大阪弁護士会の「共同受任弁護士」制度について(報酬分配の取り決めは任意だそうです)

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で問題提起した共同受任弁護士制度を含む「分野別登録弁護士」制度ですが、3月12日の臨時総会で賛成多数により可決されました。

しかし、私も総会に出席したところ(もっとも、予定の関係で途中から入室し、さらに上記制度(7・8号議案)議決後に退出してしまった上、総会に出席したこと自体初めてで流れもよく分かっていませんので、何らかの誤解があるかもしれませんがご了解ください)、総会の中で、担当理事者の説明及び質疑により、私の疑念は一部解消されるに至りましたので、改めて記事にしておきます。

議案書には、ご案内のとおり、登録弁護士と共同受任弁護士との間の報酬の分配について「折半する」「取得することとする」等と書かれており、私はこれを「当事者間で取り決めをする余地すらないもの」と批判しました。

しかし、議案の説明(前述の事情で私は途中からしか聞けなかったのですが)において、担当理事者から、「これはもとより任意のものであるから、当事者間でこれと異なる報酬の取り決めをすることが可能である」との趣旨の説明がありました。

もっとも、議案書の文言からこの説明のような趣旨を読み取ることは困難だと思われ、理事者の説明が議案と食い違うのではないかとも思われました。そこで、質疑においてこの点を質問してみたところ、

「議案書の文章が断定調になっているのは誤解を与えるものであり、お詫びする」「報酬について若手からの関心が高いことは理解している」「内容の議論と並行して議案を作成したのでこのような文章になってしまったという経緯がある」「今後の運用において適切なマニュアルなど(?)を作成していく予定である」

との回答を得ました。もっとも、正直、私も緊張してしまい、正確に内容を把握できたか自信がありませんが、とにかく、規則等によって報酬の分配を縛ることはしない趣旨であると理解しました。

ので、一応その点は了解し、「報酬についてルール作りをするのであれば、登録弁護士のほうが優位にあるのであるから、むしろ、取り過ぎ規制の必要性を検討すべきだと思う」との趣旨の意見を(こんなに整理できてなかったと思いますが…)申し上げ、「参考にさせてもらう」との回答をいただきました。

その後、討論の時間があり、反対意見を述べることもできたと思いますが、個人的に(もともとスケジュールの都合で、行けるかどうか微妙だった等の事情もあり)質疑でいっぱいいっぱいの気持ちになってしまい、それ以上の発言はできませんでした。質疑、討論の流れがわかっていなかったこともあり(これは日ごろから総会等に出席していない私がダメなので)、反省点は多かったのですが、まあ個人的にはいい経験であったと思っています。

いずれにせよ、制度としては賛成多数により(討論はほとんど賛成意見からの討論、挙手による議決は圧倒的に賛成で、反対の挙手は見たところ全体で数名でした。まあそういうものなのでしょうね)可決されました。

顛末は以上のとおりでありまして、いろいろお騒がせした向きには恐縮ですが、一応本件を締めくくらせていただきます。


2019.5.29追記

大阪弁護士会の会員向けマニュアルが5月27日付で発出されました。報酬については次のように記載されています。


第5 共同受任の際の共同受任弁護士と登録弁護士の各報酬
共同受任における報酬等については、原則、以下のとおりとします。
① 登録弁護士が、自ら受任した事件について、共同受任弁護士と共同受任した場合、着手金及び報酬金等、依頼者から受領した金員は、すべて登録弁護士が取得する。
② 共同受任弁護士が、自ら受任した事件について、登録弁護士と共同受任した場合、着手金及び報酬等、依頼者から受領した金員は、すべて登録弁護士と折半する。
前者の場合も、登録弁護士と共同受任弁護士の間で報酬等を折半するという考えもあるかもしれませんが、この共同受任弁護士制度は、登録弁護士において、実務要件を満たしていない共同受任弁護士のために登録弁護士に自ら受任した事件を共同受任してもらう制度であり、共同受任弁護士も登録弁護士の指導のもと実務経験を積むことができることを踏まえ、上記のとおり、すべて登録弁護士が報酬等を取得することを原則としています。
なお、必ずしも上記配分としなければならないわけではなく、共同受任弁護士と登録弁護士との話し合いによって決めていただいてもかまいません。


原文では「なお」文には下線が引かれています。しかし、会としては、原則はどうしても崩したくなかったようです。


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