見出し画像

こんな取材していない?失敗しない取材のために必要なこと

5年間営業マンとして在籍したWEB制作会社で約300サイト分のインタビューを経験、2社目は採用担当として4年間少なく見積もって1000人以上は確実にインタビューをしています。今回は宣伝会議の講座での学び、自分の経験をもとに取材のコツを紹介します。

取材の心得

「インタビューは会話、楽しむものです」
本田圭佑さんを取材するなど活躍をしているスポーツライター木崎 伸也さんの言葉です。
知らない自分に気付かせてくれるインタビュー、人生の価値観について考えさせるインタビューは楽しんでもらえるそうで、コーチングに近い要素があります。
ティップスを学び生かすことは大切ですが、楽しむことは忘れてはいけない、重要な心得です。

下調べ

取材をされた経験が多い人ほど、あたりさわりのないことを聞かれるのに飽き飽きしています。過去、現在、未来の順番で質問をすれば記事として必要な情報が手に入りますが、話し手は下調べがされていない質問にはすぐに気が付きます。

「それ、前の取材で言ったことあるな」

下調べがない質問が繰り返されると、インタビュイー(取材を受ける人)の意欲は下がっていきます。
インタビューは新しい情報、発見を聞き出す役目のはず。

「そんなことまで調べてくれたんだ」

インタビュイーの心を開き、気持ちよく語ってもらうためにはどうしたらよいかを考え、準備をしていきます。

やってみてよかった!おすすめの下調べ方法
① インタビュイーの周りの人に事前インタビュー
取材対象者の周りの人達、友人、同僚などに「その方への印象」、「尊敬すること」を事前に聞きます。特に「具体的なエピソード」が聞けると最高です。
事前に聞いたエピソードを持ち出して質問をすると、エピソードの裏話が聞きやすく、話も盛り上がりやすいです。書籍を出している人に関しては、「本を読みましたよ」と伝えるよりも、本の中にあるエピソードについて深堀することをおすすめします。

② ファクトブックの作成
ファクトブックとは、企業やサービスの事実(歴史、業績、従業員数、ユーザー数など)を数字的根拠を元にまとめた資料を指します。このファクトブックを事前準備でつくる気持ちで下調べをします。「何を調べたらよいか分からない」という方にも便利な考え方です。
主に調べることは、「生い立ち、出身地、年齢、家族構成、趣味、タブーの質問、望むキャリア、悩み、歓び、生きるモチベーション」個人的な情報を可能な限りまとめてあげることにより、事前に人柄や思考が見えてくるため仮説をもって質問を組み立てることができます。しかし、先入観をもって決めつけないようにすることは意識します。

準備は永遠にできるので、時間を決めて行い、少し寝かせて直前に改めてインタビュイーについて調べるとアイデアがでます。この取材はどうなれば成功するのかをイメージする、どんなことを話してくれればよいのかを考えながら準備をする、何事も仕事においては事前準備が大切です。

質問組み立て

質問の組み立てで意識したいことを3点ご紹介します。

① アイスブレイクを用意
インタビュワーはもとより、インタビュイーもかなり緊張するもの、そこでアイスブレイクが必要になります。氷を溶かすという意味が示すように、その場を和やかにするために雑談を取り入れるのです。アイスブレイクが自然にできる方もいますが、難しい場合は質問を考える際に一緒に用意します。季節、日本人が得意な天気の話からでもいいと思いますが、その方がこだわっていること(お金を使っていること)を突っ込むと盛り上がる可能性が高くなります。日頃の観察によって好みを把握、相手の趣味から話すとよいです。

② 1つ目の質問はだれも聞いたことがない質問を
インタビュイーが取材慣れしている場合は特に、最初の質問が重要になります。
「この人はちょっと違うぞ」と最初に思ってもらうことでその後の回答への情熱が変わってきます。インタビューはインタビュイーの気持ち次第なので、最初に取材のゴールを共有し、一緒に良質な時間を楽しみながら構築するイメージで進めます。

③ 質問の数は1時間に20個くらい用意
実際に20個の質問を聞くのではなく、20個ほど質問を用意するという意味です。あくまでインタビューは会話なので、メモを見ながら尋問をするのではなく、会話のヒントになりそうなメモ書きを用意するイメージです。

取材

ここでは講義で学んだ取材時のポイントを簡単にまとめます。既にやっているなということも具現化してもらったことで改めて意識ができました。

・分かった気にならない
インタビュー時に「そうですよね」と発した瞬間、電流が流れる装置を付けてください。というのは冗談ですが、インタビュイーの回答に対して分かった気になるのはかなり危険です。
それはなぜだろうか、どうしてそう思ったのか、その背景などを自分の解釈ではなく、客観的に理解するために分かった気になっていないかは常に確認します。

・無口な人には仮説をぶつける
何を聞いても黙っている方は一定数いらっしゃいます。聞き手が感じる時間と、話し手の時間は異なるもの。沈黙には耐える必要があるという前提はありますが、相手が考えていて1分以上沈黙がある、「はい」「いいえ」など会話が広がらない場合は、仮説をたてて質問をする「この時の心情はこうだったんですか?」「これをやった理由はこういう背景ですか?」と聞いていきます。

・取材後のリラックス状態でおもしろい話が聞ける
取材後、「はい、OK」が出た後のリラックス状態でこぼれ話やスクープが聞き出せます。一流記者の方はレコーダーを2つ用意し、取材後は1つのレコーダーしか電源を切らないようです。オンライン取材ではすぐに取材が終わってしまうので、オフライン取材の場合は試せそうですね。

・ペーシングとミラーリングでペースと動きをあわせる

ペーシング……呼吸や間合いを合わせること
ミラーリング……動きを合わせること

インタビュイーの間合いや動きに合わせることで話し手の心理的安全性を高めます。これは営業手法でもよく取り入れられる方法で、信頼関係構築を円滑に進める方法です。

・感情移入しすぎない
相手の話を自分事化して聞くことはかなり大切なことですし、聞き手の姿勢によって話し手はもっと話してあげようと、気持ちよく話してくれるきっかけになります。一方で、感情移入をしすぎて本来聞くべきことを聞き逃すというミスがおこります。インタビュワーは客観性を忘れてはいけません。

・聞くべきこと

一番心に響いたのは、「インタビューは、読者の代弁者になるべく、聞きづらいことを読者の変わりに聞くこと」という言葉です。怒られても「読者が知りたいことなんです」と信念を伝える、という話を聞いたときに私はインタビューで怒られた経験は少ないので、もっと切り込むべきなのかと仕事を振り返るきっかけにもなりました。
怒らせる必要はないにしても、相手が言いよどむほどの確信をついたことを聞ける、そんなインタビュワーになりたいです。

最低でも月に3回はインタビューをするので今後もここにまとめたことを意識しながら、学びは書き足し良いコンテンツを提供していきます。2022年も宜しくお願いします。

坂下のツイッター

ありがとうございます!!