「自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律案」の調査(NHK党浜田聡参議院議員のお手伝い)
はじめに
こんにちは。さかさきです。今回は、「自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律案」を調査しました。
自動車を購入したらやるべきこと
保管場所証明書(車庫証明書)について
皆さんは、自動車を購入したことはありますか。購入したら、必ずやらないといけないことがあります。それは、「保管場所証明書(車庫証明書)」を提出することです。「保管場所証明書」とは、車を新規購入したり他人から譲り受けたりした場合、車の保管する場所を確保しないといけません。確保する場所がないと、自家用車を公道に停めるという事態が多発し、思わぬ事故を引き起こす原因にもなります。それを防ぐために、保管場所証明書が必要です。実際に、「自動車の保管場所の確保等に関する法律」では、以下のような文言があります。
自動車を購入する上で、「保管場所証明書」の提出は必須事項なのです。
保管場所標章について
保管場所証明書と同時に交付されるシールが、「保管場所標章」になります。保管場所標章とは、「この車は保管場所がきちんと確保されている車です」ということを証明するシールになります。いわゆる「車庫証明シール」とも呼ばれています。
「自動車保管場所の確保等に関する法律」でも、以下のような文言があります。
ちなみに申請の手続きですが、窓口申請とワンストップサービスによる郵送の手続きがあります。警視庁のHPに手続きの手順があり、必要書類をダウンロードして、必要事項を記入した後、警察署へ向かうか、ワンストップサービスを利用して、郵送で保管場所標章をもらうという方法があります。(ワンストップサービスは令和4年から開始)自動車の購入に際して、そのような証明書が必要なのです。
では、なぜ保管場所標章が必要になったのでしょうか。平成2年(1991年)に保管場所標章制度が創設されます。創設の背景として、1991年ごろは、「青空駐車」と呼ばれる、車庫がない場所に車を駐車する行為が頻発している時期でした。「青空駐車」とは、「道路を自動車の車庫のように使用し長時間駐車すること」を言います。ちなみに、青空駐車は、「車庫法」と呼ばれる自動車の保管場所の確保等に関する法律によって禁止されている行為です。以下、条文になります。
青空駐車を厳格に取り締まる中で、「保管場所標章を交付した警察署に対する照会により、保管場所の位置の 簡便・迅速な調査が可能」「自動車の保管場所を外形的に第三者に明らかにすることで、自動車の保 有者に保管場所の確保を動機付け、その継続的な履行を確保」を目的として、保管場所標章制度が創設されたのです。2022年度において、保管場所標章の交付数は登録自動車と軽自動車を合わせて797万2635件、2021年中には848万3928件もの数が交付されています。
「自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律案」について
さて、今回の改正案について書いていきます。まず、改正案要綱に記載されている改正部分を引用します。
第六条を削除することで、保管場所標章を廃止することになります。「自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(概要)」では、「期待される効果」として、「自動車の保有者の負担軽減」「都道府県警察における保管場所関係業務に係る窓口業務の負担軽減」をあげています。
自動車における負担軽減について考える
ユーザーにとっての負担軽減とは
今回の改正案では、ユーザーと警察庁側の負担軽減という面に主眼が置かれていました。そこで、負担軽減という側面で、お話したいと思います。
自動車の免許更新手続き
まず、自動車を運転するには運転免許証が必要です。運転免許証は更新する必要があります。
免許証の更新をしないと、運転免許証は失効してしまい、自動車を運転できなくなります。その為、運転免許更新の講習や免許証の受け取りは、各都道府県の警察署か免許センターで行います。ただ、わざわざ行く必要性があるのか、疑問です。データベースで管理するなど、警察署側の負担軽減に動き出しているなら、こちらも改善を図った方が良さそうです。
実際に、2022年7月から北海道、京都府、千葉県、山口県の4道府県でオンライン化が試行的に実施されており、2023年10月からは一般運転者もオンライン講習を受講できるようになっており、2024年度末にはゴールド免許更新の講習でオンライン化を実施する予定です。これは、一般免許も含めて、推進すべきでしょう。一方で、視力検査や免許証に載せる写真などは、警察署か免許センターで撮っているため、「オンラインでも、警察署に行くから意味がないのでは?」という疑問の声もありますが、それは、免許証を持っているユーザーが、自分たちで視力検査を受けたり、最寄りの写真屋さんで撮ればいいだけです。(企業勤めの人は、企業で健康診断を受けています)それを郵送なり、オンラインでやり取りなりすれば、警察署や免許センターに行く必然性は低いように思えます。そうなると、収入印紙や審査証紙も不要になるでしょう。ユーザーの経済的な負担軽減を考えると、オンライン化することで、余分な手数料の削減も可能でしょう。
道路使用許可申請
実は、自動車ユーザーでなくても、自動車関係の申請で負担になっている面があります。まず、国は「道路」を以下のような定義としています。
また、道路における禁止行為が定められています。
基本的に道路はいかなる行為も使用が禁止されているのですが、社会的価値を有するものに関しては、「一定の要件を備えていれば、警察署長の許可によって、その禁止が解除される行為を、道路使用許可が必要な行為として道路交通法第77条第1項に定めています」。
道路使用に関しても、申請が必要との事ですが、基本的に警察署に出向いて、申請を行います。最近では、オンライン申請もできるようになりました。ただ、道路使用許可が受理されたら、警察署に許可書を取りに行かなければなりません。兵庫県警は、手数料もオンラインで納付できるようにしましたが、ほとんどの自治体は、警察署に出向くような形になっています。これも、完全なデジタル化を目指すべきでしょう。そうすれば、使用許可に必要な費用を減額することも可能でしょう。
駐車許可申請
駐車許可申請とは、以下のようなものです。
駐車許可申請も、今までは警察署に行って申請と交付を行いましたが、申請に関しては、オンラインでも可能になりました。交付に関してもオンラインで完結できるようにすべきでしょう。わざわざ、警察署に行って、交付する理由はあまりないように思えます。
その他にも、数多くの申請がオンラインでできるようになり、だいぶ効率が良くなりましたが、自治体によって申請方法が統一されていなかったり、未だに警察署に出向いたりと、時間の効率(いわゆる「タイパ」)という面ではまだまだ改善が必要です。また、手数料を取ることによって、ユーザーによる経済的な負担が重く、こちらもデジタル化によって、大幅な負担減をすべきでしょう。
ちなみに、自動車関連には数多くの制度があります。今回のデータベースの整備によって、申請の面で、警察署側の負担軽減を図れるのか。交付の部分で、ユーザーが警察署に行く必要性がどれだけあるのか。今回の改正案の保管場所標章のみならず、他の制度への広がりに期待したいところです。
自動車を使いやすい社会へ
規制を柔軟化し、余計な仕事を増やさない
今回の改正案は、データベースの整備に伴い、保管場所標章の廃止を目的としています。私は、これに関しては全面的に賛成です。自動車ユーザーの経済的・時間的な負担が大きく、早急な対策が必要なので、「たかがシール、されど、シール」です。他の制度にも、今回の改正案のような動きが出ることを期待しています。警察もお役所仕事なので、民間のように、柔軟に対応することは難しいです。国からの規制強化や増税をしていけば、現場の仕事が増え、本来の警察の仕事がおざなりになる可能性があります。他の業種と比べて、まだまだ進んではいませんが、現行の制度改革の一助となればと思います。次に、国会で質問してほしいことは、3点ございます。
国会で質問してほしいこと
①警察庁の窓口業務の負担軽減の件について。今回の車庫保管業務の他に、どれくらいの業務が、警察署に存在しているのか。また、それらの業務は今回の改正案のように、デジタル化の推進により、廃止あるいは縮小することができるのか。
②保管場所標章の他に、自動車免許制度更新のように、デジタル化が進まずに、未だにユーザー側が時間と費用を負担しながら、更新の申請を行っている。2024年度末には、ゴールド免許保持者を対象にオンライン講習を導入するなど、ユーザー側の負担軽減のために、一層のデジタル化が望まれる。デジタル化を推進し、オンライン化を完全導入できれば、自動車免許更新でいつまでも貼られている収入証紙などは、必要がなくなると思うが、収入証紙のように、他の制度における手数料は、デジタル化によって、どれだけ削減が可能か。また、将来的に、手数料の減額・廃止を視野に入れているか。
③保管場所標章の他にも、道路使用許可や駐車許可に関しては、なぜ警察署に来てまで、交付を受ける必要があるのか。申請・交付以外にも、書類作成の時間や警察署に赴くまでの時間、かかった手数料を経費として処理することなど、民間側にとって、大きな負担になっている。今回の改正案を契機として、他の申請もオンラインで完結するようにしていくべきではないか。また、窓口業務の負担軽減と謳っている以上、自動車に関連する制度の改革も進めるべきだと考えるが、その考えはあるだろうか。
以上になりますが、今回の改正案は「賛成」で、これを契機にして、自動車ユーザーの負担軽減のため、様々な制度改革を含めて、自動車関連の減税を求めます。
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