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漢詩 雑感

春になり、木々は芽吹き、山全体が徐々に明るい様子になることを「山笑う」といいます。山の表現はほかにも「夏山は滴る、秋山は装う、冬山は眠る、春山は笑う」とありますが、これは中国の郭 煕の『臥遊録』が出典です。

このような自然や風景を擬人化する表現は、中国詩のなかでよく見られ、漢詩を調べるたびに、巧みだなあと感心します。いまでこそ、自然の姿を通して主観的な感情を重ね合わせる言語表現は、俳句の季語にも多くあり、日本特有ともいえますが、歴史をさかのぼれば、中国文化から受けた影響も多分にあったようです。

芭蕉や漱石の俳句や詩に登場する、自然物への擬人化も、こうした漢詩や漢学の影響があったことを想像します。更には、そうした中国詩に映る自然への敬虔な思い、細やかな心遣いにシンパシーを感じながらも、自然をより「静かなもの」として見つめる視線、散りゆく姿にまで愛惜の情を抱くのは、日本人ならではの感性ではないかと思うところです。

感じるもの、信じるもの、それら目に見えぬものには、なかなか自覚が持てませんけれど、自分の中にもあるのなら、大切にしたいと思った今朝の雑感。今日もいちりんあなたにどうぞ。

コデマリ 花言葉「努力」

花も笑う

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