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#27 福岡県について

今回の問題

生産地・福岡県について述べよ。

自分の回答

200字回答

福岡県は日本で唯一、焼酎と日本酒のどちらも生産量が多い県で、日本酒は九州全体の生産量の約3割を誇る。江戸時代中期に酒造りが始まり、西南戦争を契機に明治期に生産量が増加。県開発酵母のふくおか夢酵母はリンゴ酸高生産酵母で、爽快感や後味のさっぱりした風味が特徴である。県開発の酒米は、夢一献、吟のさと。また、糸島産の山田錦はブランド米になっている。酒米は概ね自県産で酒造りを担う自給自足タイプ。(194字)

回答の要素

概要
日本で唯一、焼酎と日本酒のどちらも生産量が多い県。
九州全体の生産量の約3割を造る。
清酒免許場数は全国4位。

歴史
江戸時代中期に酒造りが始まる。
西南戦争を契機に、明治期に生産量が増加する。

酵母や酒米について
県開発酵母の「ふくおか夢酵母」はリンゴ酸高生産酵母。爽快感や後味のさっぱりした風味が特徴。
県開発の酒米は「夢一献」、吟醸向きの「吟のさと」。「糸島産山田錦」はブランド米。
酒米は自給自足タイプ。

回答の構成

・焼酎と日本酒
・九州全体の約3割
・江戸時代中期:酒造りの始まり
・明治期(西南戦争契機):生産量増加
・ふくおか夢酵母:リンゴ酸高生産酵母、爽快感・後味さっぱり
・夢一献、吟のさと、糸島産山田錦
・自給自足タイプ

回答の補足

以下の図は、2012(平成24)年産の福岡県および兵庫県産の山田錦の「溶けやすさ」を分析した調査結果である。この図を見ると、この年は福岡県産の山田錦の方が溶けやすかったとわかる。

大場 (2015) より

米の溶けやすさは登熟期の気温に影響し、高温だとアミロペクチンの側鎖が長くなって溶けにくく、低温だと側鎖が短くなって溶けやすい。そのため、山田錦など収穫が遅い晩生品種は、登熟期が涼しいため溶けやすくなり、反対に五百万石など収穫が早い早生品種は、登熟期が暑いため溶けにくい。

同じ山田錦だとしても、生産地や年によって登熟期の気温が異なる。2012(平成24)年9月は、福岡県は平年並みの気温だったのに対して、兵庫県は平年より1~2℃高かったらしい。品種や磨きだけでなく、産地や平均気温の影響も受ける酒米は、その繊細さゆえに魅力的なのだろう。

大場 (2015) より

また、福岡県産の単式蒸留焼酎は「博多焼酎」としてブランド化されている。1975年の山陽新幹線開通(岡山〜博多間)の際に県観光土産品に指定され、「博多焼酎」と命名された。2011年には地域団体商標にも登録されている。麦焼酎を中心に、米・芋・清酒粕・そば・胡麻・にんじん・緑茶など、いろいろな原料の焼酎が造られているという。

関連
#15 山田錦について

他の回答

先人たちの回答

福岡県は焼酎と日本酒の二刀流の県として知られる。江戸時代中期から酒造りが始まり、明治期に生産量を増やし、九州全体の約3割を造る。筑後川流域の筑後平野に酒蔵が集中し、軟水醸造を行っている。気候が良いため酒米の生産にも適しており、「糸島産山田錦」はブランドになっている。「夢一献」や「吟のさと」も生産し、酒米は自給自足タイプである。酒質は、酸味がありキレの良い辛口が多い。北国のような繊細な味の酒も増加。

すしログさん
https://sushi-blog.com/sakelog/sake-diploma-essay/

九州は焼酎文化圏であるが、福岡は日本酒の生産量も多く、焼酎と日本酒の二刀流の県である。清酒免許場数は全国4位である。西南戦争を契機に日本酒作りが盛んとなった。米作りも行われ、糸島産「山田錦」はブランド米になっている。県独自の酒米に「夢一献」「吟のさと」がある。リンゴ酸高生産酵母の「ふくおか夢酵母」というオリジナル酵母があり、爽快感や後味のさっぱりした風味が特徴。「酒米自給自足タイプ」。

えすにっくさん
https://ethnicsake.blog.fc2.com/blog-entry-165.html

参考文献

J.S.A SAKE DIPLOMA 教本(Third Edition)p. 148,149
大場 孝宏, 九州酒造研究会における米にこだわった酒造り, 日本醸造協会誌, 2015, 110 巻, 6 号, p. 372-379
日本酒造組合中央会(JSS), 焼酎・泡盛を知る:地理的表示(GI)と地域団体商標, 閲覧2023年10月4日

※ 引用時に出典URLを明記したものは省きました。
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