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歌えども歌えども「り」だけが歌えず

先日、久しぶりにレコーディングを行った。
僕の場合、スタジオに入ったり、ライブをやったりするわけでもないので、ちゃんと歌うのはレコーディングが最初で最後となることが大半。
もちろん、歌えるキーになっているかを確認するために仮歌を歌ったりはするし、時間があればカラオケなどで練習してから臨むようにはしているのだけれど、どうしても細部の調整はレコーディングしながら詰めていくことになる。

そんなわけで、頭の中にはイメージがあっても、実際に歌ってみるとドツボにはまるなんてこともしばしば。
ブレスを想定していなかったり、早口言葉のようになってしまって口が回らなかったりと、録音してみてはじめて気づく弱点がボロボロと出てくるもので、経験不足を露呈しまくっている。
中でも、個人的に大きな壁となるのが「り」。
どうも僕は「り」という音がきちんと発音出来ないらしい。

一応、高校時代は放送部だったので、多少のボイストレーニングはやっていたし、滑舌練習などもしていた身。
どういう口の形をすればいいのか、理屈ではわかっている。
「ラ行」の発声は、舌を上あごではじくイメージだ。
しかし、自然体で「ラ・リ・ル・レ・ロ」と声に出したとき、「り」のときだけ舌がぴくりとも動かない。
その結果、「に」と「ぎ」の間ぐらいの音が発せられるのだが、日常会話であれば、文脈からの推測もあり、ちょっと滑舌が悪い人で収まるものの、歌詞となると話は別。
わかりやすい例としては、シドの「隣人」のサビが、ほぼ「ニンジン」になってしまい、世界観もへったくれもなくなってしまうのだ。
只のニンジンですニンジンです……

閑話休題。
今回レコーディングをした曲も、二番の入りのど頭に「理想に近づく」なんて歌詞を持ってきてしまったため、見事にどはまり。
歌い出しなので、流れで誤魔化すわけにもいかず、事前に口の形をしっかりセットアップするのだが、なかなか舌を上手く滑らすことができない。
そのせいでリズムが一瞬遅れ、グダグダになってしまう。
今度はリズムを意識するのだが、舌が動かず「偽装に近づく」と聞こえてしまう。
まさに「理想」を目指すか、「偽装」で誤魔化すか、という選択肢の間で揺れて揺れて今心が船酔い気味だ。

こんな経験をするたびに、「もう二度と歌詞に「り」は使わない!」と思うものの、「理想」とか「理由」とか「リアル」とか「力士シール」とか「リッケン620頂戴」とか、現実的に避けるのは難しいのが現実。
とりあえず、「りり」になると完全に詰むので、僕の書くリリック(発音できない)において、ヴィジュアル系では頻出の部類に入る"lily"や"brilliant"という言葉は出てこないというのは断言しておこう。
なお、今回レコーディングした楽曲は、現在ミックス作業中。
リリース(発音できない)情報については、もう少しお待ちいただければ。


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