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私と「死の受容」と学生生活~第25回千葉県作業療法士学会によせて~

軽く汗をかくぐらい暖かくなった、と思ったら雪の予報が出るくらい寒くなってきました。訪問業務をしている身からすると結構しんどい気候です…。皆様はいかがお過ごしでしょうか?

私は2月から新しい職場になり、なんだかんだでバタバタしておりました。

バタバタしていたら、いつの間にか来週の日曜日が第25回千葉県作業療法士学会の開催日。

…振り込みをしていなかったため急いで振り込みをしてきました。

第25回千葉県作業療法士学会の基調講演は第3代日本作業療法士協会会長の寺山久美子先生です。

実は私はOTS一年生の頃にリハビリテーション概論の授業を寺山先生に教わっているのですが…いまいちどんな内容だったか思い出せません。

もちろん私が、悪いのですが…。

一方でこのリハビリテーション概論で習うような内容は、運動して元気に!みたいな世間でいう「リハビリ」的なものからは少し離れていいるので、入学してすぐだと「これは何の役に立つの?」といった印象を受けると思います。

このリハビリテーション概論ですが、勉強つらい、実習つらい、友達いない、の私の暗黒OTS時代で数えるほどの…いや、唯一のよき思い出として残っております。

というのも、「死の受容」を読んでレポートを書きなさいという授業で寺山先生からかなりお褒めの言葉を頂いたからです。

この「死の受容」という本は、精神科医のキューブラ―ロスの著作で、終末期の患者にインタビューをするという形をとってどのような課程によって人々は死を受け入れるのかを見ていくといった内容です(…だったと思う)。

学生だった頃の私は、こういった当事者の感情だったり、人生の過程、生涯発達みたいなところがどのように作業療法に関わってくるのかいまいちわからなかったのですが、最近は少し臨床の中に取り入れられるようになってきたような気もしております。

基調講演の見どころ!というよりは、私が今回の基調講演でどんなことに注目するかみたいなことを、ちょっと書いていこうかと思います。


寺山先生がOTとして大事にしてきたこと

①リハマインド・OTマインド
②障害学を科学的根拠とすること
③生涯発達学の立場からの人の理解
④OTの作業の核は「生活行為」
⑤福祉用具・福祉住環境整備はOTの武器
⑥「地域・在宅」こそOTの本領発揮
⑦OTの先生は「対象者」
⑧障害学修の習慣化

千葉作業療法 2023 vol.12 No.2

寺山先生のOTとしての姿勢がとても良くわかると思います。

私は今の臨床で少し思うところがあるのは②と③です。

障害学を科学的根拠とすること、とかはとても面白い考えだなと思います。

自然科学(雑に言えば理系的な部分)というよりは、人文科学、社会科学(雑に言えば文系的な部分)を科学的な根拠にしますよということでもあると思うんですよね。

別にこのエビデンス対ナラティブとかそういった話ではなくて、物語と疾患をバランスよく取り扱う必要がある中で、圧倒的に物語の部分の比重が少ないと、臨床の中で思うことがあります。

私としては、そのやや文系的な部分をここ数年大事にしてきたつもりでもあるので、寺山先生がどのような話をされるのか楽しみです。

あわせて、生涯発達学の立場からの人の理解。これは本当に学生の頃なんの意味があるのか本当に分からなかった…笑。

今は、個人的には物語の補助線として、あるいはライフステージとしての課題を考える参考として役に立っている実感があります。

課題志向で作業療法を提供するときに、「やりたいことはありません」「困っていることはありません」となるときがあると思いますが、人間発達や生涯発達の視点で見るとヒントが沢山あるように思っています。

現在・未来を担う後輩に伝えたいこと

寺山先生、私が学生の頃からレジェンドでしたが、かなりいいお歳になられたんじゃないでしょうか…。

作業療法が関わる範囲は「人・作業・環境」であり、そこに哲学を見出せます。この仕事の面白さ・広がり・深さ・底知れなさについてお伝えします。

千葉作業療法 2023 vol.12 No.2

どちらかといえば作業療法の未来について語るとき、システマティックに語る方が多い(もちろん悪い意味ではなくて)中で、哲学だったり、OTの面白さ・広がり・深さ・底知れなさ、みたいな形でお話できる方ってあまりいないのではないかと思います。

当日はそういった、OTのマインド、哲学みたいな部分をしっかりと聴いてきたいと思います。

皆さんは、基調講演、どんな気持ちで聞きますか?当日会場でお会いしたら教えてください。

県士会・協会に入会することの意味

最後は基調講演と少し離れますが、協会活動について触れたいと思います。

一応、私自身は数年、県士会の運営側に携わっている人です。

協会の動きや活動について思うとこもありますが、基本的には協会に入ることを推奨している立ち位置です。

協会に入る意味などを時折聞かれます、個人的には「政治」「普及・啓発」「専門職としての質の担保」

政治に関しては最近で言えば訪看での看護師と療法士の割合を決めて制限するといったときに、署名などをしていたのが印象的でした。

内容については賛否あると思います。一方で、職域を守るために動いています。

OTの未来が心配だ、けど何をしていいかわからない、という方はとりあえず協会に入会しておくと、職域を守る、広げるという活動の一助にはなると思います。

普及・啓発については、OTの認知度はまだまだ低いと思いますが、そのあたりを他職種や一般の方々に広げていくことも協会の活動のひとつです。

また研修や交流会を通してOTの質を担保することも大事な役割です。

今回の学会で少しでも協会の活動や、県士会の活動に興味を持たれた方は、協会、県士会に入会したり、活動に参加してみることをお勧めいたします!


というわけで、第25回千葉県作業療法士学会でお会いしましょう!

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