイクで完結するため、それほど大それた装備は必要ありません。服以外に必要なものはトレッキングシューズとポールくらいです。道中多少キツくても、最後に絶景が見たい!テント、寝袋を持ち運ぶのはちょっと、、そんな方にオススメの記事です。この記事を読むことで、ニュージーランド南島でデイハイクをする予定の方が行きたい場所を見つけることが出来るはずです。画像多めで楽しい記事にするので最後まで宜しくお願いします。

※登山には遭難のリスクが付きまといます。遭難しても最低限生き延びることのできる軽食、寒さ、雨を防げるウェアを必ず持参しましょう。

↑  インスタフォローはこちらから

はじめに 氷河地形の魅力

 さて、皆さん。私がなぜ「氷河地形が楽しめる」と初めに述べたかと言いますと、氷河地形というのは本当に壮大で、長い年月をかけて作られた地形であると共に、日本に大規模なそれは存在せず、是非ニュージーランドに来て楽しんで貰いたいからです。氷河地形を一言で言うとU字谷です。日本によくある川の浸食によって形成されたV字谷とは違い、谷の底の部分が平たく広がっているのが特徴です。私はこのU字谷が作る地形の虜になり、氷河巡りが好きになりました。ニュージーランドのSouthern Alps(サザンアルプス)周辺は古来大規模な氷河が存在しており、現在氷河ないが場所でも、その地形は氷河によって形成されたというのがほとんどです。今回紹介するコースは間近で氷河を見ることができたり、特徴的な氷河地形が楽しめたりするものなので、是非訪れてみて欲しいのに加え、ハイキングで氷河を見るだけで無く、ただ普通に車で移動する際もその壮大な地形が見せる自然を楽しんで欲しいです。

Lindis Pass ハイキングに行かずとも氷河地形は楽しめる

第5位 Rob Roy Glacier (ロブ・ロイ氷河)

距離:★★★☆☆
標高差:★★☆☆☆
足場:★★★☆☆
総合難易度:★★★☆☆
予想タイム:3~4時間(往復)

 こちらのコースはマウントアスパイアリング国立公園内にある全長10km、標高差500mのコースで、Wanaka中心部から Wanaka Mount Aspiring Road を車で1~2時間行った所にあるRaspberry Flat Carpark(駐車場)からスタートします。なぜ1~2時間とばらつきがあるのかは後ほど説明します。そしてこのWanaka Mount Aspiring Road の景色が素晴らしい。今回はその道中の風景も交えて紹介します。

Wanaka Mount Aspiring RoadはThe ニュージーランド の絶景だが、、

Wanaka Mount Aspiring Road 沿いにあるWishbone Falls

 さて、今回ばかりはWanakaという一番小さな街からコースのスタート地点の駐車場までを結ぶ Wanaka Mount Aspiring Road の景色も紹介します。というのも、この道はロブ・ロイ氷河トラックを初めとしてAspiring Hut Track(アスパイアリングハット)、Liverpool Hut Track(リバプールハット)などのコースの起点となっています。ロブ・ロイ氷河トラック以外は1泊以上ひつようなマルチデイハイクなので今回は紹介しませんが、この道はトレッキングに行くためだけの道なのです。なので今回はこのWanaka Mount Aspiring Road を紹介すると共に、なぜWanakaからの所要時間が1~2時間なのかも紹介しますね。

Wanaka Mount Aspiring Road   舗装されていない

 この道はWanakaから20分ほど走ると、オフロード、すなわち舗装していない道になります。これが先程述べた所要時間が1~2時間である理由で、SUVなど4輪駆動の車であれば時速80km程で走ることも可能であるのに対して、普通の乗用車は時速30km程しか出せないでしょう。そしてこれが30kmも続くので、乗用車の場合はくれぐれも運転に注意するようにしてください。所々道幅が狭くなる箇所や、突然急カーブが現れる箇所もあります。無理な運転は絶対に止めましょう。また、この道の終盤は英語でfordと呼ばれる深さ2m程のくぼみを数カ所通らなくてはなりません。そしてそのくぼみには浅い水たまりが出来てることが多く、車体がかなり汚くなってしまいます。また、通常の乗用車だとこのfordを通るには床が低すぎて、通過する際に床下機器がダメージを負う場合があります。運転の際はくれぐれも注意し、レンタカーなどを借りていく際はなるべく高い床の車を借りて、レンタカーを借りた際に自分がどのような保険に入っているのかよく確認する様にしましょう。車体にダメージを負う場合があります。しかしながら、集中して、適切な速度で運転すればなんら問題はありません。疲れた際は休憩をとり、運転手を交代するなどして安全運転を心がけましょう。

道を横切る羊とMount Aspiring の山々

 この道が通るエリアは羊や牛の放牧が盛んです。一部の農家ではそもそも道路と農地を分ける柵を設けていません。道路を横断している羊や牛に出会うことが出来るでしょう。背景の氷河地形がくりなす美しい景色も相まって、The ニュージーランドな写真がとれること間違いなしです。オフロードではありますが、是非訪れて欲しい場所の一つです。

放し飼いされてる羊

氷河から流れ出す標高差300mの滝

スタートから10分程度はあぜ道を進む

 さて、やっと駐車場に着いたのでトレッキングを始めましょう。ここから往復3~4時間です。まずは吊り橋まで向かいます。歩いて10分です。

Rob Roy Glacier - Matukituki River Bridge 

 吊り橋を渡り終えたら、森林地帯を進むことになります。局地的に急勾配な箇所はあっても、全体を通じて見るとさほど急では無く、中級者なら余裕で歩ききることが出来るでしょう。トラックの左側にロブ・ロイ氷河から流れ出した水が流れる川があり、その音も相まって非常に良い雰囲気です。

Rob Roy Glacier Lower Lookoutの眺め

 登山開始から50分程度でRob Roy Glacier Lower Lookoutに到着です。木と木の間から落差300mのBridal Veil Fallsとロブ・ロイ氷河を眺めることが出来ます。手前の木々が額縁のようになっていて綺麗です。

 Lower Lookoutから30分、Rob Roy Glacier Lookoutに到着です。Lower Lookoutでは遠くに見えていた滝をすぐそばで見ることが出来ます。まっすぐ水が大量に落ちる姿はものすごい迫力です。今回は午後に行ったのですが、太陽がロブ・ロイ氷河と滝に当たらなかったので、昼間でしたが若干暗く感じました。そのためより綺麗な風景を望む方には朝方の登山をオススメします。Lookoutから多少氷河と滝に近づけます。時間があったら行ってみましょう。登山の疲れはあまり感じませんでしたが、帰りも運転があるので気が抜けませんね。

Roy Peak Lookoutからの眺め

第4位 Roys Peak (ロイスピーク)

 距離:★★★★☆
標高差:★★★☆☆
足場:★★☆☆☆
総合難易度:★★★☆☆
予想タイム:5~6時間(往復)

↓ AllTrailでルートを確認

https://www.alltrails.com/explore/recording/afternoon-hike-at-roys-peak-track-57bafb2

 こちらのコースはWanaka中心部から Wanaka Mount Aspiring Roadを車で10分ほど行ったところにある駐車場から始まる、往復16km、標高差1300mのコースです。ワンデイで気軽に登れる頂上として人気があります。今回選んだ5つの中でも唯一の頂上です。(他のコースは山の頂上がゴールではない)その魅力はなんといっても頂上からの眺めでしょう。ロイスピークから見えるワナカ湖とその裏にある山々のコントラストが素晴らしい眺めを見せてくれます。日の出も非常に綺麗であるため、多くの人が夜明け前から登り始めて日の出を拝んでいます。

変わらない景色、忍耐、そして得られる絶景

 このコースの特徴は、基本的に見える風景がさほど変わらないことです。高い木が生えていないため、見渡しがよく、何ならコースのスタート地点から頂上を見ることが出来ます。

スタート地点 画面中央のピークが頂上

 コースの途中は私有地になっていて、現在も羊や牛の放牧による農業が行われています。

コースからは放牧されている羊や牛を見ることが出来る

 スタートから2時間、1つ目の目的地 Roys Peak Lookoutに到着です。実はロイスピークを紹介する写真でよく使われる写真は、ここから撮られたものが多く、一定数の人はここを目的地にしています。

 ここでは写真撮影の順番待ちの列が終日発生しています。稜線の先まで行って写真を撮ると綺麗な写真が撮れます。

Mount Aspiringが一望できる

 ここから先はついにロイスピークの尾根に出ます。この頃から、北の方角にマウントアスパイアリングを眺めることが出来ます。綺麗なホルンです。

頂上からの写真 

 Lookoutから1時間程度で頂上に到着です。ピークは狭いので非常に混み合います。いびつな形をしたワナカ湖とその後ろに広がるマウントアスパイアリング国立公園の山々、そして色とりどりの畑が言葉では表せきれない程の絶景を作り出しています。

Alpha Peak 素晴らしい稜線が続く

 なお、頂上からAlpha Peakへのトレッキングコースも延びています。ロイスピークから往復2~3時間かかります。デイハイクとして出来る行動時間ギリギリとなるのであまりオススメ出来ませんが、体力に余裕のある方はトライしてみてください。

<体験談> めちゃくちゃ疲れた!!

登山道 植生の変化も少なく、くねくねしていて距離が非常に長い

 このコースの難易度についてですが、私は帰り道ヘトヘトになりました。というのもこのコース、全体を通じてかなり勾配が激しいです。また、コースが細かい砂で出来ているため、毎回歩く際に少しずつ足を滑らせています。これが次第に体力を奪っていきます。先程述べたとおり、景色が変わらないせいで気分の切り替えをするのが難しく、本当に同じ風景がずっと続くのでどれだけ進んだか目に見えて分かりずらいです。なので得られる景色はすばらしいのにも関わらず4位とさせて頂きました。行く価値ありですが、私は二度と登りたくありません。笑 登る際はトレッキングポールを持って行くことを強くオススメします。

第3位 Hooker Valley(フッカーバリー)

距離:★★★★☆ 
標高差:★☆☆☆☆
足場:★☆☆☆☆
総合難易度:★★☆☆☆
予想タイム:3~4時間(往復)

 こちらのコースはマウントクック国立公園内にある、言わずと知れたニュージーランドを代表するハイキングコースです。往復14kmあるのにも関わらず、標高差は100mしかありません。また歩道も整備されていて、晴れの日は老若男女多くの人がこのトラックを行き来します。その景色は一生の思い出に残ること間違いなしで、トラックの最初から最後まで、春夏秋冬いつ来ても絶景が望めます。

道中には吊り橋が3つある

正攻法 とにかくトラックに沿って進もう!

 スタート地点はWhite Horse Hill Campground (通称:フッカーバリー駐車場)です。Hooker Valleyの標識を頼りに進んで行きます。

途中にあるMueller Lake Lookout

 ただ一本道を進むだけなので特に道に迷うことはありません。ひたすら歩みを進めます。どこを切り取っても綺麗なので、その都度立ち止まって写真を撮ってみてはいかがでしょうか。

Hooker Riverとマウントクック
風の弱い日なら逆さマウントクックを拝める
湖の奥側にあるのがicebergと呼ばれる氷河のかけら
冬のHooker Lake 水面は凍っている

 Hooker Lakeの表情は日によって様々です。Hooker Lakeは氷河が源流であるため、氷河から切り落とされた氷の塊がたくさん浮いている事があります。この氷の塊の事を英語で "iceberg" といい、これがどれほどあるかは行ってみないと分かりません。完全に神様次第です。なお、Hooker Valleyのお隣のTasman Valleyにあるタスマン湖では世界で3カ所しかない氷河湖ボートツアーを体験できます。こちらも氷河湖であるためicebergを見ることができ、更にツアーに参加することでそれに近づくことが出来ます。ちなみにタスマン湖の奥にあるタスマン氷河はニュージーランド最大の氷河で、その長さは23kmにも達します。これは東急東横線で渋谷-横浜間に相当します。

裏技 寄り道スポットを探検

 フッカーバリー沿いにはいくつか寄り道スポットが存在します。今回はそのうちHooker HutとOld Hooker Valley Trackの二つを紹介します。

Hooker Hut(フッカーハット)
 Hooker Hutはフッカーバリートラックから道を外れて10分の所にあります。トラック上のおよそ中間地点にある公衆トイレを少し過ぎたあたりにHooker Hutへの道を示す印を見つけることが出来ます。

それがそのマーク

   あとはひたすらそのあぜ道にそって進むだけです。フッカーバリーとは      また違う、地球の果てといった雰囲気がします。今回はデイハイクについ      て述べていますので詳しくは述べませんが、こちらのハットは予約するこ      とで宿泊が可能です。水道、ガスもあるので山小屋初心者でも楽しむ事が      出来るでしょう。夏の間は数ヶ月先まで予約で一杯になります。希望され      る場合は早めに予約しましょう。予約はこちらから

フッカーハット

Old Hooker Valley Track (旧道)

フッカーバリートラック3つ目の吊り橋

 フッカーバリートラックには3つ吊り橋がありますが、そのうち最後の橋、すなわち3つ目の橋はこのトラックが開通した当初ありませんでした。その証拠が次の画像です。

Mount Cook Lodgeに飾ってある古地図

 この画像はMount Cook Lodgeのロビーに飾ってある古地図です。よく見ると3つ目の橋が描かれていません。分かりやすく図に示したのが次の図になります。

分かりやすく示した図 赤丸は3つの吊り橋の位置を示している

 つまり、昔はフッカー湖の左側に出るのが正規ルートだったというわけです。そしてこの旧道、現在も問題なく進むことが出来ます。もし時間のある場合は旧道の方もトライしてみるのはいかがでしょうか?

旧道からの眺め
フッカー湖左岸からの眺め

第2位 Mueller Hut(ミュラーハット)

たった3時間で着ける異世界 奥に見えるのはマウントクック

距離:★★★☆☆ 
標高差:★★★☆☆
足場:★★★☆☆
総合難易度:★★★☆☆
予想タイム:5~7時間(往復)

↓ AllTrailでルートを確認

https://www.alltrails.com/explore/recording/evening-hike-at-mueller-hut-route-781877b

 Mueller Hut Trackはアオラキ・マウントクック国立公園内にある往復10km、標高差1000mのトレッキングコースです。途中のシアリーターンス (Sealy Tarns) までは階段道として整備されていて、そこからHutまでは階段こそないものの、目印のポールが多くあるので道迷いの心配なく歩けるコースです。尾根に出てからは、マウントクックビレッジからは決して見れないミュラー氷河 (Mueller Glacier) の絶景を眺めることが出来ます。ここまで来ると夏でも雪が残ってる事が多く、手軽な装備で夏でも雪山登山気分になれちゃうのがオススメポイントです。また、世界で唯一の高山性オウムで絶滅危惧種のミヤマオウム (Kea) に最も出会いやすいコースの一つとなっています。

朝日とマウントクック 神々しさがある

前半 池に反射したマウントクックを写真に収める

  トレッキングのスタート地点はHooker Valley Trackと同じくWhite Horse Hill Campground です。今回はフッカーバリーの方には行かず、Kea Point / Sealy Tarns / Mueller Hut の看板に沿って西向きに進んでいきます。 

 15分ほどでKia Point Track (キアポイントトラック)とMueller Hut Trackの分岐に到着です。ここからKia Pointまでは歩いて10分ほどなので立ち寄って見るのも良いかもしれません。

Kia Point Mueller Lakeとマウントクックを望める

 分岐をMueller Hut Trackの方に取ると、いよいよ修行とも呼べるおよそ1200段の急な階段道が始まります。これが長いしキツい。この階段は半分程度上るだけで素晴らしい景色を望むことが出来ますが、その景色で満足しないでください。諦めずに上へ、上へと登り続ければ更に良い景色が待っています。

急な階段 これが1200段以上続く
もう頂上行けなくてもいいや、と思わせてくれるくらい既に絶景 しかし諦めないで欲しい
Hooker Lake とMueller Lake の2つの湖を見下ろせる高さまで来たらSealy Tarns はもうすぐ

 登山開始から1~2時間、人によって所要時間は異なりますが、Sealy Tarnsに到着です。山と池を挟んで反対側に回り、池に反射する山々をカメラに収めましょう。朝はMt. Sefton、夕方はマウントクックが太陽の光を受けて赤く染まります。

上 朝日に輝くMount Seftonの反射
下 夕暮れ時のMount Cookの反射
Sealy Tarns沿いの稜線もまた良い

後半 尾根に出たらそこは別世界 Mueller Glacierとの対面

  Sealy Tarnsから先階段はありません。30m程の間隔で目印のポールが立っているのでそれを頼りに進んで行きます。Sealy Tarnsから1時間ほどでMueller Hutのある尾根に到達です。個人的に雪が多くなければSealy Tarnsまでの階段よりも楽かなといった印象です。尾根に出ると右手下側にMueller Glacierを望めます。絶景です。

 尾根に出てからは10~20分ほどでMueller Hutに到着です。この区間の勾配はほとんどありません。尾根周辺ではミヤマオウムと遭遇する機会が多くあるでしょう。ミヤマオウムを写真に収めたい場合は朝か夕方に行くと遭遇する可能性が上がります。

ミヤマオウムとマウントクック Mueller Hutで撮影
ミヤマオウムまで30cm

 ちなみに、今回デイハイクを取り上げているため多くは述べませんが、Mueller Hutには宿泊することが出来ます。3ヶ月先まで予約が埋まっていることもあるので予約は十分前もって取るようにしましょう。予約はこちらから

第1位 Brewster Glacier(ブリュースター氷河)

Brewster Glacier Lookoutから見たBrewster LakeとBrewster Glacier
氷河の末端部分まで割と容易に近づける

距離:★★★★☆ 
標高差:★★★★★
足場:★★★★☆
総合難易度:★★★★☆
予想タイム:8~10時間(往復)

↓ AllTrailでルートを確認
https://www.alltrails.com/explore/recording/brewster-hut-trail-0266e33

 Brewster Glacier Trackはマウントアスパイアリング国立公園 (Mount Aspiring National Park) 内にある往復13km、標高差1500mのトレッキングコースです。川を自らの脚で渡る必要があったり、急勾配が続いたりするタフなコースですが、序盤はマウントアスパイアリングの美しい森林、中盤は高山性の草原地帯、終盤は岩場と風景が場面ごとに変わるため飽きずに楽しむことの出来るコースです。このコース最大の魅力はデイハイクなのにも関わらず、氷河末端に最も近づけることができるということで、多くの人が氷河の下や氷河の上で写真を撮っています。これらの事は通常、高い費用を費やしてヘリコプターツアーに参加し、着陸することで体験できる事なので、これを無料で、しかも1日で出来てしまうのは非常に魅力的です。

氷河の末端部分 氷河の氷は特殊で太陽光を通すと青色に見える
青く輝く氷河を下から見たい場合、昼前から昼過ぎで訪問するのがベスト
ちょうど太陽が氷河の真上に来てくれる

序盤 いきなり徒渉(としょう)!そして美しい森林地帯

 トレッキングのスタート地点はFantail Fallsの近くにある駐車場です。Wanaka方面から6号線を北上し、右手側にFantail Fallsの看板と共に右折出来る場所があるのでそこに車を止めましょう。

 スタートしてすぐに左手を流れるHaast Riverを徒渉します。この川、夏だとしても冷たすぎる!!このあたりの川は氷河を源流としており、おそらく0℃に近いくらいの水温の水が流れています。私が行った際、川幅は30m程、深さは最も深いところで50cm程でした。徒渉後は足がぬれてしまうのでもう一つ余分にタオル、靴下を持ってくと良いでしょう。服装も徒渉することを考慮して徒渉の際に着脱し易いような服を持ってくとストレスなく楽しむ事が出来るでしょう。

 徒渉してからは森林地帯を進みます。これが本当に気持ちいい。実はニュージーランド南島において森林は貴重で、国立公園のエリアを除いて原生林はほとんど残ってないのが現状です。そのため森林の中をトレッキングするというのが貴重となるので、当時非常に感動したのを覚えています。

足場を埋める木の根 これが知らないうちに体力を奪っていく

 トレッキングコースは上の画像にあるオレンジ色の三角印を辿ればまず道には迷いません。このあたりは急勾配な箇所が多く、時々手を使いながら登っていきます。木の根が多いので躓かないように気をつけましょう。木の根は安定した足場を私たちに提供してくれますが、雨の日の後などは滑りやすくなっていたりするので時にやっかいです。徒渉から1時間半もすれば森林地帯も終わりです。

中盤 草で覆われた壮大な山肌とBrewster Hutまでの稜線

雲海が広がるHaast Pass

 森林地帯を抜けると、その次に現れるのが高山性の草原地帯です。森林との境目が森林限界であり、それより標高の高い場所では木が生育しません。視界を遮るものがなくなるため、氷河が生んだ絶景を眺めることが出来るようになります。

氷河が生んだ山肌

 地球だとは思えない絶景を横目に足を進めるとコースは稜線に出ます。この稜線もまた素晴らしい。山登りが好きな人で特に稜線が好きという方は多いと思います。ここの稜線もまた、お気に入りの稜線となること間違いなしでしょう。

朝日に照らされた稜線が美しい

 稜線沿いをしばらく歩くとBrewster Hutに到着です。こちらのHutも予約することで宿泊できます。しかしながら非常に人気のため、なかなか予約が取れないのが現状です。多くの人は周辺にテントを建てています。Hutにはトイレもあるので、こちらで一服して、エネルギーを蓄えてから再出発するのがオススメです。予約はこちらから

 Brewster Hutから先は三角のマークの案内がなくなります。上の投稿の写真にある、投稿主視点で左側の道を進みましょう。(Hut視点で右側、画面左端に切れている方。) その道がBrewster Glacierまで続いています。所々道がわかりにくい箇所があるので、その際は周りを見渡して積み石がないか探してみましょう。それらは先人たちによって作られたもので、氷河への道しるべとなります。

終盤 岩場を抜けて氷河末端へ

 積み石をたよりに、岩場を抜けるとBrewster Glacierに到着です。氷河の下に潜れたり、クレバスのような氷と氷に挟まれた場所に入ったり、氷河の上を歩いたりすることが出来ます。

真っ白な氷河 マウントクックで真っ白な大規模氷河を間近で眺めることは難しい
氷と氷の間に入れる
氷河の上も歩けちゃう

ちなみに、氷河はいつ崩落するか分かりません。近づく際は完全自己責任です。また、夏以外の季節に登る際はアイゼン必須となります。コースの状況や服装に関して疑問がある場合はWanakaにあるマウントアスパイアリング国立公園のビジターセンターで情報収集してから行くようにしましょう。

デイハイクでも可能だが、宿泊がおすすめ

 このコースの所要時間は8~10時間で、体力的にも精神的にもかなりキツい行程となります。疲れ切って駐車場に戻った後、Wanakaまで車を運転することを考えると、正直、普段運動をしてない人にこのコースを勧める事は出来ません。帰り道は急な下り坂が続き、足下には覆い尽くされた木の根があります。また、先程述べたオレンジ色の目印も戻ってくる際は見えにくいことが多く、集中していないと遭難のリスクがあります。正直私も10時間もの間集中力を持続させるのはかなり難しかったですし、森林地帯で一度道迷いに合いました。デイハイクでもBrewster Glacierまでの往復は可能ですが、Brewster Hutでの1泊を強くオススメします。

まとめ

 いかがでしたか?今回は氷河地形が楽しめるデイハイク5選紹介しました。行きたいコースは見つかりましたか?いずれもデイハイクで日帰りで行えるものなので、ニュージーランドに宿泊道具を持ち込まずとも楽しめるトレッキングになります。どれも素晴らしい景色が得られるので、是非行ってみてください。ほかにもまだまだ素晴らしいトレッキングコースがありますが、今回は私が行ったコースの中から選んでいるということをお見知りおきください。また、南島で有名な観光地であるミルフォードサウンド (Milford Sounds) ですが、その周辺 (Milford Soundsから歩いて行ける範囲) には一日で行えるトレッキングコースはないので、今回は紹介しませんでしたが、時間があったら必ず行くことをオススメします。それでは、最後までありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?