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金払ったんだから文句の一つぐらい言わせて欲しいもの

世間は色々と、本当に、心底、激動の出来事と悲劇が繰り広げられていますが、ノンポリでノータリンな自分に言える様な事はあまり無さそうなので、とりあえず「世界平和」「戦争反対」などという、月並みな祈りでお茶を濁しておくとして。
少し前に何となく思った事を、ボヤボヤと書き連ねて行きたいと思います。


先日、『大怪獣のあとしまつという映画が、SNS等を中心に良くも悪くも(主に悪い意味で)話題になっていました。
SNSでつぶやかれていた数々の批判意見に対して
「面白いと思っている人もいるのに批判をするのは如何なものか」
「映画を観ずに批判するな!」
「叩いて良いものと認定された作品を叩く風潮が嫌い。けもフレ2とか
『令和のデビルマン』はさすがに言い過ぎ、あんなの平凡な駄作だろ」「あれだけ萌え絵叩きに怒ってたオタクはこの映画は叩くのかw表現の自由戦士w
などという、批判に対しての批判、若しくはカウンター、ただの逆張り煽りも入り混じり混迷するという、SNSで良く見かけるいつもの地獄が繰り広げられていました。

まあ自分は当映画を観てないし、元より興味の無いジャンルなので今後も観る事も無さそうなので、映画に対しての直接的な批評をする気はありません、というか資格は無いです。
「映画を観ずに批判するな」などという批判に対しての批判については、さすがにごもっともだと思います。
観ずにディス、というのはさすがにお行儀が過ぎるというもの。やるなら5chのアンチスレでやれ、という話です。

オタクとか表現の自由に絡めてグチグチ言ってるのは、いつものオタクヘイターな表現の規制界隈の戯言なので黙殺するとして、
「じゃあネットで良く言えば批判、悪く言えば罵倒、ディスをしてはいけないのか?」という疑問はあったりします。

そりゃ誰だって(自分にとって)つまんない作品を観れば、ガッカリしたり、「ふざけんな!」って思う事はあります。そこまでいかなくとも、途中まで面白かったのにオチが(個人的に)ガッカリだった映画を観た時とか、「何でこうなっちゃうかな~もう~…」って、観た事を軽く後悔しちゃったりもします。まあつい最近の話なんですけどね。

自分の場合は、アマプラで且つ一人でボケーッと観てただけだったので、「何か変な映画観ちゃったなー」ぐらいのダメージでしたけど、これを例えばリビングで「この映画面白そうだから観ようよ」などと言って妻を誘って観た、観てしまった時の微妙な空気……想像するだけで嫌~なものがあります。
ましてや、映画館にお金払って観に行ってしまった……となると、最早目も当てられないでしょう。

私達夫婦も、デート等で映画を観に行った事はあるのですが、まず最寄り駅には映画館が無いので交通費払っていく、これだけで数百円。そしてチケットを買う、多少割引とかあってもまあ3000円ちょっとはかかるでしょう。そしてポップコーンとかもつい調子こいて買ってしまう。これでまた数百円。
この時点で既に、映画館に入るまでに安くて4000円以上は使っている計算になります。

ちなみにデートとなると、前後に食事もしたりするので、更に費用は跳ね上がります。どっかの映画館を併設しているショッピングモールに買い物がてら、なんて洒落込んでいると、平気で1万2万は飛ぶでしょう。
このご時世、一日で使うお金と考えたら、決して安くはありません。寧ろちょっとした贅沢だったりします。

そして、メインの映画がいざ開幕!
……したと思ったら、デートムービーなり家族で楽しめる王道な大作映画、からはかなり程遠い、三木監督による三木監督ファン向けの三木映画を観せられる、という苦行に近い行為を強制される訳です。
観終わって出てきたらお互い無言、喧嘩にならなきゃ御の字、雰囲気悪いまま美味しく感じられない食事をしつつ、観る映画を選んだ事を後悔する胸糞悪い不和不和時間を体験するという悲劇。決して安くは無い金と貴重な休日を使っての苦行をさせられた「観てしまった人達」には、そりゃーもう怒ったり文句言ったりする権利ぐらいさすがにはあると思うんですよね。少なくない時間と金を無駄にさせられた訳ですから。


『大怪獣のあとしまつ』という作品。三木監督の代表作である『時効警察』を見る限り、割とニッチでシュールな作風で、良く言えば通向けマニア向け、ツボにハマる人にはオンリーワンで本当に面白い。
悪く言えば、分からない人には分からないし何か微妙で下品なギャグ展開がダラダラ続く退屈な感じ、となってしまうでしょう。

個人的には、三木監督は『勇者ヨシヒコ』の福田雄一さんとイメージが被ります。どちらも作風が特殊で、ハマる人はハマるけどダメな人はダメ、みたいに、好き嫌いが激しく分かれるタイプですね。ちなみに僕は福田雄一作品はかなり嫌いな部類です。「これ面白いだろ~敢えてやってんだよ~」みたいなノリに、共感性羞恥レベルのサムさを感じてしまうので……


映画の宣伝を観る限り、どうも『シン・ゴジラ』に続く特撮エンタメ大作!みたいな感じで大々的に宣伝していた様に思えるのですが、蓋を開けてみれば、ニッチシュールな作風監督による「いつもの邦画」だったので、前者を期待して観に行った人からすれば「期待はずれ」以外の何物でも無いでしょう。これはもう作品がアレというよりは、映画会社の宣伝方法の失敗だったのでは無いでしょうか?

よくある感じの微妙なコメディ邦画として売り出していれば、ファンが主に観に行って、ファン向けからしたら満足なので評判もそれなりに良かったのでは?などと思ってしまいます。

個人的には、何故山崎貴監督に依頼しなかったのか?と思いますね。
氏は毀誉褒貶ある監督ではありますが、基本的には最大公約数の客層に向けた映画を創れる人(例のユアストーリー以外)だと思っています。

数年前、映画のタダ券を貰ったからと、『永遠のゼロ』という氏の映画を映画館に観に行くという奇行をした事があるのですが、「ああ、ここは感想させるシーンだな」「泣かせに来ているシーンだな」というものが要所要所に入り、またそこで臨席に座っていたお婆さんが逐次涙ぐんでいたので、少なくともエンターテイメント映画としては「ちゃんとしたもの」を創れる人なんだなーと思った記憶があります。

いや別に山崎「ユアストーリー」貴では無くても、もっと正当なというか、大作志向というか、無難に纏められる監督、制作会社、他にあったのでは?と素人としては思ってしまうのですが、如何なものなんでしょうか?

少なくとも自分としては、大作映画だと思ったらシュールな内輪受け映画を観せられてしまった人達については、支払ったコスト(お金)分ぐらいは、怒ったり悪口書いても良いのでは?と思ってしまいますけどね。

「どうせ素人には分からないだろw」と、制作主体のオナニーとか、事務所優先のキャスティングとか、色々な大人の事情がクオリティよりも優先される所とか、先にあったけもフレ2でも大いにありましたけど、制作事情とか大人の事情とか、最終的に出来上がったものを観る、一消費者である自分達には、まぁっっったく、関係無いですからね。
どんな理由であれ、(自分にとって)糞な代物を観せられたら、クソと言いたくなるのが人間というものなのですから。


最後に、『令和のデビルマン』という評価については、さすがに言い過ぎだとは思いました。
『大怪獣のあとしまつ』は、せいぜいよくある微妙な邦画作品という評価で終わる程度の代物だと思いますよ。
『実写版デビルマン』は……何というか、その、「映画というカテゴリーに含む事すら間違いでは無いのか?」と言いたくなる、「馬鹿が酔っ払って作ってももうちょっとマシになりそうな」レベルの、「大金かけて暗黒前衛芸術作品を作ってしまった」という、ただの駄作」とはステージが違う代物なので、『令和のデビルマン』という評価は、逆に過大評価であるというのが、個人的な意見です。

あれは本当に酷い……酷すぎて伝説になるという、デスクリムゾン的なオンリーワン、というかオンリーワンであって欲しいというのが正直な所です。



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