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後天的変人

 私は至って常識人である。
 いわゆるレッドオーシャンの住人だ。だが,競争が極端に苦手という,この海で生き抜くにはあまりにも脆弱なメンタリティ。賭博の類はいつだって負けたし,競泳では同レベルの相手だと途端に記録が悪くなる。

 だから,生き残る術として,恥と外聞を捨て,ブルーオーシャンへの移住を決めた(当時10才)。あえて,他者とは違う振る舞いを心がけ,他者の下さない判断を選択する変人界へ。

 流行には乗らない。「好き」が重なったら身を引く。短所を改善するより長所を伸ばす。そうやって意図的にパラメーターを尖らせた。(詳細は他記事を参照してほしい。タイトルだけでも分かっていただけるはず。)

 そうやってたどり着いた境地のなんと心地よいこと。競争相手がいない。いつだって一人勝ち。第一印象は悪くなりがちであるが,それも「意外とマシじゃね?」と、本来の常識人の自分が、私を社会に溶け込ませてくれる。さらに,尖ったパラメーターが思わぬところで組織の役に立てる時がままあるのだ。

 さて,こんな私が未来のために何ができるだろうか。
 この一見無様な、だが、幸せに満ちた生き方を子どもたちに示すことであろうと思う。私は,子どもたちに「先生,変」と言われることが多々あるが,それでも生きているし,幸せだし,多少なりとも人様の役に立てている。


 ダイバーシティとはいうものの,相変わらず日本では至るところで同調圧力が働き,生き苦しさが蔓延している。「自分の好き」を押し殺して,「みんなの好き」を好きであれよと自己暗示をかける社会。かつての物資不足に由来するムラ社会の掟をいまだに引きずり,今となっては痛くも痒くもない村八分を死活問題視する日本人。


 そんな牢獄から抜け出すための変人化である。この生き方を子どもたちに伝え,そして率先して変人であり続ける。

 子どもたちには週一度,何でもいいから,こだわっていることに取り組むことを宿題として良いことを伝えている。絵でも野球の素振りでも自由研究でも工作でもなんでも良い。ねらうところは,子どもたちのパラメーターを尖らせることである。こだわっていることというのは,磨かずとも秀でているものである。それをとことんギラギラにビンビンに磨かせる。


 この狭い教室から変人化を進めていくことが,それぞれの豊かさの指標に沿って生きられる時代をつくることに繋がると割と本気で考えている。

 そんな変人の野望。

 を,真面目に語る私はやっぱり根っからの常識人。


 変人への道,険し。

#未来のためにできること

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