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#18 菩提酛について

今回の問題

菩提酛について述べよ。

自分の回答

200字回答

菩提酛とは、室町時代に奈良県の菩提山正暦寺にて生み出された酒母製法で、現在の酒母の原型とされる。原料米の1割を炊き、それを残りの米の中に埋めて水を加えて3日ほど置く。それを漉して得られる「そやし水」と呼ばれる乳酸酸性水を使用して、麹と蒸米を混ぜて仕込む。明治以降に速醸酛が普及して、一時は失われた技術となったが、近年奈良県内の蔵元が『多聞院日記』や『御酒之日記』を参考に再現している。(192字)

回答の要素

菩提酛とは
室町時代(15世紀)に菩提山正暦寺にて生み出された酒母製法の一つ。
現在の酒母の原型とされている。
原料米の1割を炊き、残りの米の中に埋めて、水を加えて3日ほど置く。
乳酸菌が増えて酸性となり、酵母も増えて泡が出てくる。
それを濾した乳酸酸性水「そやし水」を抽出し、麹と蒸米を混ぜて仕込む。
明治になって速醸酛に取って代わられ、失われた技術となった。
近年、県内の蔵元が『多聞院日記』や『御酒之日記』を参考に再現。
当時としては珍しい、麹米・掛米の両方を精米する諸白造りも特徴。

回答の構成

・酒母製法、現在の酒母の原型
・室町時代、菩提山正暦寺
・1割炊き、米に埋め、3日置く
・乳酸酸性水、そやし水
・速醸酛に代替、近年再現
・『多聞院日記』『御酒之日記』

回答の補足

1996(平成8)年に 奈良県菩提酛による清酒製造研究会(菩提研) が発足し、菩提酛復活プロジェクトを展開している。

酒母、諸白、段仕込み、火入れ殺菌など、現代に続くさまざまな醸造技術が生まれたとされる菩提山正暦寺。ただし、菩提酛が「諸白のルーツ」「酒母製法のルーツ」かどうかは、議論が割れているらしい。

ただし,中世の正暦寺の酒製法が諸白の直接のルーツであるとか,現在知られる酒母製法のすべてのルーツが菩提酛である,といった見解に対しては,疑問を投げかける議論(鎌谷 2001)も存在している。
※注:鎌谷 2001 -> 鎌谷親善, 創製期の南都諸白, 2001, 酒史研究, 17, 2月, p .31-68

住原 (2006) より

関連
#01 山廃・生酛の現状と将来の展望について
#05 奈良県について

他の回答

先人たちの回答

「菩提酛」は酒母造りの製法の一つで、15世紀に奈良県の菩提山正暦寺で確立した。麹米、掛米の両方を精米する諸白造り。製法は以下の通り。原料米の1割を炊き、残り9割の米の中に埋めて、水を加えて3日置く。乳酸菌が増えて酸性となり、酵母も増える。それを濾して酸性の水を抽出し、麹と蒸米を混ぜて仕込む。途絶えていたが、奈良の酒蔵10軒の研究会が『多聞院日記』と『御酒之日記』を参考に復元している。

すしログさん
https://sushi-blog.com/sakelog/sake-diploma-essay/

参考文献

J.S.A SAKE DIPLOMA 教本(Third Edition)p. 81,138,139
住原 則也, 清酒のルーツ,菩提酛(ぼだいもと)の復元 : 奈良の「産」「官」「宗」連携プロジェクトの記録, アゴラ : 天理大学地域文化研究センター紀要, 2006, 4 巻, p. 1-27
SAKE Street, 原点を追求する営みが、長い歴史と未来をつなぐ - 奈良県・菩提山正暦寺の菩提酛づくり, 2020年12月9日, 閲覧2023年9月28日

※ 引用時に出典URLを明記したものは省きました。
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