見出し画像

Every Little Thing「Dear My Friend」の歌詞がモテない男の心に刺さりすぎて辛い

 「Dear My Friend」は1997年にリリースされたEvery Little Thing(ELT)の3rdシングルである。この楽曲でELTは一気にブレイクを果たした。2018年現在アラサーの私にとってはクソ懐かしい曲である。

 https://www.youtube.com/watch?v=MTaYGTO_ELs

歌詞の内容は「元々友達だった男女がいて、男の方は恋心を抱くが、女は友達でいようよと振る」みたいな感じ。一見、爽やかな青春の恋愛を描いた曲なのかな~と思うがとんでもない。

 

実際は「無自覚にえげつない振り方をした女と、えげつない振られ方をされたことにすら気づいていない男の歌」である。

 

歌詞を見ながら、その理由を説明したい。

 

朝までファーストフードで みんな たわいもない話 
時間が経つのも忘れていたね 共に過ごした日々が懐かしい

 

歌詞は過去を振り返るところから始まる。「朝までファーストフード」にいると言うことは、この二人は高校生か。大学生なら居酒屋でオールしているはず。「共に過ごした日々」を懐かしんでいることから、高校卒業間近、もしくは大学生になりたてだと推測できる。

 

いつしか あなたと二人で 会う機会多くなってた
あの時のような気楽な気持ち どこかに忘れてしまったよね

 

元々は男女のグループで遊んでいたけど、何かをきっかけにして二人きりで会うようになっていた。女は「気楽な気持ち」を忘れてしまっている。男から「友情」ではなく「恋心」を向けられているからである。今までは友達としてラクな関係だったのに、一転して緊張状態である。

 

そしてサビ。

 

ずっと かけがえのないもの 安らぎと温もりがある
いつも居心地のよかった あの場所へ戻ろうよ
Best of My Friend

 

男から向けられた恋心に対して、女は「友達でいようよ」と思っている。

その方が居心地が良いからであり、あきらかに今の緊張状態を良く思っていない。

 

しかし…そんな女の心とは裏腹に、男はアプローチを続けていく。

 

口べにくらいはしたけど 「綺麗になったね」突然
どうしたのかな 冗談だよね
マジな顔はあなたに似合わない

 

なぜ女は「友達でいよう」と思っているのに、口紅をして男と会ったのか?2つの理由が考えられる。

 

一つは礼儀。今までスッピンで会ってたけど、まぁ口紅くらいはしとくか、てな感じ。

 

もう一つは「この男と恋人になる可能性はない」と再確認するため。少しだけ恋人と会う時の要素を盛り込むことで、自分の気持ちを確かめている。

「この男と付き合ったらどうなるか?」をシミュレーションしているわけである。

 

一方、男は浮かれている。今までスッピンだった女が口紅をしてきた。これは一歩前進したんじゃないか?と思って「綺麗になったね」と言ってみた。

 

落ちついて考えて欲しい。女性が気のある男性と会う時に「口べにくらい」なんてことはあり得ない。気合の入り方が雑過ぎる。

 

当然、女はドン引きである。「は?何言いだすんだコイツ」みたいな顔をしていたに違いない。

 

こっちはマナーとして(あるいは「ない」と再確認するため)に口紅をしてきたのに、あろうことか男はカン違いしている。しかも、ふざけた感じのないマジなトーンで「キレイになったね」とか言ってきやがった。

 

ちなみに、私が大学生の頃、後輩の女に告白したら「真剣な顔しないで下さい」と言われたことがある。めちゃくちゃ傷ついた。思い出して泣きそう。

 

次の歌詞で、女は少し反省する。「もしかしたら、過去にカン違いさせるような行動をとっていたかな?」と振り返る。

 

すぐムキになってはしゃいで 喧嘩もしたりしたけど
強い絆があったあの頃 これからも友達でいれるかな?

 

ムキになったり、喧嘩もして自分の「素」を見せていたけど、あれはあくまで「友達として」だった。しかし、男の方は「俺に素を見せてくれた」と勝手にストーリーを作り上げ、女に友達以上の好意を抱いてしまっている。二人の温度差がすさまじい。

 

もういっそハッキリと振ってくれたらいいのに、女は「友達でいれるかな?」とか言っている。都合が良すぎるわ!もう元には戻れねえよ!

 

私が後輩の女に告白した時も「これからも、今までと同じ関係でいましょう」と言われた。

今なら、自分勝手なこと言いやがって!勇気を振り絞って告白したこっちの身にもなれや!と言いたくなるが、当時は

「うん…そうだね、そうしよう」

とか言っていた。後輩の女が残酷なことを言っている、とは微塵も思わなかった。

 

それはカッコつけたかったからであり、後輩の女との距離感を測り間違えていたからである。

 

歌詞の男も私と同じく「残酷な振られ方をしたことにすら気づいていない」と断定するのは難しいが、おそらく気づいていない。

 

なぜなら、コイツは距離感を間違えて女にアプローチをするような男だからである。モテる男性は、女性との距離感をつかむのが上手い。今、二人の関係がどのフェーズにあるか?を正確に把握して、適切な行動を取ることができる。

 

そして2回目のサビ。残酷さが加速する。

 

いつか最高の自分に 生まれ変われる日が来るよ
もっと まっすぐな気持ちに 出会えると信じてる
Best of My Friend

 

あれこれ言っているが、つまり「私より良い人がいるよ」ということであり、これは女性が体よく男性を振る時の常套句である。

 

それにしても残酷すぎる。このサビ、裏を返せば

「今のお前は最高じゃないので、生まれ変わって出直して来い」ということである。

その上、男の恋心を「中途半端な気持ち」とバッサリ。

 

とどめに「信じてる」ときた。

これは「まぁ私は知らんけど」という意味で、企業が不採用通知に書く「お祈り申し上げます」と同じである。

 

そうお互い恋心抱くよりも 
解り合える 語り合える
いつまでもそんな仲でいたいよ

 

この期に及んでまだそんなことを言うのか。男の気持ちはズタボロだと言うのに。スッパリ振ってくれた方が、傷の治りが早いと言うのに!

 

まぁ男も男で、真綿で首を絞めるような振られ方をしているとも気づかない、鈍感野郎なんですけどね。

 

 ずっと かけがえのないもの 安らぎと温もりがある
いつも居心地のよかった あの場所へ戻れるのなら
いつか最高の自分に 生まれ変われる日が来るよ
きっと今までの二人に 戻れると信じてる
Best of My Friend

 

 まだ言いますか。「私たちは友達だから」とダメ押ししてきましたね。

 

なお、女の行動に悪意は一切ない。むしろ男を気遣ってすらいる。

(あくまで「友達」として、「異性」としてでは無いんだけど…)

それがこの歌詞の残酷さを際立たせている。

 

以上。

 

何でこんな推測をしたかと言うと、私もモテない男だからである。初めて彼女ができたのは25歳だった。それまでの私は、世の中全ての女性を「付き合ったらどうなるか」という視点で見ていた。我ながら書いててキモい。

 

彼女ができて初めて、世の中の女性をフラットに見ることが出来た。そして気づいたのは、

『女性は礼儀として振る舞っているのに、モテない男は「この女、俺に気があるんじゃ」とカン違いするパターンが多い』

ということ。

 

このことに25歳で気づけて本当に良かった。カン違いしたまま年を重ねていたら、マジで犯罪スレスレのことやってたんじゃないかと思う。

 

それにしても、当時の持田香織は18歳。女子高生が無邪気にえげつない歌詞作るなぁ…と思って調べたら、何と作詞作曲は五十嵐充だった。

 

18歳の女子高生ではなく、28歳のオッサンが書いた歌詞だった。いや、オッサンと言うには若い気もするけど、五十嵐充もモテない時期があったんだろうか。

 

いやホント、五十嵐充の肩を叩いて「わかるよ」と言ってあげたい。

この記事が参加している募集

思い出の曲

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?